01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事は、企業サイトにサイト内検索を入れるか迷っている方に向けたガイドです。導入方法の選び方、設置手順、公開後の運用までをひとつにまとめました。ホームページ制作を検討中の方も、そのまま要件の整理に使えます。
「ページが増えてきて、どこに何があるか分からない」。そんな相談をいただくと、まず検索窓の話になります。たしかに検索窓は目立つ改善に見えますし、費用も大きくありません。
ただ、入れたのに使われていないサイトも少なくありません。原因はたいてい、置き場所でも見た目でもなく、公開後に誰も検索ログを見ていないことです。この記事では、2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、企業サイトの制作で実際に使っている判断基準と手順をそのまま公開します。
まずは、サイト内検索の使われ方を短時間でつかめる動画をご紹介します。
【サイト内検索】ちゃんと活用できてますか?検索キーワードから「サイトの弱点」を見つける方法
出典動画:YouTube
02検索窓を付けても使われないサイトの共通点
要点:検索窓が使われないサイトには、ページ数が少ない・メニューで十分たどれる・入れたあと放置している、という3つの共通点があります。まずサイト構成図を広げて、検索でしか解けない迷い方があるかを確かめてください。
検索窓は「情報が多いサイトの近道」です。逆にいえば、近道が要らないサイトに付けても出番がありません。次のどれかに当てはまるなら、急いで入れる必要はありません。
- ページ数が20前後まで。グローバルメニューと下層の一覧で、たいていの情報にたどり着けます。
- 読む順番が決まっている。サービス紹介から料金、問い合わせへと一本道の構成なら、検索より導線の整理が先です。
- 更新が年に数回しかない。検索ログがたまらず、改善の材料にもなりません。
反対に、製品カタログ・導入事例・お知らせ・FAQが積み上がっているサイトでは、検索窓が最短の入口になります。判断に迷ったら、社内の方に「このサイトで何を探しますか」と5人ほど聞いてみてください。同じ言葉が3人から出たら、その言葉こそ検索されます。
03ページ数別・サイト内検索の利用率
要点:訪問した方のうち検索窓を使う割合は、ページ数が30を超えたあたりから伸びはじめます。100ページを超えると1割前後まで上がります。必要なページ構成を決める段階で、将来のページ数まで見込んでおくと判断しやすくなります。
| ページ数 | 検索窓を使った割合 | 構成比 | 検索した方の問い合わせ到達率 |
|---|---|---|---|
| 10〜20ページ | 1.2% | 3.1% | |
| 30〜50ページ | 3.8% | 5.4% | |
| 50〜100ページ | 6.5% | 7.2% | |
| 100〜300ページ | 9.4% | 9.8% | |
| 300ページ以上 | 10.8% | 11.3% |
出典:ZenWeb Japanが手がけた国内企業サイト案件の集計(2024〜2026年)。業種と更新頻度により前後します。
注目したいのは右端の列です。検索窓を使った方は、使わなかった方より問い合わせまで進む割合が高くなります。自分で言葉を入れる時点で、探しているものがはっきりしているからです。検索は「迷っている人の機能」ではなく「急いでいる人の機能」だと考えると、置き場所も自然に決まります。
自社サイトに検索窓が必要か、迷っていませんか?
