01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事は、社内でホームページリニューアルの企画書をまとめる立場の方に向けたものです。2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、決裁が下りた企画書と差し戻された企画書の違いを、例文と数字でお伝えします。
「ホームページを新しくしたい」。そう思って最初にぶつかる壁が企画書です。デザインでも制作会社選びでもなく、社内で予算を取るための1本の書類が、意外と書けません。
ひな形はネットにたくさんあります。でも、そこに何を書けば決裁者が「わかった」と言うのかは、どこにも書いていません。項目を埋めただけの企画書は、たいてい戻ってきます。
この記事でお伝えするのは、次の3つです。
- 差し戻される理由。実際に戻された企画書を集計すると、理由は4つに偏っています。
- 7項目の書き方と例文。目的、課題、効果、費用、期間、体制、比較検討。そのまま書き写せる文章をお見せします。
- 1枚にまとめる型。分厚い企画書より、1枚のほうが早く通ります。その作り方を丸ごと載せました。
まずは、リニューアル全体の進め方を短時間で押さえておきましょう。次の動画が参考になります。
【完全版】Webサイトリニューアル時の注意点|費用対効果を最大化する方法を解説します
出典動画:YouTube
02企画書が通らない理由は、書式ではありません
要点:差し戻される企画書のほとんどは、項目がそろっています。足りないのは判断材料です。「いくらかかって、何がどれだけ良くなるのか」が数字で書かれていなければ、書式が整っていても戻ってきます。ホームページリニューアルでは、ここが最初の関門です。
決裁者はWebの専門家ではありません。デザインの良し悪しも、CMSの違いもわかりません。わかるのは、お金と時間と、それで会社がどう良くなるかだけです。
ところが企画書の多くは、決裁者がわからない言葉で埋まっています。レスポンシブ対応、CMS導入、UI改善。どれも手段の名前で、判断材料ではありません。読んだ人は「よさそうだけど、で?」で止まります。
もうひとつは「なぜ今なのか」が抜けているパターンです。ホームページは壊れていませんし、今のままでも会社は回ります。理由がなければ後回しになります。
企画書が戻ってくるのは、内容が悪いからではありません。判断できる材料がないからです。
企業のホームページは、もうほぼ全社が持っています。総務省の令和6年通信利用動向調査では、開設率は93.2%でした(常用雇用者100人以上が対象)。持っているだけでは強みになりません。企画書でも「作る」ではなく「どう変えるか」を語ってください。
何をどう書けばよいか、迷っていませんか。
いまのホームページを拝見すれば、企画書に載せられる課題と数字をお出しできます。 リニューアルの進め方を見る →
03企画書が差し戻された理由の内訳
要点:差し戻しの理由は4つに偏っています。最も多いのは「効果の見込みがない」で34%。次いで費用の根拠、課題の具体性の順です。この4つを埋めるだけで大半は防げます。リニューアルの目的の決め方とあわせてご覧ください。
| 差し戻された理由 | 全体に占める割合 |
|---|---|
| 効果の見込みが書かれていない | 34% |
| 費用の根拠が示されていない | 26% |
| いまの課題が主観だけで書かれている | 18% |
| 期間と社内の負担がわからない | 14% |
| その他(時期・優先度など) | 8% |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。社内稟議の経過をお聞きできた案件が対象です。
上位2つで全体の6割。どちらも「数字がない」ことが原因です。3つ目の「主観だけ」も同じで、「古くて見づらい」は感想ですが、「スマホからの離脱率が68%」なら事実です。感想は反論されますが、事実は反論されません。
04企画書は「1枚」と「本編」に分けて作る
要点:ホームページリニューアルの企画書は、1枚のサマリーと本編の二段構えにします。決裁者は1枚しか読みません。本編は質問が出たときの裏づけです。分けておくと、社内の役割分担もはっきりします。
20ページ作っても、役員会で見られるのは最初の1枚です。残りは「あとで読んでおく」と言われ、そのまま読まれません。
1枚に入れるのは、目的、課題、やること、費用、期間、効果の見込み。この6つだけです。本編には、根拠になるアクセスデータ、他社の状況、見積りの内訳、工程表を入れます。
作る順番も決まっています。
- いまの数字を集める。アクセス数、問い合わせ件数、スマホ比率。過去12か月分あれば十分です。
- 目的を1行で決める。「採用の応募を増やす」など短く言い切ります。長い目的は判断がぶれます。
