01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事では、サーバー移転の手順を7つのステップに分け、ダウンタイムが生まれる原因と、それを防ぐ準備の順番をお伝えします。ホームページ制作やサイトの引っ越しを控えた方が、当日の段取りまで決められる状態を目指します。
「サーバーを移すと、サイトは何時間止まりますか」。移転のご相談で、いちばん多くいただく質問です。答えが読めないまま、日程だけ先に決まってしまうこともよくあります。
先にお伝えすると、止まる時間は移転作業の速さでは決まりません。切り替える前にどこまで準備できていたか、新旧のサーバーをどれくらい重ねたか。この2つで決まります。
ここでは、2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが移転案件で使っている進め方を、順番どおりに公開します。
まずは移転の全体像をつかんでおきましょう。レンタルサーバー事業者が公開している解説動画があるので、先に見ておくと後半が読みやすくなります。
はじめてのサーバー移転~スムーズに乗り換えるための簡単ガイド~【さくらのレンタルサーバ】
02サーバー移転で止まるのはどこか
要点:移転で止まる可能性があるのは、サイトの表示・メールの送受信・フォームの3つです。トラブルはサイトよりメールで起きやすく、社内から報告が上がるまで気づきにくいのが特徴です。
「サーバー移転」と聞くと、多くの方はサイトの表示だけを思い浮かべます。でも同じサーバーの上では、メールも問い合わせフォームも動いています。移転の対象は、この3つすべてです。
止まり方も、それぞれ違います。
- サイトの表示。新サーバーにデータを置き忘れると、切り替えた瞬間に「見つかりません」の画面が出ます。誰の目にも入るので、発覚は早いほうです。
- メールの送受信。新しいサーバーでアドレスを作り直していないと、届いたメールが行き場を失います。エラーで返らず消えることもあり、いちばん怖い止まり方です。
- フォームや外部サービスの連携。送信は成功したのに社内へ届かない、という状態が起きます。画面上は正常なので、数日気づかないこともあります。
表示速度の改善が目的なら、今のサーバーで表示が遅い原因を先に切り分けたほうが早い場合もあります。毎月のホームページ保守費用を見直す時期とも重なりやすい場面です。
移転の対象がどこまでか、洗い出せていますか?
サイト・メール・フォームの3点を、現状の構成から一緒に整理します。 ホームページ制作サービスを見る →
03移転のきっかけ別・準備期間の実際
要点:きっかけによって、かけられる準備期間はまったく変わります。値上げや速度改善が理由なら2週間前後の準備ができますが、障害のあとの移転は1週間ほどしか取れず、失敗も起きやすくなります。
同じ移転でも、始まり方で難易度が変わります。どのパターンに当てはまるか、確認してみてください。
| 移転のきっかけ | 件数の構成比 | 準備日数の中央値 | リニューアル同時 |
|---|---|---|---|
| サーバー料金の値上げ・プラン改定 | 26% | 12日 | 18% |
| 表示速度を上げたい | 24% | 15日 | 34% |
| メンテナンス・制作会社の切り替え | 21% | 18日 | 41% |
| サーバーの提供終了・老朽化 | 17% | 21日 | 22% |
| 障害・改ざんが起きたあと | 12% | 7日 | 9% |
出典:ZenWeb Japanが対応した移転案件の集計、2024〜2026年、日本国内。
傾向ははっきりしています。急いで移す理由ほど、準備期間が短くなります。障害のあとの移転は準備が7日しか取れず、あとで説明するトラブルの多くもこの層で起きています。
まだ困っていないうちに動くほど、移転は静かに終わります。ドメインの契約状況が分からない方は、独自ドメインの取得方法で管理会社の確認手順から見直しておくと安心です。
04移転前に決めておく3つのこと
要点:作業に入る前に、重複期間・切り替え日時・戻し方の3つを決めてください。この3つが決まっていれば、当日に判断することはほとんどなくなり、迷って止まる時間も生まれません。
移転が長引く会社の共通点は、作業を始めてから決めごとが出てくることです。先に決めたいのは3つだけです。
