01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事は、制作会社から「原稿は御社でご用意ください」と言われた発注側の方に向けたガイドです。何を、どの順番で、どこまで書けばよいのかを整理します。全体の工程はホームページ制作の流れもあわせてご覧ください。
キックオフの打ち合わせが終わり、制作会社から連絡が届きます。「では、原稿をお願いします」。ここで手が止まる会社は多いです。
ホームページの原稿について書かれた記事の多くは、文章のコツを教えてくれます。どれも正しい話です。ただ、依頼した側が最初に困るのはそこではありません。どこまでを自分たちが書くのかが分からない。ここです。
この記事では、2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、実際の案件で発注側とやりとりしてきた経験をもとに、原稿づくりの進め方をまとめます。文章術ではなく段取りの話です。
本題に入る前に、依頼前の準備を短時間でつかめる動画をご紹介します。
ホームページ制作の前に!WEB制作のプロが教える準備リスト
出典動画:YouTube
02ホームページの原稿とは?誰がどこまで書くのか
要点:ホームページの原稿とは、各ページに載せる文章のもとになる素材のことです。完成した文章である必要はありません。どのページに何を載せるかは、サイト構成図で先に決まっているはずなので、原稿はその箱を埋めていく作業になります。
まず言葉の整理です。制作の現場で「原稿」と呼ぶものは、二つに分かれます。
- 事実の素材。正式名称、沿革、資格や許可番号、対応エリア、料金、実績の数字。社内にしかない情報で、発注側しか出せません。
- 伝え方の文章。見出しのつけ方、リード文、選ばれる理由の言い回し。書き慣れた人なら早いですが、発注側の仕事とは限りません。
この二つを分けずに「原稿をお願いします」と言われるので、話がややこしくなります。実際の分担は、次の三つに落ち着きます。
| 分担のパターン | 発注側がやること | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 自社で全文を書く | 見出しから本文まで、すべて用意する | 広報担当がいて、書き慣れている |
| 素材を出し、整えてもらう | 箇条書きと既存資料を渡し、文章は任せる | 中小企業の多く(もっとも現実的) |
| 取材して書いてもらう | ヒアリングに答え、事実確認をする | 社内に書ける人も時間もない |
真ん中のパターンが、いちばん多く選ばれます。事実は社内から、言い回しは制作会社から。なお、取材ライティングは別料金になるのが一般的です。見積りの段階で確認しておいてください。
03なぜ原稿が制作の納期を止めるのか
要点:原稿が届かないと、デザインも組み立ても先に進みません。文字数が決まらないと見た目が決まらないからです。ワイヤーフレームまで承認が終わっているのに公開日が動くとき、原因はたいてい原稿の遅れです。
「デザインを先に進めてください」と言われることがあります。ただ、仮の文字で作ったデザインに本物の原稿を入れると、たいてい収まりません。
たとえば、こんなずれが起きます。
- 見出しが長すぎて二行になる。一行で組んだデザインが崩れ、余白も取り直しです。
- 本文が想定の半分しかない。スカスカに見えるので、写真を足すかレイアウトを作り直すかの判断が要ります。
- 項目数が合わない。3つ並びで作った箇所に5項目届けば、並べ方から考え直しです。
つまり原稿は、デザインの材料です。材料が届く前に形だけ作ると、届いた瞬間に作り直しになります。原稿の遅れは、そのまま公開日の遅れです。
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04制作が止まった原因の内訳|原稿はどれくらい効くか
要点:予定より公開が遅れた案件を振り返ると、止まった原因の4割超が原稿待ちでした。写真待ちや社内決裁がそれに続きます。費用の話は見積書の見方にまとめていますが、納期を左右するのは金額ではなく素材の到着です。
実際にどこで止まったのか、当社の案件を振り返って整理しました。
| 止まった原因 | 割合 | 目安 |
|---|---|---|
| 原稿が届かない | 44% | |
| 写真・素材が届かない | 21% | |
| 社内の確認・決裁が長引いた | 18% | |
| 公開直前の追加要望 | 11% | |
