01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事は、社内でWebに関わる仕事をひとりで抱えている方に向けたものです。2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、ひとりWeb担当者の体制でも回っている会社と、止まってしまう会社の違いを、数字と具体例でお伝えします。
Web担当者が一人の会社は、日本の中小企業ではめずらしくありません。総務や広報の方が、本業のかたわらでホームページを見ている体制がほとんどです。
問題は仕事量より構造にあります。決めることも、手を動かすことも、社内の窓口も、全部が一人に集まっています。
この記事でお伝えするのは、次の3つです。
- 「忙しい」の分解。時間の内訳を見ると、減らせる仕事と減らせない仕事がはっきり分かれます。
- 外注設計の線引き。何を手元に残し、何を外に出すか。判断基準はひとつだけです。
- 止まらない仕組み。依頼の型と記録の残し方。担当が代わってもサイトが死なない形を作ります。
まずは、Web担当者の仕事の全体像を短時間で押さえておきましょう。次の動画が参考になります。
【初心者向け】WEB担当者になったら最初に観る動画
出典動画:YouTube
02「忙しい」の正体は作業量ではありません
要点:ひとりWeb担当者の負担は、作業の多さではなく、切り替えの多さから生まれます。原稿を書きながら不具合の対応をして、その合間に他部署の依頼を受ける。この往復が時間を溶かします。公開後の運用でやることを並べてみると、その構造が見えます。
作業そのものは、実はそれほど重くありません。お知らせを1本足す、写真を差し替える。慣れれば数十分の仕事です。
重いのは、その前後にあるものです。「これ載せていいのか」「誰に確認するのか」「先月の依頼はどうなったか」。判断と調整が、作業の何倍もの時間を食います。
一人がつらいのは、手が足りないからではありません。頭の切り替えが多すぎるからです。
中小企業庁の2025年版中小企業白書では、デジタル化の取組内容のうち「自社ホームページの作成・更新」の回答割合が最も高くなっています。同じ資料では、DXを進めるうえでの問題点として「推進する人材が足りない」を挙げる企業も多い、と整理されています。やることは最優先なのに、人はいない。ひとりWeb担当者は、その隙間に立っています。
03ひとりWeb担当者の1か月の時間の使い方
要点:兼任のひとりWeb担当者にお聞きすると、Web関連の作業は月30〜40時間ほどです。うち社内の判断がいるものは4割弱。残りは手順さえあれば誰でも同じ結果になる仕事です。保守費用の内訳と重ねると、渡せる範囲が見えます。
| 業務の種類 | 月あたりの時間 |
|---|---|
| 原稿づくりと文章の確認 | 8.5時間 |
| 社内調整と依頼の受け付け | 7.5時間 |
| 画像・バナーの用意 | 6.0時間 |
| ページの更新作業 | 5.5時間 |
| 不具合の調査と対応 | 4.0時間 |
| アクセス数の確認と報告 | 3.5時間 |
| CMS・プラグインの更新 | 3.0時間 |
出典:ZenWeb Japanの運用・メンテナンス案件の集計(日本国内、2019〜2026年)。担当者の体制をお聞きできた案件が対象です。
合計すると月38時間ほど。週に換算すると1日弱です。これを本業のかたわらで回すのですから、他の仕事が押されるのは当然です。
注目していただきたいのは、上位2つです。原稿づくりと社内調整で、全体の4割を占めています。どちらも外に出しにくい仕事です。
いまの運用、どこまで渡せるか見てみませんか。
サイトの構成と更新の頻度を拝見すれば、外に出せる範囲と月額の目安をお出しできます。 WordPressの保守内容を見る →
04外注設計は「判断」と「作業」を分けることから
要点:外注設計の基準はひとつだけです。「社内の事情を知らないと決められないか」。知らないと決められない仕事は手元に残し、手順があれば誰でも同じ結果になる仕事は外に出します。自作と外注の判断基準も、突きつめると同じ線引きです。
よくある失敗は、業務の名前で分けてしまうことです。「更新は外注」「文章は社内」。この分け方だと、必ず抜けが出ます。
たとえば同じ「文章」でも、社長のあいさつ文と製品仕様の説明では性質が違います。前者は社内でしか書けません。後者は資料さえ渡せば外でも書けます。
分けるときは、次の5つの手順で進めてください。
Webの仕事を判断と作業に分ける手順
付箋でも表計算ソフトでも構いません。1時間ほどで終わります。
- Web関連の仕事を全部書き出す。月に1回でも発生するものは、すべて1行にします。ここで漏らすと後で戻ってきます。
