01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事は、専任のWeb担当者がいない会社に向けたものです。2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、実際のリニューアル案件で見てきた「進む体制」と「止まる体制」の違いを、そのままお伝えします。
リニューアルの打ち合わせで、最初にお聞きすることがあります。「社内では、どなたが決められますか」。この質問にすぐ答えられる会社は、たいてい予定どおりに公開できます。答えに詰まる会社は、途中で止まります。
体制の話というと、組織図を作ってプロジェクトマネージャーを立てて、といった大きな話になりがちです。でも、社員が5名から50名ほどの会社では、そもそも専任者を置けません。総務の方が兼任で、通常業務の合間に進める。それが実情ではないでしょうか。
この記事でお伝えするのは、次の3つです。
- 3つの役割の分け方。人数ではなく役割で分ければ、兼任でも体制は成り立ちます。
- 止まりやすい場所。どの工程で社内待ちが発生したのかを、実際の日数でお見せします。
- 決め方の順番。最初の1週間で何を決めておけば、あとが楽になるのかをまとめました。
本題に入る前に、Web担当者向けにリニューアルの進め方をまとめた動画をご紹介します。
【失敗しない!】サイトリニューアルの進め方|Web担当者向けに、わかりやすく解説
出典動画:YouTube
02リニューアルが止まるのは、制作ではなく社内
要点:リニューアルが遅れる原因の多くは、制作作業ではなく社内の待ち時間です。ZenWeb Japanの集計では、遅れた日数のうち7割以上が社内での確認待ちと素材待ちでした。リニューアルの期間の目安とあわせてご覧ください。
ホームページを持つこと自体は、もう当たり前になりました。総務省の通信利用動向調査でも、自社のホームページを開設している企業は9割を超えています。つまり、いまの案件の多くは新規制作ではなく作り直しです。
作り直しには、新規制作にはない事情がつきまといます。いまのサイトを作った人がもう社内にいない。ドメインの管理会社がわからない。掲載中の実績が、いつの時点のものか誰も把握していない。こうした調べものは、制作会社側では進められません。
遅れの原因を工程ごとに数えると、制作会社の作業待ちより社内の確認待ちのほうが、はるかに長く積み上がります。
実際の案件で、社内側が原因で止まった場面を並べると、次の3つに集約されます。
- 確認が返ってこない。原稿やデザインを送ったあと、社内で回覧されたまま数日が過ぎます。
- 素材が集まらない。写真、会社案内、実績データ。どれも他部署に依頼が必要で、後回しになりがちです。
- あとから意見が増える。公開直前に別の部署から要望が出て、決まっていたはずの内容が動きます。
どれも制作会社が肩代わりできません。だからこそ、始める前に社内の役割を決めておく価値があります。リニューアルの失敗例を見ても、原因の多くは技術ではなく段取りです。
03社内体制は「3つの役割」で決める
要点:リニューアルの社内体制に必要な役割は、決める人・まとめる人・集める人の3つです。3人そろえる必要はなく、1人が2役を兼ねても構いません。大事なのは、それぞれの役を誰が持つかがはっきりしていることです。
役職や部署で分けようとすると、話が複雑になります。「営業部からも一人」「広報も入れたほうが」と考えはじめると、会議の参加者は増える一方で、決まる速さは変わりません。役割で分けると、ここがすっきりします。
| 役割 | 担うこと | 向いている人 |
|---|---|---|
| 決める人(決裁者) | 目的、予算、デザインの最終承認 | 社長、役員、部門長 |
| まとめる人(窓口) | 社内の要望の集約、制作会社との連絡 | 総務、経営企画、Web担当 |
| 集める人(素材担当) | 写真、原稿、実績データの提出 | 各部署の現場担当 |
この3つのうち、いちばん軽く見られがちなのが3つめです。素材集めは誰でもできる作業に見えますが、実際にはいちばん時間がかかります。理由は簡単で、社内の他の人に動いてもらう必要があるからです。
誰を立てればよいか、迷っていませんか。
御社の規模と体制をお聞きしたうえで、現実的な役割の分け方をお伝えします。 リニューアルの進め方を相談する →
04体制の決め方別|予定どおり公開できた割合
要点:3つの役割を始める前に決めた案件は、8割以上が予定どおりに公開できました。何も決めずに始めた案件では3割を切ります。差を生むのは人数ではなく、決め方のタイミングです。
| 社内体制の決め方 | 予定どおり公開できた割合 |
|---|---|