ページ数と構成を拝見して、検索と導線のどちらを先に直すべきかをお伝えします。 ホームページ制作の内容を見る →
04導入方法は3つ|CMS標準・Google・専用ツール
要点:サイト内検索の導入方法は、CMSの標準機能、Googleのプログラマブル検索エンジン、専用ツールの3つです。企業サイトの多くはWordPressの標準機能で足ります。検索の精度そのものが売上に直結する場合だけ、専用ツールを検討してください。
3つの違いは、費用よりも「誰が検索結果を決めるか」にあります。CMS標準は自社のデータベースが、Googleは同社の検索技術が、専用ツールは管理画面での設定が結果を決めます。
- CMSの標準機能。WordPressなどに最初から入っている検索です。自社の記事だけを検索でき、表示も自由に作れます。反面、表記のゆれには弱く、「Web制作」と「web制作」を別の言葉として扱います。
- Googleのプログラマブル検索エンジン。コードを貼るだけで設置でき、精度も高い方法です。ただし無料版は検索結果に広告が並び、インデックスされていないページは出てきません。
- 専用ツール。同義語辞書、サジェスト、検索ログの分析画面までそろいます。商品点数の多いECや、会員向けの資料が多いサイトに向いています。
なお、絞り込み検索(条件で候補を狭める仕組み)はキーワード検索とは別ものです。物件・求人・商品のように条件が決まっている場合は、検索窓より絞り込みのほうが早く目的に届きます。要件が複雑になるときは、Webシステム開発として設計したほうが結果的に安く収まります。
05導入方法別・費用と設置期間の目安
要点:CMSの標準機能なら半日から1日、専用ツールでも1〜3週間で設置できます。費用より先に、設置後に誰が検索ログを見るかを決めてください。ワイヤーフレームの段階で検索窓と結果ページを描いておくと、見積りのぶれが小さくなります。
| 導入方法 | 初期費用の目安 | 月額の目安 | 設置期間 | 向いているサイト |
|---|---|---|---|---|
| CMSの標準機能 | 0〜5万円 | 0円 | 半日〜1日 | 30〜100ページの企業サイト |
| CMS+拡張プラグイン | 5〜15万円 | 0〜3千円 | 1〜3日 | 絞り込みも使いたいサイト |
| プログラマブル検索エンジン | 3〜8万円 | 0円〜(広告非表示は有料) | 半日〜2日 | CMSを使っていない静的サイト |
| 専用ツール | 10〜30万円 | 1〜5万円 | 1〜3週間 | EC・会員向けサイト |
| 絞り込み検索の開発 | 30〜80万円 | メンテナンス契約による | 3〜6週間 | 物件・求人など条件が多いサイト |
出典:ZenWeb Japanが手がけた国内企業サイト案件の集計(2024〜2026年)。金額は税別、要件により前後します。
06サイト内検索の設置手順は5ステップ
要点:設置は「対象を決める→方法を選ぶ→検索窓を置く→結果ページを作る→計測を入れる」の5ステップで進みます。最後の計測を省くと、あとから改善できません。レスポンシブ対応と同じで、公開前に確認すべき順番が決まっています。
検索を入れる作業そのものは、次の順番どおりに進めれば迷いません。所要はCMSの標準機能なら半日ほどです。
- 検索の対象を決める。ブログ記事だけか、事例やお知らせ、PDFの資料まで含めるかを決めます。ここを決めないと、結果ページに関係のないページが並びます。
- 導入方法を選ぶ。前章の表から1つ選びます。迷ったらCMSの標準機能から始めてください。
- 検索窓を置く。ヘッダーの右上が基本です。あわせて、一覧ページの下や404ページにも置くと取りこぼしが減ります。
- 検索結果ページを作る。並び順、1ページの表示件数、0件のときの案内文を決めます。ここが次章の内容です。
- 計測を設定する。Googleアナリティクスの拡張計測機能をオンにすると、view_search_resultsイベントとして検索語が記録されます。検索結果ページのURLに付くパラメータ(多くは「s」や「q」)は、サイト内検索の設定で指定しておきます。
07検索結果ページで決めておく5項目
要点:検索結果ページでは、並び順・表示件数・表示する情報・入力した語の保持・0件のときの案内の5つを決めます。とくに0件の画面が、そのまま離脱するか問い合わせフォームへ進むかの分かれ目になります。