- 1行ずつ「社内の事情がいるか」を書く。いる・いらないの二択です。迷ったら「いる」にしておきます。
- 「いらない」の行を集める。これが外に出せる候補です。だいたい全体の6割前後になります。
- 候補の中から、頻度の高いものを3つ選ぶ。まとめて渡すより、多いものから渡すほうが効果を実感できます。
- その3つの手順書を1枚ずつ作る。渡す相手に読ませる前提で書きます。書けないものは、まだ渡せない仕事です。
5番目でつまずく方が多くいらっしゃいます。手順が書けないのは、自分の頭の中だけで処理していた証拠です。逆に言えば、ここを書けた時点で仕事の半分は片づいています。
05業務別|社内に残すか、外に出すかの判断結果
要点:実際に線を引いてみると、結果はきれいに割れます。CMSの更新や不具合対応はほぼ全部が外へ。原稿と社内調整はほぼ全部が手元に残ります。判断が割れるのは画像づくりと報告の2つだけです。外注と内製の判断基準とあわせてご覧ください。
| 業務の種類 | 社内に残す | 外に出す |
|---|---|---|
| 原稿づくりと文章の確認 | 88% | 12% |
| 社内調整と依頼の受け付け | 96% | 4% |
| 画像・バナーの用意 | 41% | 59% |
| ページの更新作業 | 17% | 83% |
| 不具合の調査と対応 | 6% | 94% |
| アクセス数の確認と報告 | 48% | 52% |
| CMS・プラグインの更新 | 9% | 91% |
出典:ZenWeb Japanの運用・メンテナンス案件の集計(日本国内、2019〜2026年)。担当者の体制をお聞きできた案件が対象です。
CMSの更新や不具合対応を社内で抱える理由は、ほぼありません。判断が割れる2つにも分け方があります。画像は「型が決まっているもの」だけ外へ。報告は「数字を集める作業」を外に出し、「どう読むか」は社内に残します。
06手元に残す3つの仕事
要点:ひとりWeb担当者が握っておくべきは、掲載の可否、優先順位、予算の3つです。この3つを外に渡すと、外注先が動くたびに社内で確認が発生し、かえって時間が増えます。予算の考え方はホームページ制作費の勘定科目の記事も参考になります。
- 掲載してよいかの判断。お客様の名前、価格、実績の数字。出してよい範囲は社内の人しか知りません。ここを外注先に委ねると事故が起きます。
- どれを先にやるかの決定。依頼が5件あるとき、順番を決められるのは社内の事情を知る人だけです。外注先は「全部やります」としか言えません。
- お金の枠の管理。年間いくらまで使えるか、どの費目から出るか。これを握っていないと、見積りが出るたびに止まります。
逆に言えば、この3つ以外はほとんど渡せます。デザインの良し悪しも、技術的な選択も、外の判断でかまいません。
3つを決めたら、答えを1枚にまとめておいてください。掲載可否のルール、優先順位のつけ方、今年度の予算枠。この1枚で、確認の往復が減ります。
07外に出してよい仕事と、渡すときの注意点
要点:更新作業、CMSと通信環境のメンテナンス、不具合の調査、決まった型の画像づくり。この4つは制作会社に渡せます。渡すときは完成形ではなく、判断できる材料を添えてください。ワイヤーフレームの作り方を知っておくと、伝え方の精度が上がります。
渡すときに一番よくある失敗は、指示が細かすぎることです。「この文字を14ピクセルに」と書くより、「スマホで読みにくいと言われた」と伝えるほうが、良い答えが返ってきます。
もうひとつは、まとめすぎです。3か月分の依頼を一度に渡すと、優先順位がわからず、結局全部が遅れます。
依頼の粒度は、次を目安にしてください。
- 目的を1行。何のための変更かを書きます。「採用ページを見た方に応募してほしい」で十分です。
- 現状の困りごとを1〜2行。解決策ではなく、起きている事実を書きます。
- 期限と優先度。「今月中・優先度中」のように、二語で構いません。
なお、ZenWeb JapanはWeb制作とシステム開発が専門です。広告運用やSNSの投稿代行は守備範囲ではありませんので、その分野は別の専門会社にご相談ください。
依頼の書き方から一緒に決めませんか。
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08依頼の出し方別|差し戻し率と着手までの日数
要点:同じ内容の依頼でも、渡し方で結果が変わります。口頭だけの依頼は約半分が差し戻しになり、決まった書式を使うと1割強まで下がります。着手までの日数も4分の1になります。依頼する前に準備すべきことが、そのまま効いてきます。
| 依頼の出し方 | 差し戻しの発生率 | 着手までの日数 |
|---|---|---|
| 口頭・電話で伝えるだけ | 48% | 4.2日 |
| メール本文に文章で書く | 34% | 2.8日 |