- 新旧サーバーを重ねる期間。旧サーバーの解約日を、切り替え予定日の1〜2週間あとに置きます。ここを削ると、戻す手段がなくなります。
- 切り替えの日時。アクセスと業務メールの量が少ない時間帯を選びます。多くの会社では、平日の夕方以降か土曜の午前が現実的です。
- 元に戻す条件と手順。「30分たっても新サーバーで表示できなければ戻す」といった条件を、作業前に文章にしておきます。
リニューアルと同時に移す場合は、URLの設計も一緒に確認してください。リニューアルでSEO順位を落とさない移行チェックリストにまとめた確認項目が、そのまま使えます。
05サーバー移転の手順|7つのステップ
要点:サーバー移転の手順は7つのステップに分かれます。DNSの切り替えは6番目で、その前にデータ移行・メールの再作成・SSLの設定・動作確認まで終えておくのが基本です。
ドメインを保ったままサーバーだけを移す手順
ドメイン名を変えずにサーバーだけを移す場合、進め方は次のとおりです。
- 現状を書き出す。今のサーバー会社、プラン、契約更新日、PHPやデータベースの種類、メールアドレスの一覧を紙に落とします。
- 新しいサーバーを契約する。旧サーバーは解約せず、契約を重ねます。ワイヤーフレームの作り方まで戻ってサイトを作り直すのか、そのまま移すのかも決めておきます。
- TTLを下げる。切り替えの2〜3日前までに、DNSのTTLを300秒程度へ短くします。理由は次の章でお伝えします。
- データを移す。ファイルとデータベースを新サーバーへ移し、新旧で同じ内容がそろった状態を作ります。
- メールとSSL証明書を用意する。新サーバー側で同じメールアドレスを作り、証明書も先に発行しておきます。
- 切り替える。ネームサーバーまたはAレコードを新サーバーへ向けます。ここではじめて外向きの変更が起きます。
- 確認して、しばらく置く。表示・メール・フォームを確認し、重複期間が終わるまで旧サーバーは残します。
ステップ4までの作業は、いつやってもサイトに影響しません。外から見える変化が起きるのは6番目だけです。ここが分かると、日程はかなり組みやすくなります。
06準備の進め方別・完了までの日数
要点:チェックリストを作り、新旧サーバーを並行させた案件は平均14日で完了しています。口頭のやり取りだけで並行もしなかった案件は33日。同じ作業量でも、進め方だけで2倍以上の差がつきます。
移転にかかる日数は、作業量より進め方で決まります。4つのパターンで比べてみましょう。
| 進め方 | 完了までの日数 |
|---|---|
| チェックリストあり+新旧を並行 | 14日 |
| チェックリストあり+並行なし | 19日 |
| 口頭のみ+新旧を並行 | 24日 |
| 口頭のみ+並行なし | 33日 |
出典:ZenWeb Japanが対応した移転案件の集計、2024〜2026年、日本国内。
差が生まれるのは作業そのものではありません。「これは誰がやるのか」「もう終わったのか」を確認し直す往復に、時間が消えていきます。項目を一覧にして担当と完了日を書き込むだけで、そのやり取りは減ります。
WordPressで運用しているなら、プラグインやテーマの状態も一覧に加えてください。移行後に不具合が出やすい部分なので、WordPress制作・保守の観点から先に棚卸ししておくと安全です。
07TTLを先に下げておく理由
要点:TTLは、DNSの情報を何秒キャッシュしてよいかを示す数値です。切り替えの直前に下げても効きません。数日前に短くしておくことで、切り替えたあとの反映が一気に速くなります。
TTLは、日本レジストリサービス(JPRS)の用語辞典で「リソースレコードをキャッシュに保持してもよい時間を秒単位で示す」ものと説明されています。3600と書かれていれば、受け取った側は最大1時間、古い情報を持ち続けてよいという意味です。
ここに、多くの方が引っかかる仕組みがあります。TTLを下げる操作そのものも、古いTTLでキャッシュされているのです。当日に300秒へ変更しても、すでに配られた「1時間持っていてよい」という指示は消えません。
TTLの短縮は、当日ではなく数日前の作業です。ここだけで、反映待ちの体感は大きく変わります。
実務では、切り替えの2〜3日前にTTLを300秒へ下げ、終わって数日たってから元に戻します。作業は管理画面で数分です。前倒しできるかどうかだけが分かれ目になります。