| 3つの役割を始める前に決めた | 82% |
| 窓口だけ決めた | 61% |
| 担当者1名に任せきり | 44% |
| 決めずに始めた | 27% |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。
目を引くのは、真ん中の2つです。窓口だけ決めた案件は6割、担当者1名に任せきりの案件は4割台にとどまりました。担当者を決めたつもりでも、その方に決裁の権限がなければ、確認のたびに上へ回ることになります。
逆に言えば、3つの役をそろえるだけで、公開の見通しはかなり立ちやすくなります。リニューアルの目的の決め方と同じで、始める前の合意が後半の速さを決めます。
05決める人|最後に出てくると、やり直しになります
要点:決裁者にお願いしたいのは、毎回の会議への出席ではありません。最初の方針決めに一度参加していただくことです。ここを飛ばすと、デザインが固まった段階でひっくり返ります。ホームページリニューアルのご相談でも、最初に確認する点です。
よくあるのが、こういう流れです。担当の方が制作会社と打ち合わせを重ね、構成もデザインも固まる。最後に社長へ見せたところ、「思っていたものと違う」と言われる。ここからやり直しになります。
悪気があるわけではありません。社長は最初の方針を聞いていないので、判断の基準がその場の好みしかないのです。方針の段階で一度でも意見をもらっていれば、「前に決めたとおりですね」で終わります。
決裁者に参加していただきたい場面は、次の3つに絞れます。
- 目的を決めるとき。何のために作り直すのか。採用なのか、問い合わせなのか、信頼感なのか。
- 予算の枠を決めるとき。いくらまで出せるのか。上限がわからないと、提案の粒度が定まりません。
- デザインの方向性を選ぶとき。細部ではなく、全体の印象をどちらに寄せるかの一択です。
この3回だけで構いません。あとは窓口の方に任せていただければ、判断のずれはほとんど起きなくなります。
06決裁者の関わり方別|デザイン確定までの往復
要点:方針の段階から決裁者が参加した案件では、デザイン確定までの往復が平均2.1回でした。最終段階で初めて確認した案件では6.5回に増え、確定までの日数も3倍以上に延びています。
| 決裁者が参加した段階 | 確定までの往復回数 | 確定までの日数 |
|---|---|---|
| 方針を決める段階から | 2.1回 | 9日 |
| 初回のデザイン提案から | 2.8回 | 13日 |
| 制作の中盤から | 4.3回 | 22日 |
| 最終段階で初めて | 6.5回 | 34日 |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。
往復が増えると、単純に日数が延びるだけではありません。修正のたびに窓口の方が社内へ説明し直すことになり、その負担が積み上がります。途中で疲れてしまい、細部の詰めが甘くなる案件も見てきました。
デザインの前に構成を固めておくと、この往復はさらに減らせます。ワイヤーフレームの作り方を先に共有しておけば、色や写真の話に入る前に、載せる内容だけを議論できます。
07まとめる人|社内の声を1本にする
要点:窓口の仕事は、社内の要望を集めて優先順位をつけ、1本の依頼にして制作会社へ渡すことです。伝書鳩になってしまうと、意見の食い違いがそのまま制作側へ流れ、修正が膨らみます。
窓口の方から、こんなご相談をよくいただきます。「営業部はこう言っていて、製造部は別のことを言っていて、どちらを優先すればよいのかわかりません」。ここで両方をそのまま制作会社へ伝えてしまうと、判断が制作側に押しつけられます。
窓口に必要なのは、Webの知識ではありません。次の3つができれば十分です。
- 要望を書き留める。口頭で受けた話も、その場で1行にして記録します。
- 優先順位をつける。目的に近いものから並べ替えます。判断に迷えば決裁者に確認します。
- 断る、または先送りする。今回は入れないと決めた要望を、理由とあわせて相手に返します。
3つめがいちばん難しく、いちばん効きます。断る役を窓口が担わないと、要望はすべて制作会社へ流れ、見積りも期間も膨らみます。リニューアル企画書の書き方で優先順位を先に文書化しておくと、断る根拠にもなります。
なお、窓口の方に決裁の権限まで持たせる必要はありません。「私は決められないので確認します」と言えるほうが、かえって話は速く進みます。
08窓口の人数別|差し戻しと公開の遅れ
要点:窓口が1名の案件は、要望の差し戻しが平均3.2件、公開の遅れは4日でした。3名以上になると差し戻しは9.1件、遅れは19日まで増えます。窓口は増やすほど遅くなります。
| 窓口の人数 | 差し戻し件数 | 公開の遅れ | 予定どおり公開 |