| 決まった依頼書式に記入 | 12% | 1.1日 |
| 共有シートで一覧にする | 9% | 0.8日 |
出典:ZenWeb Japanの運用・メンテナンス案件の集計(日本国内、2019〜2026年)。依頼の経路を確認できた案件が対象です。
差が生まれる理由は単純です。書式には、こちらが確認したい項目があらかじめ並んでいます。口頭だと、その項目が抜けたまま話が終わります。
共有シートがさらに速いのは、順番が見えるからです。5件並んでいれば、上から手をつけられます。優先度の確認メールが不要になります。
09窓口とリズムを1つに決める
要点:ひとりWeb担当者を守るのは、窓口の一本化と月次のリズムです。依頼はすべて1か所で受け、外注先とのやり取りは月に1回まとめる。この2つだけで、割り込みが目に見えて減ります。制作の流れを社内に共有しておくと、さらに効果的です。
社内の依頼は、あらゆる経路から来ます。廊下での立ち話、チャット、メール、会議の最後の一言。全部受けていると、記憶だけで管理することになります。
受け口を1つに決めてください。共有シートでも、チャットの1チャンネルでも構いません。大事なのは「ここ以外では受けません」と社内に伝えることです。
外注先とのやり取りにも、リズムを作ります。
- 依頼は週1回まとめて送る。思いついた順に送ると、こちらも相手も優先順位を見失います。
- 打ち合わせは月1回・30分。先月やったことと今月やることだけ。長い会議は要りません。
- 緊急の連絡経路は別に決める。サイトが落ちたときだけ使う番号やチャットを、最初に握っておきます。
この形にすると、Webの仕事が「毎日ちょっとずつ」から「週に1回まとめて」に変わります。切り替えが減るぶん、体感の負担は大きく下がります。
10引き継げる状態を作っておく
要点:ひとりWeb担当者の最大のリスクは、忙しさではなく交代です。契約情報、管理画面の入り口、外注先の連絡先。この3つが共有されていないと、担当が代わった瞬間にサイトは触れなくなります。保守費用の内訳も残してください。
実際に多いのが、退職や異動のときです。引き継ぎ資料はあっても、書いてあるのは更新の手順だけ。契約まわりが抜けています。
最低限、次の情報を1つのファイルにまとめて、上司と共有しておいてください。
- ドメインの契約先と更新月。更新を忘れるとサイトが消えます。年に1回しか出番がないぶん、忘れられやすい情報です。
- サーバーの契約先と支払い方法。個人のクレジットカードで払っていた、という事例が本当にあります。
- 管理画面のURLと権限の一覧。誰がどの権限を持っているかまで書きます。
- 外注先の担当者名と連絡先。会社名だけでは足りません。窓口の方の名前まで残します。
- 解析ツールなどの管理者アカウント。個人アカウントで作っていないか、この機会に確認してください。
この作業は1時間ほどで終わります。
11担当者交代時|記録の有無別・更新が止まった日数
要点:担当が代わったあと、サイトの更新が止まる期間には大きな差があります。記録が何もない会社では2か月以上。メンテナンス契約と記録の両方がある会社では2日で復帰しています。サイト診断のやり方を年に一度回しておくと、記録も自然に残ります。
| 交代前の記録の状態 | 更新が止まった日数 |
|---|---|
| 記録なし(前任者の記憶のみ) | 63日 |
| 更新手順のメモだけあり | 31日 |
| 契約とアカウントも記録 | 9日 |
| 記録あり+メンテナンス契約あり | 2日 |
出典:ZenWeb Japanの運用・メンテナンス案件の集計(日本国内、2019〜2026年)。担当者交代の経緯を確認できた案件が対象です。
記録なしの63日は、大げさな数字ではありません。管理画面に入れず、契約先もわからず、まず調べるところから始まるためです。
記録を残す作業は1時間。残さなかった場合の代償は、2か月分の空白です。
メンテナンス契約があると2日で戻るのは、外に「もう一つの記憶」があるからです。ひとりWeb担当者の会社ほど、外部との継続的な関係が効きます。
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12ひとり体制の会社が見るべき外注先の条件
要点:ひとりWeb担当者にとって大事なのは、デザインの上手さより「聞かなくても進むか」です。窓口が固定されているか、小さな依頼を受けてくれるか、記録を残してくれるか。制作会社の選び方の中でも、この3つは特に重く見てください。
制作会社を選ぶとき、多くの方が実績とデザインを比べます。それも大事ですが、ひとり体制では優先順位が変わります。
- 窓口が固定されているか。毎回違う人が出てくると、こちらが毎回説明することになります。ひとり体制には一番きつい形です。