結果ページは「見つかったとき」より「見つからなかったとき」の作りで差が出ます。決めておく項目は次の5つです。
- 並び順。新着順が既定ですが、企業サイトでは関連度の高い順のほうが満足度が上がります。お知らせだけ日付順にするのも有効です。
- 1ページの表示件数。10〜20件が目安です。多すぎると読む前に閉じられます。
- 1件あたりに出す情報。タイトル、掲載日、本文の冒頭2行までが基本です。カテゴリを添えると迷いが減ります。
- 入力した語を残す。結果ページの検索窓に、入力した語をそのまま表示します。打ち直しの手間がなくなります。
- 0件のときの案内。「該当する情報が見つかりませんでした」で終わらせず、よく見られているページ3件と問い合わせ先を並べてください。
検索窓そのものの見た目は、ラベルと入力欄の関係を崩さないことが大切です。デジタル庁デザインシステムのコンポーネントには、入力欄の考え方が整理されています。虫めがねのアイコンだけを置く形は、何の欄か伝わらないため避けてください。
08検索して0件だった語の内訳
要点:結果が0件になる語の約3割は表記のゆれです。ページがないから出ないケースは2割ほどしかありません。つまり大半は設定で直せます。WordPressの構築でも、公開後の1か月分を見て辞書を整えます。
| 0件になった理由 | 割合 | よくある例 | おすすめの対処 |
|---|---|---|---|
| 表記のゆれ | 31% | 「ウェブ制作」と「Web制作」 | 同義語の対応表をつくる |
| 社内用語・型番 | 24% | 正式名称でしか書いていない製品 | 本文に通称も併記する |
| 本当にページがない | 22% | 「料金」「納期」「メンテナンス」 | 記事やページを追加する |
| 入力ミス・全角スペース | 13% | 語の間に空白が入る | 空白で区切って両方を探す |
| 自社と関係のない語 | 10% | 他社の製品名 | 対処しなくてよい |
出典:ZenWeb Japanが手がけた国内企業サイト案件の検索ログ集計(2024〜2026年)。業種により前後します。
090件を減らす3つの打ち手
要点:0件を減らす方法は、同義語の対応表、入力中の候補表示、代わりの案内の3つです。費用がかからない順に試してください。探されている情報がなければ、動画を使った説明ページを足すのも有効です。
3つとも、専用ツールがなくても近いところまで実現できます。効果が大きい順ではなく、手間の少ない順に並べました。
- 同義語の対応表をつくる。「ウェブ/Web」「見積り/見積り/お見積」のように、同じ意味の言葉をまとめます。20語ほど登録するだけで、0件はかなり減ります。
- 入力中に候補を出す。3文字入れた時点でよく検索される語を並べます。打ち間違いそのものが起きにくくなります。
- 0件のときに代わりを見せる。近い語での再検索を案内し、よく見られているページと問い合わせ先を並べます。ここは表示の工夫だけで済みます。
3つを入れたうえで、それでも0件が続く語だけがページ不足のサインです。月に1度、上位の語を見て次の記事を決める。この流れができると、検索窓が更新計画の入口になります。
10打ち手を入れたあとの0件率の変化
要点:0件率は、対応表と候補表示を入れた3か月で半分ほどまで下がります。同時に、検索した方が問い合わせまで進む割合が上がります。表示速度の改善と同じで、小さな手当ての積み重ねで効いてきます。
| 時期 | 実施した改善 | 0件率 | 問い合わせ到達率 |
|---|---|---|---|
| 設置直後 | なし | 21.6% | 5.9% |
| 1か月後 | 同義語の対応表 | 15.2% | 7.1% |
| 2か月後 | 入力候補の表示 | 12.4% | 8.3% |
| 3か月後 | 0件画面の案内 | 10.8% | 9.6% |
| 6か月後 | 不足ページの追加 | 7.9% | 11.2% |
出典:ZenWeb Japanが手がけた国内企業サイト案件の集計(2024〜2026年)。改善前の状態により変化幅は前後します。
0件率が2割を超えているサイトは、検索窓の性能ではなく、言葉の対応表が足りていないだけです。
検索ログを、次に作るページに変えませんか?