08切り替え後の反映と重複期間の設計
要点:TTLを300秒にしておくと、切り替えの6時間後には9割以上のアクセスが新サーバーへ届きます。86400秒のままだと、同じ状態になるまで2日以上かかります。旧サーバーを残す期間は、この差から決めます。
切り替えたあと、アクセスは一斉には移りません。訪問者が使うDNSごとに、少しずつ入れ替わります。TTLの設定別に、その移り方を追ってみました。
| 切り替えからの経過 | TTL 300秒 | TTL 3600秒 | TTL 86400秒 |
|---|---|---|---|
| 直後 | 11% | 4% | 2% |
| 1時間後 | 78% | 22% | 5% |
| 6時間後 | 96% | 81% | 19% |
| 24時間後 | 99% | 97% | 63% |
| 48時間後 | 100% | 99% | 92% |
| 72時間後 | 100% | 100% | 98% |
出典:ZenWeb Japanが対応した移転案件のアクセスログ集計、2024〜2026年、日本国内。
大事なのは、どの設定でも「全部が一度に移る瞬間」は存在しないという点です。だから重複期間が要ります。切り替え後もしばらくは、新旧の両方が同じ内容で動く状態を保ってください。
期間は「何週間」で決めるより、条件で決めるほうが確実です。TTLを300秒まで下げてあれば1週間、下げられなかった場合は2週間。そのうえで、旧サーバー側に新しいメールが届かなくなったことを確認してから解約してください。
09メールの移行でつまずくところ
要点:移転中は、同じメールアドレス宛のメールが新旧どちらのサーバーにも届きます。両方から受信できる状態にしておかないと、片方のメールに気づけません。IMAPで運用している場合は、過去のメールの保存も必要です。
移転で最も相談が多いのがメールです。切り替えの途中は、宛先が2つに分かれます。やることは3つあります。
- 新サーバーで同じアドレスを作る。一覧を先に書き出しておくと、作り漏れが防げます。
- 古い設定を消さずに、新しい設定を足す。重複期間は、新旧の両方から受信する状態にします。
- 過去のメールを手元に残す。IMAPの場合、本体はサーバー側にあります。移転前にパソコンへ保存してください。
ここは社内全員に関わる作業です。担当者だけで進めず、各自の設定変更をいつ行うかまで案内しましょう。アドレスの構成から見直すなら、独自ドメインメールの作り方もあわせてご覧ください。
メールを止めずに移せるか、不安が残りますか?
アドレスの棚卸しから受信設定の案内文まで、ZenWeb Japanが代わりに用意します。 WordPress制作・保守を見る →
10つまずいた工程別・トラブルの起きやすさ
要点:移転後のトラブルで最も多いのはメールの受信設定で、およそ3割の案件で起きています。復旧が長引くのは旧サーバーを早く解約したケースで、平均2日かかっています。
どこでつまずきやすいのか、工程ごとに整理しました。発覚のきっかけまで見ると、優先順位が見えます。
| つまずいた工程 | 発生率 | 気づいたきっかけ | 復旧まで |
|---|---|---|---|
| 社内から報告が上がるもの | |||
| メールの受信設定 | 31% | 社員からの申告 | 4.5時間 |
| フォーム・外部連携 | 12% | 問い合わせが届かない | 6時間 |
| 旧環境のIP制限 | 8% | 管理画面に入れない | 2時間 |
| 画面に出て気づくもの | |||
| SSLの再設定 | 22% | ブラウザの警告 | 1.5時間 |
| データベース接続 | 16% | サイトのエラー表示 | 3時間 |
| 旧サーバーの早すぎる解約 | 11% | 画像やメールの消失 | 2日 |
出典:ZenWeb Japanが対応した移転案件の集計、2024〜2026年、日本国内。
発生率と深刻さは一致しません。SSLの警告は目立ちますが、証明書を入れ直せば1〜2時間で戻ります。反対に、旧サーバーを消してしまうと戻す先がなくなります。
11移転後にやること|旧サーバーはすぐ解約しない
要点:切り替えが終わったら、表示・メール・フォーム・検索結果の4点を確認します。旧サーバーの解約はそのあとです。データを手元に控えてから解約するまでを、ひとつの作業として扱ってください。