- 小さな依頼を嫌がらないか。「文字を1行直す」を受けてもらえるかどうか。大きな案件しか受けない会社だと、日々の運用が止まります。
- 作業の記録を残してくれるか。いつ何をしたかが残っていれば、それがそのまま引き継ぎ資料になります。
見積りを見るときも、金額の大小より内訳を見てください。何にいくらかかっているかがわからない見積りは、後で必ずもめます。見積書の見方を押さえておくと、比較が楽になります。
ZenWeb Japanは2000年創業で、ホームページ制作とWebシステム開発を手がけています。ひとり体制のお客様には、窓口を固定した形をご提案しています。
13ひとり体制でやりがちな5つの失敗
要点:よくある失敗は5つに集まります。全部やろうとする、依頼を口頭で受ける、記録を後回しにする、外注先を安さだけで決める、そして相談する相手を作らない。どれも悪気なく起きます。依頼前の準備を先に整えておけば、大半は防げます。
- 全部を自分でやろうとする。頼まれたことを断らないうちに、Web以外の雑務まで集まります。受ける範囲を先に決めてください。
- 依頼を廊下で受けてしまう。その場では覚えていても、翌日には消えています。「シートに書いてください」と返すだけで防げます。
- 記録を「落ち着いたら」にする。落ち着く日は来ません。月に30分だけ予定に入れておくのが現実的です。
- 外注先を金額だけで選ぶ。安い代わりに窓口が毎回変わる会社だと、説明の時間で差額が消えます。制作費用の相場を知ったうえで比べてください。
- 社内に相談相手を作らない。Webの話が通じる人が一人もいないと、判断が全部止まります。上司に月1回だけ数字を見せる習慣をつけてください。
5つ目は見落とされがちですが、実は効きます。数字を共有していると、予算の相談も通りやすくなります。
14まとめ|一人でも回る形は作れます
要点:ひとりWeb担当者に必要なのは、増員でも根性でもありません。判断と作業を分け、渡し方を書式で決め、記録を残す。この3つで、体制はそのままでも回りはじめます。まずは運用でやることの洗い出しから始めてください。
最後に、3行でまとめます。
- 線を引く。社内の事情がいる仕事だけ残します。だいたい4割です。
- 書式で渡す。口頭をやめて書式にするだけで、差し戻しが48%から12%に下がります。
- 記録を残す。1時間の作業が、交代時の2か月を守ります。
Web担当者が一人という体制そのものは、悪いことではありません。決定が速く、社内の事情もよくわかっています。足りないのは人手ではなく、外に出す設計です。
ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作会社です。ひとり体制の会社さまとは、まず時間の内訳を一緒に書き出すところから始めています。
15よくある質問
要点:どこから外注すべきか、予算が少ないときはどうするか、専門知識がなくても務まるか。よくいただく5つの質問にお答えします。個別のご事情は保守のご相談窓口からお気軽にお声がけください。
1. 最初に外注すべき業務はどれですか
CMSとプラグインの更新です。手順が決まっていて、社内の事情がまったく要らず、放置するとセキュリティの問題に直結します。月額のメンテナンス契約に含まれることが多く、追加費用も出にくい部分です。
2. 予算がほとんどない場合はどうすればよいですか
お金より先に、依頼の書式と記録から始めてください。どちらも費用はかかりません。差し戻しが減るだけで、月に数時間は戻ってきます。そのうえで更新作業だけを月額で頼む形が現実的です。
3. Webの専門知識がなくても担当は務まりますか
務まります。必要なのは技術の知識ではなく、掲載可否の判断と優先順位づけです。どちらも社内の事情を知る方にしかできません。技術的な部分は外注先に聞けば済みます。
4. 兼任のまま続けるべきか、専任を採用すべきか
更新の頻度で判断してください。月に数回の更新なら、兼任と外注の組み合わせで足ります。毎週コンテンツを出し、複数のサイトを持つ段階になると、専任を置いたほうが結果的に安くつきます。
5. 外注先が1社だけで大丈夫でしょうか
制作とメンテナンスを1社にまとめるのは、ひとり体制ではむしろ合理的です。窓口が増えるほど説明の手間が増えます。ただし契約情報とアカウントだけは、自社で管理してください。
一人で抱えている状態から、一緒に整理しませんか?
ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作会社です。いまの運用を伺えば、外に出せる範囲と、月にどれだけ時間が戻るかの目安をお出しできます。社内でまだ何も決まっていない段階でも構いません。
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