- 課題を3つに絞る。目的に直接ひもづくものだけ残します。10個書くと優先順位がないと思われます。
- 費用と期間の枠を取る。制作会社に概算を出してもらいます。幅で構いません。
- 1枚にまとめ、本編を後ろにつける。1枚が主役、本編は資料。この順番を崩さないことです。
いきなり文章から書き始めると、数字を集める段階で作り直しになります。
05目的と背景の書き方|例文つき
要点:目的は「何を、どれだけ、いつまでに」の形で書きます。「イメージを刷新する」では判断できません。数値の目標まで書けば、決裁までの日数は半分以下になります。目的の決め方は社内合意の作り方でくわしく扱っています。
目的の欄でつまずくのは、社内でも目的が決まっていないからです。決まっていないものは書けません。まず1行に決めてから、書き写してください。
書き方の型は決まっています。「誰に」「何をしてほしくて」「どこまで増やすか」。この3つを1文に入れます。
| 避けたい書き方 | 例文(そのまま使えます) |
|---|---|
| 企業イメージを刷新する | 「新卒採用の応募を年間40名から60名に。2027年3月の募集開始までに公開する。」 |
| 使いやすいサイトにする | 「スマホからの問い合わせを月8件から12件に。現在は入力途中の離脱が7割。」 |
| 情報発信を強化する | 「製品ページを自社で更新できる状態にし、年間48万円の外注費をなくす。」 |
背景の欄は短くて構いません。「なぜ今なのか」だけを、3行ほどで書きます。
背景の例文。「現サイトは2018年公開で8年。この間にスマホ経由の閲覧が72%まで増えましたが、対応できていません。」
06目的の書き方別|決裁までの日数
要点:目的に数値まで書いた企画書は、決裁まで平均8日でした。数値がない場合は17日、「古いから」だけなら31日です。書き方だけで3倍以上の差が出ます。リニューアルのタイミングを検討中の方は、この差を見てから動いてください。
| 目的欄の書き方 | 決裁までの日数 | 一度で承認された割合 |
|---|---|---|
| 数値の目標と期限まで書いた | 8日 | 71% |
| 目的は書いたが数値がない | 17日 | 43% |
| 「古い・見づらい」だけ書いた | 31日 | 22% |
| 目的欄が実質空欄 | 43日 | 9% |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。社内稟議の経過をお聞きできた案件が対象です。
見ていただきたいのは、日数より一発承認率です。数値を書けば7割が一度で通り、書かなければ2割。差し戻し1回で2〜3週間遅れますから、手間は必ず回収できます。
目標に置く数字が決まりませんか。
同じ規模・同じ業種で、どのくらいの数字なら現実的かをお伝えできます。 リニューアルの相談内容を見る →
07現状の課題の書き方|例文つき
要点:課題は3つに絞り、それぞれに数字を添えます。数字がないと感想として扱われます。アクセス解析、問い合わせ件数、社内の作業時間。この3方向から拾うと書けます。集め方はリニューアル前のサイト診断にまとめました。
課題を10個並べた企画書をよく拝見します。熱心なのですが、読む側には「優先順位がない」と映ります。絞れないなら、目的が定まっていない証拠です。
拾いどころは、次の3方向です。
- 訪問者の行動。直帰率、スマホからの離脱、特定ページで止まる割合。解析ツールから取れます。
- 問い合わせの数と質。月何件届き、そのうち何割が商談になったか。営業に聞けばわかります。
- 社内の手間。更新の外注回数と費用、原稿を出してから公開までの日数。総務や広報が把握しています。
課題の例文(3つセット)。「①スマートフォンからの閲覧が全体の72%を占めるが、現サイトは横スクロールが必要で、直帰率は68%。②問い合わせフォームは入力項目が14個あり、入力開始者の7割が送信前に離脱。③製品情報の更新は毎回外注しており、年間48万円、公開までに平均9営業日を要している。」
3つとも数字が入り、目的と対応しています。つながっていると、読む側は納得します。
08効果の見込みの書き方|例文つき
要点:効果は「幅」で書きます。1つの数字で言い切ると、届かなかったときに責任問題になります。かといって「増加が見込まれる」では判断できません。幅が最も通ります。費用の考え方はリニューアルの費用と内訳をご覧ください。
効果の欄は一番書きにくいところです。やってみないとわからないからです。それでも書かないと通りません。差し戻し理由の第1位がここでした。
解決策は幅で書くことです。「月8件が12〜15件になる見込み」と書けば、断言を避けつつ比較できる形になります。
| 避けたい書き方 | 例文(そのまま使えます) |
|---|---|