切り替え直後の確認は、次の順番で進めると漏れません。
- サイトの表示。トップページだけでなく、下層ページと画像、問い合わせ完了画面まで開きます。
- メールの送受信。社内から社外へ、社外から社内へ。両方向で1通ずつ試します。
- フォームの送信。実際に送信し、指定の宛先へ届くか、迷惑メール扱いになっていないかを見ます。
- 検索結果の状態。数日後にインデックスの状況を確認し、エラーが増えていないかを見ます。
これらが落ち着いてから、旧サーバーのデータを保管して解約します。公開後の運用全体は、ホームページ公開後にやることにまとめています。
12自社で進めるか、制作会社に任せるか
要点:判断の基準は技術力ではなく、業務が止まったときの影響の大きさです。メールが半日止まっても回る会社なら自社でも進められます。受注や予約がメール経由なら、外部に任せたほうが安全です。
「うちでもできますか」と聞かれたら、私たちは同じ質問を返します。「メールが半日止まったら、何が起きますか」。この答えで進め方はほぼ決まります。
- 自社で進めやすい場合。サイトが会社案内中心で、メールの本数が少なく、社内にサーバーの管理画面を触れる人がいる。
- 任せたほうがよい場合。受注・予約・見積依頼が毎日メールやフォームで届く。データベースを使うシステムが動いている。
- 迷う場合。準備と確認だけを外部に依頼し、切り替えは社内で行う分担も選べます。
依頼先に不安があれば、ホームページ制作会社の選び方で確認しておきたい点を整理しています。移転を機にサイトごと作り直すなら、ホームページ制作サービスもご検討ください。
13まとめ|ダウンタイムを短くする決め方
要点:サーバー移転でやることは、切り替えを最後に回し、その前を全部終わらせておくことに尽きます。TTLの前倒しと新旧の重複期間、この2つが決まっていれば、訪問者から見た停止時間はほぼゼロになります。
迷ったときの順番をまとめます。
- 重複期間を先に決める。旧サーバーの解約日を、切り替えの1〜2週間あとに置きます。
- TTLを2〜3日前に下げる。これで切り替え後の反映が数時間で落ち着きます。
- 切り替えは最後に回す。データ・メール・SSL・動作確認を先に済ませておきます。
この3つを守れば、当日は「切り替えて、確認して、待つ」だけです。深夜まで待機する必要もありません。
14よくある質問
要点:サーバー移転について、ご相談のなかでよくいただく質問をまとめました。関連する話題はWeb制作ブログでも解説しています。
1. サーバー移転にダウンタイムは必ず発生しますか?
必ずではありません。新旧のサーバーに同じ内容を用意し、重複期間を取って切り替えれば、訪問者から見た停止時間はゼロにできます。止まるのは、片方にしかデータがない状態で切り替えたときです。
2. サーバー移転にはどれくらいの期間がかかりますか?
準備から旧サーバーの解約まで、2週間から1か月が目安です。チェックリストを作り新旧を並行させた案件は平均14日、口頭だけで進めた案件は33日でした。作業量より進め方で差がつきます。
3. ドメインはそのままでサーバーだけ移せますか?
移せます。管理会社を変えずに、ネームサーバーやAレコードの向き先だけを新サーバーへ変更すれば完了します。ドメイン移管は必須ではないので、同時に行うかどうかは分けて考えてください。
4. 旧サーバーはいつ解約すればいいですか?
切り替えから1〜2週間あとが目安です。TTLを300秒まで下げてあれば1週間、下げられなかった場合は2週間。旧サーバー側に新しいメールが届かなくなったことを確認し、ファイルとメールを保存してから解約してください。
5. WordPressのサイトも同じ手順で移転できますか?
基本の流れは同じですが、ファイルに加えてデータベースの移行が必要です。移行後は設定ファイルの書き換えとリンクの点検も行います。プラグインで表示が崩れることもあるため、切り替え前の動作確認は念入りに。
サーバー移転を、止めずに終わらせませんか?
ZenWeb Japanは2000年創業、日本品質を適正価格でご提供しています。現状の棚卸しと移転計画の作成から、データとメールの移行、SSLの再設定、切り替え当日の立ち会い、移転後の確認まで一貫して対応します。まずはお気軽にご相談ください。
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