| サーバー・ドメインの手続き | 6% |
出典:ZenWeb Japanの制作案件をもとにした整理(2024〜2026年)。規模や体制により前後します。
上位二つを足すと6割を超えます。どちらも発注側から届く素材です。逆に言えば、原稿と写真の段取りさえ組めば、遅れの大半は避けられます。写真についてはホームページ写真の撮り方で扱っています。
05ホームページの原稿の書き方|5つのステップ
要点:ホームページの原稿の書き方は、読み手を決める→伝えることを箇条書きにする→順番を並べ替える→文章にする→社内で確認する、の5ステップです。どのページを書くかは必要なページ構成の一覧で先に固めておきます。
いきなり文章から書き始めると手が止まります。順番どおりに進めてください。
- そのページを読む人を一人決める。「見込みのお客様」では広すぎます。「小ロットの加工先を探している町工場の購買担当」くらいまで絞ります。ページごとに違ってかまいません。
- 伝えることを箇条書きで全部出す。文章にはまだしません。営業で毎回話していること、よく聞かれる質問、断られる理由への答え。ここが原稿の中身です。
- 読み手にとって大事な順に並べ替える。社内で言いたい順ではなく、相手が知りたい順です。多くの場合、会社の歴史より「何ができるのか」が先です。
- 箇条書きをつないで文章にする。一文は短く、一つの文に一つの内容だけ。話し言葉のままでも、制作会社が整えられます。
- 社内で確認して、数字と表記をそろえる。金額、日付、資格名、対応エリアは社内でしか確認できません。表記のゆれ(弊社/当社など)もここでそろえます。
4番で手が止まる方が多いのですが、3番まで終わっていれば十分に渡せます。箇条書きのままでも問題ありません。
06ページ種類別・原稿の文字数の目安
要点:「どれくらい書けばいいですか」への答えは、ページによって違います。トップページは意外と少なく、サービス紹介がいちばん多くなります。ページごとの役割はコーポレートサイトのページ構成で整理しています。
ページ種類ごとに、実際どれくらいの分量になるのかを並べました。
| ページ種類 | 文字数の目安 | 用意する時間 | 迷いやすい点 |
|---|---|---|---|
| トップページ | 400〜800字 | 2〜3時間 | 全部載せたくなる |
| 会社概要 | 300〜600字 | 1〜2時間 | 登記情報との照合 |
| サービス・商品(1ページ) | 800〜1,500字 | 3〜5時間 | 専門用語が増える |
| 実績・導入事例(1件) | 400〜800字 | 2〜3時間 | 取引先への掲載許可 |
| 代表あいさつ | 400〜700字 | 2〜4時間 | 本人の確認に時間がかかる |
| 採用情報 | 600〜1,200字 | 3〜4時間 | 労働条件の表記 |
| よくある質問(5問) | 500〜1,000字 | 1〜2時間 | 質問の選び方 |
出典:ZenWeb Japanの制作案件をもとにした整理(2026年)。業種や構成により前後します。
意外に思われるのがトップページです。顔になるページだから多く書く、ということはありません。各ページへの入口なので、短いほうが読まれます。時間がかかるのは、社外の確認が入るページです。
07ページ別・原稿に必ず入れる項目
要点:何を書くか迷ったら、ページごとの必須項目から埋めてください。制作前の準備全般は依頼前に準備すべきことにまとめています。抜けやすいのは、対応エリアと料金の考え方の二つです。
白紙から書くのは大変ですが、埋める項目が決まっていれば進みます。
- トップページ。何をしている会社か(一文)、誰に向けたものか、他と何が違うか、次にどこを見てほしいか。
- 会社概要。正式名称、所在地、設立年、代表者名、資本金、従業員数、事業内容、許認可番号。登記簿と突き合わせます。
- サービス紹介。できること、対象のお客様、進め方、料金の考え方、対応エリア、納期の目安、よくある質問。
- 実績・事例。お客様の業種、依頼の背景、実施した内容、結果。社名を出すなら先方の許可を取ってください。
- お問い合わせ。連絡先、受付時間、返信までの目安、相談できる範囲、個人情報の扱い。
いちばん抜けやすいのが対応エリアと料金の考え方です。金額を出せない事情は分かりますが、「30万円から」のような幅の表現があるだけで、お問い合わせの質が変わります。何も書かないと、そもそも来ません。