|---|---|---|---|
| 1名 | 3.2件 | 4日 | 78% |
| 2名(正・副) | 3.8件 | 6日 | 71% |
| 3名以上 | 9.1件 | 19日 | 38% |
| 決めていない | 12.4件 | 27日 | 24% |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。
1名と2名の差はわずかです。ところが3名以上になると、数字が一段変わります。理由は単純で、誰が最終的にまとめるのかが曖昧になるからです。3名それぞれが別々に要望を伝え、あとから食い違いが発覚します。
おすすめは、正の窓口を1名、副を1名という形です。副は代役であって、並列の窓口ではありません。この違いを社内に伝えておくだけで、混乱は避けられます。
09集める人|写真と原稿が最後まで残る
要点:素材の提出は、リニューアルでいちばん遅れる工程です。写真と原稿は制作会社が用意できないため、社内で誰が集めるのかを最初に決めてください。既存データの移行手順とセットで考えると抜けが減ります。
デザインが決まっても、中に入れる写真と文章がなければ公開できません。そして、この2つが集まらない理由はいつも同じです。他の部署に頼まないと手に入らないからです。
実際に時間がかかりやすいのは、次のようなものです。
- 社員や現場の写真。撮影日を決めるところから始まるため、日程調整に時間がかかります。
- 実績や施工事例。掲載してよいかどうか、取引先への確認が必要になることがあります。
- サービスの説明文。現場の言葉をそのまま出すか、書き直すかで意見が割れます。
- 数字の入った資料。売上や導入社数など、最新の値を取り直す手間が発生します。
集める人の役は、必ずしも一人にまとめる必要はありません。部署ごとに提出担当を決めて、窓口の方が期日だけ管理する形でも回ります。大事なのは、誰に催促すればよいかがはっきりしていることです。
公開後も自社で写真や文章を差し替えたい場合は、更新のしやすさも設計の段階で決まります。自社で更新できるようにする方法もあわせてご覧ください。
10工程別|社内待ちで止まった日数
要点:社内待ちの日数を工程順に並べると、写真・素材の提出が平均12日で最も長く、全体の28%を占めました。原稿の確認とデザインの承認を合わせると、社内待ちの4割がこの3工程に集まります。
| 工程(進む順) | 社内待ちの平均日数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 1. 目的を決める | 6日 | 14% |
| 2. 制作会社を選ぶ | 5日 | 12% |
| 3. 原稿を確認する | 9日 | 21% |
| 4. 写真・素材を提出する | 12日 | 28% |
| 5. デザインを承認する | 8日 | 19% |
| 6. 公開前に最終確認する | 3日 | 6% |
出典:ZenWeb Japanのリニューアル案件集計(日本国内、2019〜2026年)。
並べてみると、山は中盤にあります。制作会社を選ぶまでは意外と速く、原稿と写真の段階で一気に止まる。これは多くの会社に共通する形です。
対策も、その中盤に寄せるのが効きます。制作会社が決まった週に素材の一覧と期日を作ってしまえば、写真の撮影日も早めに押さえられます。相見積もりの進め方を検討中の段階から、素材の準備は始められます。
素材の準備、どこから始めればよいでしょうか。
御社のいまのサイトを拝見すれば、必要な素材と集める順番をお伝えできます。 ホームページ制作の内容を見る →
11体制を決める5つの手順
要点:社内体制は、最初の1週間で決められます。決裁者の確認、窓口の指名、素材担当の割り当て、判断の基準づくり、社内への共有。この5つで十分です。
リニューアルの社内体制を1週間で決める手順
会議を何度も開く必要はありません。次の順番で進めれば、通常業務のあいだでも決められます。
- 決裁者を確認する。最終的に「これでいく」と言える方が誰なのかを、先に確定します。社長なのか、部門長なのか。ここが曖昧なまま進めないでください。
- 窓口を1名指名する。制作会社との連絡をすべて受ける方を決めます。必要なら副を1名だけ置き、代役であることを社内に伝えます。
- 素材の担当を部署ごとに割り当てる。写真、原稿、実績データについて、誰が出すのかを部署単位で決めます。人数は問いません。
- 判断の基準を1行で書く。「採用の応募を増やす」など、目的を短く言葉にします。要望を断るときの根拠になります。
- 社内に共有する。決めた役割と目的を、メールでも掲示でも構わないので全社に伝えます。あとからの横やりが減ります。