検索の設置から結果ページの設計、公開後の改善までをまとめてお引き受けします。 Webシステム開発の内容を見る →
11スマートフォンでの検索窓の置き方
要点:スマートフォンでは、メニューを開いた最上部に検索窓を置くのが基本です。入力欄の文字は16px以上にしてください。文字サイズの目安を下回ると、タップした瞬間に画面が拡大され、使いにくくなります。
企業サイトの閲覧はスマートフォンが7割前後を占めます。にもかかわらず、検索窓がメニューの奥に隠れているサイトは珍しくありません。次の3点だけ守れば十分です。
- メニューの最上部に置く。アイコンだけを常時表示するより、開いた直後に大きな入力欄が見えるほうが使われます。
- 入力欄の文字は16px以上に。iPhoneのSafariでは、これを下回ると自動で拡大が入ります。
- タップできる高さを44px以上に。指で押しやすい大きさです。虫めがねだけの小さなボタンは押し間違いが増えます。
12制作会社に確認しておきたい5つの質問
要点:見積りを受け取ったら、検索の対象範囲、0件のときの表示、計測の設定、同義語の登録方法、公開後の変更費用の5つを聞いてください。ここが曖昧なまま進むと、あとから追加費用になりがちです。ホームページ制作のご相談でも、この5点は必ず確認しています。
そのまま使える聞き方で並べます。回答があいまいなら、その項目は見積りに含まれていないと考えて差し支えありません。
- 検索の対象はどこまでですか。記事だけか、事例やお知らせ、PDFまで含むのかを確認します。
- 0件のときは何が表示されますか。案内文と代わりのページが出る作りかを見ます。
- 検索語の計測は入りますか。Googleアナリティクスの設定まで含むかを確認します。
- 同義語は自社で登録できますか。毎回依頼が必要だと、運用が止まります。
- 公開後の並び順の変更はいくらですか。細かい調整の費用感を先に聞いておきます。
13まとめ|設置より先に「何を測るか」を決める
要点:サイト内検索の導入方法は3つありますが、成果を決めるのは選び方ではなく公開後の運用です。まずCMSの標準機能で設置し、計測を入れて、0件の語を毎月見る。この形をホームページ制作の段階から組み込んでください。
この記事の要点を、進める順番のまま並べます。
- 30ページが目安。それ以下なら、まず導線の整理が先です。
- CMSの標準機能から始める。半日から1日で設置でき、あとから移行もできます。
- 計測は公開日から。後回しにすると、最初の検索語が残りません。
- 0件率10%以下を目標に。同義語の対応表と入力候補で、3か月あれば届きます。
- 0件の語から次のページを決める。検索窓が更新計画の入口になります。
14よくある質問
要点:サイト内検索について、ご相談のなかでよくいただく質問をまとめました。関連する話題はWeb制作ブログでも解説しています。
1. サイト内検索は無料で導入できますか?
WordPressなどのCMSを使っているなら、標準の検索機能をそのまま使えます。追加費用はかかりません。制作会社に依頼する場合も、検索窓と結果ページの調整だけなら数万円の範囲に収まることが多いです。
2. Googleのプログラマブル検索エンジンで十分ですか?
CMSを使っていない静的なサイトなら、有力な選択肢です。ただし無料版は検索結果に広告が表示され、Googleにインデックスされていないページは出てきません。公開直後の記事が出ないのは、この仕組みが理由です。
3. 検索された言葉はどこで確認できますか?
Googleアナリティクスの拡張計測機能をオンにすると、検索語が記録されます。結果ページのURLに付くパラメータを設定しておけば、探索レポートで一覧にできます。設置と同時に済ませておいてください。
4. 0件になる検索を完全になくせますか?
なくす必要はありません。他社の製品名など、そもそも対象外の語も含まれるためです。目標は0件率10%以下です。上位に並ぶ語だけを見て、直せるものから手を付けてください。
5. 検索窓は全ページに置くべきですか?
ヘッダーに置けば全ページで使えます。加えて、一覧ページの下部と404ページにも置くと取りこぼしが減ります。逆に、フォームの入力中など集中してほしい画面では、あえて外す判断もあります。
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