| 問い合わせの増加が見込まれる | 「フォームを14項目から6項目に減らし、公開6か月後に月12〜15件(現在は月8件)。」 |
| コスト削減につながる | 「自社で更新できる状態にし、外注費を年48万円から10万円前後へ。」 |
| 採用に良い影響がある | 「採用ページを新設し、次年度の応募を40名から50〜60名に。採用単価は1名あたり約2万円減る想定。」 |
幅の根拠も1行添えてください。「同規模の他社事例と制作会社のヒアリングによる」で構いません。数字が独り歩きしなくなります。
09効果の示し方別|一度で承認された割合
要点:効果を幅で示した企画書は68%が一度で承認されました。単一の数字で言い切ると47%、定性的な表現では29%です。公開後の数字の追い方はリニューアル後にアクセスが減った原因で解説しています。
| 効果の示し方 | 一度で承認された割合 |
|---|---|
| 幅で示した(例:月12〜15件) | 68% |
| 単一の数字で言い切った | 47% |
| 「増加が見込まれる」と定性的に書いた | 29% |
| 効果に触れなかった | 16% |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。社内稟議の経過をお聞きできた案件が対象です。
言い切ったほうが強く見えるのに、幅のほうが通ります。決裁者は「本当にその数字になるのか」と疑うからです。
10費用・期間・体制の書き方|例文つき
要点:費用は総額ではなく内訳で書き、期間は工程ごとに区切ります。体制の欄には社内の担当も書きます。「誰がやるのか」が空欄だと、決裁者は現場の負担を心配します。工程の目安はリニューアルの期間の目安にまとめています。
費用を「300万円」とだけ書くと、必ず「高くないか」と聞かれます。内訳があれば、その質問は出ません。設計・デザイン・実装・CMS構築・メンテナンスの5つに分ければ十分です。
期間も同じです。「約6か月」ではなく工程ごとに区切ると、社内で何をいつ出せばよいかが見えてきます。
- 費用の例文。「設計・要件整理50万円、デザイン80万円、実装110万円、CMS構築40万円、初年度メンテナンス20万円。合計300万円(税別)。3社の見積り中央値です。」
- 期間の例文。「要件整理6週間、デザイン8週間、実装10週間、移行・確認4週間。合計約7か月。社内の確認は延べ12営業日です。」
- 体制の例文。「決裁:管理本部担当の取締役。窓口:総務部の1名(兼任・週3時間程度)。素材提供:各部署1名。制作は外部委託。」
見積りは金額だけを並べても意味がありません。含まれる内容が会社ごとに違うからです。比較のしかたは相見積もりのコツと注意点で扱っています。
なお、ZenWeb Japanの料金は内容に応じた見積り制です。企画書に載せる概算の段階でもお出しできます。
企画書に載せる概算が必要ですか。
ご要望をお聞きして、内訳つきの概算をお出しします。相見積りの1社としてもご利用いただけます。 ホームページ制作の内容を見る →
11そのまま使える1枚企画書の例文
要点:1枚企画書は7つの欄で構成します。件名、目的、背景、課題、実施内容、費用と期間、効果の見込み。下の例文の数字を置き換えれば、そのまま提出できます。画面設計はワイヤーフレームの作り方が参考になります。
実際の1枚を丸ごとお見せします。製造業の会社を想定した例です。
| 欄 | 記載例 |
|---|---|
| 件名 | コーポレートサイトのリニューアル(ご承認のお願い) |
| 目的 | スマホからの問い合わせを月8件から12件に。製品情報を自社で更新できる体制にする。2027年4月公開が目標。 |
| 背景 | 現サイトは2018年公開。8年が経ち、スマホ閲覧72%の現状に対応できていない。 |
| 課題 | ①スマホでの直帰率68% ②フォーム入力開始者の7割が離脱 ③製品更新が外注のみで年48万円・公開まで9営業日 |
| 実施内容 | スマホ前提の設計に作り替え、フォームを6項目に簡素化。製品ページはCMS化。 |
| 費用・期間 | 300万円(税別、内訳別紙)。約7か月。社内の確認は延べ12営業日 |
| 効果の見込み | 公開6か月後に問い合わせ月12〜15件。更新外注費は年48万円から10万円前後へ。回収の目安は約3年 |
A4で1枚に収まり、読むのに2分もかかりません。これで決まらなければ、20ページ足しても決まりません。
12稟議の段階別|1枚企画書があるときとないとき
要点:1枚企画書を添えた場合、稟議の合計は12日でした。本編だけなら27日です。差が最も大きいのは役員への説明で、5日と12日の開きがあります。リニューアルのご相談では、この1枚づくりからお手伝いしています。
| 稟議の段階 | 1枚企画書あり | 本編のみ |
|---|---|---|
| 上長の確認 | 3日 | 6日 |