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08原稿の渡し方で、修正回数はどう変わるか
要点:同じ内容でも、渡し方で修正回数が変わります。ページごとに分けたファイルで、どこに入る文章かを書き添えて渡すと、往復が減ります。渡す単位はワイヤーフレームの読み方で決まった枠に合わせるのが基本です。
見落とされがちなのが、原稿の渡し方です。渡し方別に、公開までの修正が何回になったのかを整理しました。
| 渡し方 | 平均の修正回数 | 目安 | 起きやすい行き違い |
|---|---|---|---|
| ページ別のファイル+見出しの指定 | 1.4回 | ほとんど起きない | |
| 全ページ分をまとめた1ファイル | 2.6回 | どこに入る文章か分からない | |
| 既存パンフレットのPDFを丸ごと | 3.8回 | 載せる範囲の解釈がずれる | |
| メール本文に少しずつ追記 | 4.3回 | 最新版がどれか分からなくなる |
出典:ZenWeb Japanの制作案件をもとにした整理(2024〜2026年)。ページ数により前後します。
いちばん上といちばん下で3倍近い差があります。文章の質ではなく、渡し方だけでこれだけ変わります。ページごとにファイルを分け、見出し・本文・注釈がひと目で分かる形にしてください。差し替えは日付入りのファイル名で送り直します。メール本文への追記は、あとで混乱します。
09読まれる原稿にする5つのコツ
要点:読まれる原稿のコツは、結論から書く、一文を短くする、専門用語を言い換える、数字で示す、読み手の言葉を使う、の5つです。文章と写真の組み合わせについてはホームページ写真の撮り方もあわせてご覧ください。
ここは文章の話です。難しいことはありません。5つだけ意識してください。
- 結論から書く。「弊社は昭和58年の創業以来…」ではなく「金属加工を1個から承ります」から始めます。読み手は最初の数行で読むかを決めます。
- 一文を短くする。句点までが60字を超えたら、二つに分けられないか考えます。読点でつなぎ続けた長い文は読み飛ばされます。
- 専門用語を言い換える。社内で当たり前の言葉ほど危ないです。必要なら、初出のところに一行だけ説明を添えます。
- 数字で示す。「豊富な実績」より「年間120件」。「短納期」より「最短3営業日」。具体的な数字が、そのまま信用になります。
- 読み手の言葉を使う。社内では「表面処理」でも、お客様は「サビ止め」と検索しているかもしれません。営業が現場で聞く言い方を使ってください。
もうひとつ、前提として押さえたいことがあります。総務省の令和7年版情報通信白書によると、インターネット接続端末としてのスマートフォンの利用率は2024年で74.4%です(総務省「令和7年版 情報通信白書」インターネット接続端末)。原稿は、スマホの細い画面で読まれます。パソコンで「ちょうどいい」と感じた段落が、スマホでは10行を超えることもあります。書き終えたら、スマホの画面幅で読み返してください。
10規模別・原稿づくりにかかる日数の目安
要点:原稿づくりは、10ページ規模で約3〜4週間、30ページ規模で約7〜9週間が目安です。書く時間より、社内の確認と修正に日数がかかります。全体の日程は制作の流れとあわせて逆算してください。
スケジュールを引く目安として、工程ごとの日数を規模別に並べました。通常業務と並行した場合の実日数です。
| 工程 | 10ページ規模 | 30ページ規模 | 60ページ超 |
|---|---|---|---|
| 読み手と方針を決める | 2〜3日 | 4〜5日 | 7〜10日 |
| 素材と情報を集める | 3〜5日 | 7〜10日 | 14〜20日 |
| 下書きを書く | 5〜7日 | 12〜18日 | 25〜35日 |
| 社内で確認・決裁を取る | 7〜10日 | 14〜21日 | 21〜30日 |
| 修正して確定させる | 3〜5日 | 7〜10日 | 14〜18日 |
| 合計 | 約3〜4週間 | 約7〜9週間 | 約12〜16週間 |
出典:ZenWeb Japanの制作案件をもとにした整理(2026年)。通常業務と並行した場合の実日数です。
縦に見ると、書く時間と同じかそれ以上に、社内の確認へ日数が流れていると分かります。10ページ規模でも1〜2週間、30ページ規模なら3週間前後です。決裁の順番と締切を先に決めると、ここが一気に短くなります。誰に、いつまでに見てもらうか。契約直後に決めてください。
公開までの日程から逆算したい方へ