この5つを終えてから制作会社に声をかけると、最初の打ち合わせの中身が変わります。目的の決め方と社内合意の作り方を先に読んでおくと、4つめが書きやすくなります。
12兼任でも回すための3つの工夫
要点:専任者を置けない会社でも、確認の曜日を固定し、返答の期限を決め、決められない点を早めに上げる。この3つで体制は回ります。時間の量ではなく、決まった時間を作ることが効きます。
兼任の担当者がいちばん困るのは、通常業務の合間にリニューアルの確認が飛び込んでくることです。そこで、次の3つを最初に決めておきます。
- 確認の曜日を固定する。たとえば毎週水曜の午後だけを確認の時間にします。制作会社側も、その前日までに材料をそろえるようになります。
- 返答の期限を決める。受け取ってから3営業日以内に返す、と決めておきます。期限があると、社内の回覧も動きます。
- 決められない点は早めに上げる。迷った時点で決裁者へ相談します。抱え込むと、そのまま数日が過ぎます。
3つとも、Webの専門知識はいりません。社内の段取りの話です。実際、専任者がいない会社でも、この形にしただけで公開日を守れた例は多くあります。
公開したあとの更新も、同じ考え方で決めておくと続きます。誰が、いつ、どこまで更新するのか。ここが決まっていないサイトは、半年で更新が止まります。リニューアル後にアクセスが減った原因にも、更新の停止が関わっています。
13まとめ|体制は最初の1週間で決まる
要点:リニューアルの社内体制でうまくいく会社に共通しているのは、始める前に3つの役割を決めていることです。人数の多さではなく、決め方の早さが公開日を左右します。
この記事の要点を、3つに絞ってまとめます。
- 役割は3つだけ。決める人、まとめる人、集める人。兼任でも構いません。
- 決裁者は最初に。最終段階で初めて登場すると、往復が3倍に増えます。
- 窓口は1名まで。3名以上にすると、差し戻しが9件を超えます。
リニューアルは、社内の段取りが8割です。体制が決まっていれば、制作の工程は思っているより淡々と進みます。まだ何を作り直すかを迷っている段階でしたら、改修とリニューアルの違いから読んでいただくとよいかもしれません。
ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作会社です。ホームページリニューアルでは、体制づくりの段階からご相談を承っています。料金は内容に応じた見積り制です。
14よくある質問
要点:専任者がいない、社長が決められない、部署の意見がまとまらない。リニューアルの社内体制でよくいただく5つの質問にお答えします。個別のご事情はリニューアルの窓口からお気軽にお声がけください。
1. Web担当者がいない会社でもリニューアルはできますか
できます。むしろ、専任者がいない会社のほうが多いのが実情です。総務や経営企画の方が兼任で窓口を担い、確認の曜日と返答の期限だけ決めておけば進みます。Webの知識は制作会社が補いますので、社内で必要なのは段取りの力です。
2. 社長がなかなか時間を取れません。どうすればよいですか
参加していただく場面を3つに絞ってください。目的を決めるとき、予算の枠を決めるとき、デザインの方向性を選ぶときです。この3回だけで、確定までの往復は平均2.1回まで下がります。細部の確認は窓口の方に任せていただいて構いません。
3. 部署ごとに意見が違うときはどう調整しますか
目的を1行で決めておき、それに近い要望から順に採用してください。窓口の方が優先順位をつけ、今回は入れないものを理由とあわせて返す。この形にすると、調整は会議ではなく判断で終わります。判断に迷う点だけ決裁者へ上げてください。
4. 窓口の担当者はどのくらい時間を取られますか
案件の規模によりますが、週に2〜3時間を目安にお考えください。ZenWeb Japanの集計では、社内待ちの山は原稿の確認と素材の提出に集まっています。この2つの期間だけ厚めに時間を確保しておけば、それ以外の週は短い確認で済みます。
5. 体制が決まらないまま相談してもよいですか
問題ありません。誰が決裁者になるかも含めて、ご一緒に整理していきます。実際、最初のご相談の時点で体制が固まっている会社のほうが少数です。いまのホームページと社内の状況をお聞きしたうえで、現実的な進め方をお伝えします。
社内の進め方から、一緒に整理しませんか?
ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作会社です。いまのホームページと社内の状況を拝見すれば、誰を立てて、どの順番で進めればよいのかをお伝えします。体制が決まっていない段階でも構いません。
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