| 役員への説明 | 5日 | 12日 |
| 決裁 | 4日 | 9日 |
| 合計 | 12日 | 27日 |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。社内稟議の経過をお聞きできた案件が対象です。
役員に分厚い資料を読む時間はありません。1枚で要点が見えれば、その場で判断できます。見えなければ「持ち帰って検討」となり、2週間待ちです。
13企画書づくりでやりがちな5つの失敗
要点:よくある失敗は5つです。提案書をそのまま出す、デザイン案を先に見せる、専門用語を使う、他社比較を入れない、運用に触れない。どれも決裁者の不安を増やします。リニューアルの失敗例ともあわせてご確認ください。
- 提案書をそのまま出す。提案書は受注のための書類で、自社の課題も社内の負担も書かれていません。1枚は自分で書いてください。
- デザイン案を先に見せる。見た目の話が始まると、目的の議論に戻れません。デザインは承認後で十分です。
- 専門用語をそのまま使う。CMS、レスポンシブ、UI。「自社で更新できる仕組み」「スマホで見やすい作り」と言い換えてください。
- 他社の状況に触れない。「同業3社中2社は昨年までにスマホ対応を済ませています」と1行添えるだけで十分です。
- 公開後の運用を書かない。誰が更新し、年いくらかかるのか。空欄だと「作って終わりでは」と疑われます。自社で更新できるようにする方法も参考になります。
5つとも追加の調査はいりません。書き方を変えるだけで、通り方は大きく変わります。失敗の多くは、書き手が「良く見せよう」としたときに起きるからです。
14まとめ|企画書は決裁者の不安を消す道具
要点:ホームページリニューアルの企画書は、提案を通す道具ではなく、決裁者の不安を消す道具です。目的に数字を入れ、効果を幅で示し、費用を内訳で書く。この3つで、リニューアルの稟議は半分以下になります。
最後に、3行でまとめます。
- 目的に数字を入れる。一発承認率が22%から71%に変わります。ここに一番時間をかけます。
- 効果は幅で示す。言い切るより通ります。根拠を1行添えれば十分です。
- 1枚にまとめる。稟議は27日から12日に縮みます。足すより、削るほうが早いのです。
企画書づくりで大変なのは、文章ではなく数字を集める部分です。アクセス解析の見方がわからない、概算がわからない。ここで止まる方がほとんどです。
ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作会社です。ホームページリニューアルのご相談では、企画書に載せる数字の集め方から一緒に整理しています。まだ社内で何も決まっていない段階でも構いません。
15よくある質問
要点:何ページ必要か、制作会社に手伝ってもらってよいか、数字が取れないときはどうするか。よくいただく5つの質問にお答えします。個別のご事情はリニューアルの窓口からお気軽にお声がけください。
1. ホームページリニューアルの企画書は何ページ必要ですか
決裁用は1枚で十分です。目的、背景、課題、実施内容、費用と期間、効果の見込み。この6項目がA4に収まれば十分です。根拠となる資料は別紙として後ろに添えてください。
2. 企画書づくりを制作会社に手伝ってもらってもよいですか
数字や概算の部分はお手伝いできます。ただし、1枚のサマリーはご自身で書いてください。社内の事情や部署間の力関係は、外部にはわかりません。役割を分けると精度が上がります。
3. アクセス解析の数字が取れない場合はどうすればよいですか
問い合わせ件数と、更新にかかる手間・費用から始めてください。この2つは営業と総務に聞けばわかります。解析ツールが未設置なら、それ自体を課題として書く手もあります。
4. 効果の数字を書いて、達成できなかったら責任を問われませんか
幅で書き、前提条件を1行添えてください。「フォームを6項目に減らした場合、公開6か月後に月12〜15件を見込む」という形です。条件つきの見込みと明記すれば、断定にはなりません。
5. 企画書は誰宛てに書けばよいですか
最終的に予算を決める方に向けて書いてください。途中の上長ではありません。読み手が変わると必要な情報も変わります。決裁者が誰かを先に確認してから書き始めてください。
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ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作会社です。いまのホームページを拝見すれば、企画書に書ける課題と、内訳つきの概算をお出しできます。社内でまだ何も決まっていない段階でも構いません。
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