ZenWeb Japanは、原稿の締切を含めた進行表をお渡ししたうえで制作を進めます。ホームページ制作の進め方を見る →
11自社で書くか、ライティングを依頼するか
要点:判断の分かれ目は文章力ではなく、社内に時間があるかどうかです。自社で書くか外に出すかの考え方は、自作と外注の比較と同じ整理が使えます。事実の素材だけは、どちらを選んでも社内で用意します。
「うちの文章では下手ではないか」と気にされる方が多いのですが、判断すべきは文章力ではありません。書く時間を確保できるかどうかです。
| 比べる点 | 自社で書く | ライティングを依頼する |
|---|---|---|
| 費用 | 追加費用はかからない | ページ単位で別途かかる |
| 社内でかかる時間 | 長い(本文まで書く) | 短い(取材に答える) |
| 現場の言葉 | そのまま反映しやすい | 取材の深さ次第 |
| 公開後の更新 | 自分たちで直せる | 都度の依頼になりやすい |
| 向いている場面 | 担当者を置ける、10ページ前後 | 担当者が兼務、30ページ以上 |
折衷案もあります。会社概要とお問い合わせは自社で、サービス紹介と実績は依頼するという分け方です。事実を並べるページは社内で早く終わり、売上に直結するページだけ任せれば費用も抑えられます。
公開後に自分たちで更新する予定なら、更新のしやすさも相談してください。運用の考え方はホームページ公開後にやることにまとめています。
12まとめ|原稿は決めたことを言葉にする作業
要点:ホームページの原稿は、うまく書く作業ではなく、決めたことを言葉にする作業です。読み手を決め、事実を出しきり、ページごとに分けて渡す。この三つができていれば、あとはホームページ制作を任せている会社が形にしてくれます。
最後に、要点を振り返ります。
- 発注側が用意するのは事実の素材。文章に整えるのは制作会社の仕事にできます。
- 公開が遅れる原因の4割超は原稿待ちです。契約したら真っ先に担当と締切を決めます。
- ページごとにファイルを分けて渡すと、修正の往復が半分以下になります。
- いちばん日数がかかるのは、書く時間ではなく社内で回す時間です。
白紙を前に固まるときは、営業でいつも話していることを箇条書きで10行だけ書き出してみてください。それがそのまま原稿の芯になります。
13よくある質問
要点:原稿づくりについて、発注側からよくいただく質問をまとめました。分量の目安や渡し方については、サイト構成図の作り方とあわせて確認していただくと、全体像がつかみやすくなります。
1. ホームページの原稿は誰が書くのですか?
事実の素材は発注側、文章に整えるのは制作会社という分け方がもっとも多いです。正式名称や料金、実績の数字は社内にしかない情報なので、発注側から出していただきます。言い回しまで自社で仕上げる必要はありません。
2. 原稿は箇条書きのままでも大丈夫ですか?
問題ありません。むしろ無理に文章化しないほうが早く進みます。伝えたいことを箇条書きで出しきり、大事な順に並べ替えて渡していただければ、制作側で整えられます。ただし数字と固有名詞だけは正確にお願いします。
3. 1ページあたり何文字くらい必要ですか?
ページによって変わります。トップページは400〜800字、会社概要は300〜600字、サービス紹介は800〜1,500字が目安です。文字数を埋めるより、必要な項目が入っているかを優先してください。
4. 原稿を渡すときのおすすめの形式はありますか?
ページごとにファイルを分け、見出し・本文・注釈が区別できる形にしてください。WordでもGoogleドキュメントでもかまいません。1ファイルにまとめたり、メール本文に追記したりすると、修正の往復が増えます。
5. 原稿の準備にはどのくらい期間を見ておくべきですか?
10ページ規模で約3〜4週間、30ページ規模で約7〜9週間が目安です。通常業務と並行した場合の実日数です。大半は社内の確認と決裁の時間なので、誰がいつまでに確認するかを先に決めると短縮できます。
原稿づくりから、一緒に進めませんか?
ZenWeb Japanは2000年創業・PNHグループのWeb制作会社です。ヒアリングで素材をお預かりし、原稿の整理からデザイン、公開までを一貫してお引き受けします。「日本品質を適正価格で」。無料相談で、御社に合った進め方と概算のお見積りをご案内します。
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