01はじめに|「安い」の中身を見に行く
要点: 格安が危ないかどうかは、価格では決まりません。安くなった分の作業が、どこへ移ったかで決まります。移り先が「自社でもできること」なら格安で足ります。手が出せないことなら、あとで戻ってきます。
「ホームページ制作 格安 注意点」で調べると、デメリットを並べた記事がたくさん出てきます。テンプレートで似たデザインになる、SEOに弱い、修正が有料になる。どれも間違ってはいません。ただ読み終わっても、手元の見積書が自社にとって危ないのかは分からないままではないでしょうか。
デメリットの一覧は「格安全般」の話であって、目の前の1社の話ではないからです。同じ月額9,800円でも、原稿を全部こちらで書く前提の会社と、取材して書いてくれる会社があります。
総務省の令和6年通信利用動向調査(企業編)によると、自社のホームページを開設している企業の割合は93.2%です。これから作る側にとっては「持っているかどうか」ではなく「どこまで含まれているか」が勝負です。
この記事では、2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、格安ホームページ制作の見積書から「安さの理由」を特定する手順をお伝えします。相場そのものはホームページ制作の費用相場、対応範囲はホームページ制作サービスでご覧いただけます。
まずは費用の幅がなぜ開くのか、動画でも押さえておきましょう。
ホームページ制作の料金相場とは?費用がピンキリな理由を制作会社が解説
出典動画:YouTube
02格安ホームページはなぜ安いのか|削られる5つの場所
要点: ホームページ制作は、材料を仕入れる仕事ではありません。費用のほとんどが人の作業時間です。つまり安さの正体は値引きではなく、作業の移動です。移せる場所は原稿・打ち合わせ・デザイン・修正・自由度の5つに限られます。
費用はほぼ人件費です。だから安くするには、誰かの作業時間を減らすしかありません。相場の目安と見比べながら、ご自身の見積書がどれに当てはまるかを見てみてください。
- 原稿づくりを発注側に移す。 会社紹介もサービス説明も、こちらがWordで書いて渡す前提です。写真も自社で用意します。ここを移すだけで、制作側の工数は半分近く減ります。
- 打ち合わせを1〜2回に絞る。 ヒアリングはフォーム入力だけ、あとはメールのみという形です。すり合わせがない分、出来上がりは想定と少しずれます。
- デザインをテンプレートに固定する。 決められた型に文字と写真を流し込みます。色とロゴは変えられても、構成は動かせません。
- 公開後の修正を有料にする。 公開後の文言変更が1か所ごとに費用になります。金額より、頼みづらくなるほうが響きます。
- あとから動かせないようにする。 独自のシステムで作られていて、他社へ移せません。ドメインの名義が制作会社のままのこともあります。
1つ目から4つ目は、こちらが手間を引き受ければ埋められます。ところが5つ目だけは埋められません。数年後に作り直すとき、ゼロから作るのと変わらない費用がかかります。
安さの理由が1〜4なら「自社の手間で買った割引」、5なら「将来の選択肢で買った割引」です。
この見積書、うちにとって安いのか判断できますか。
他社の見積書をお持ちいただければ、引かれた場所を一緒に読み解きます。ホームページ制作の対応範囲を見る →
03価格帯で「含まれるもの」はどう変わるか
要点: 価格帯が変わると、増えるのはデザインの豪華さではありません。増えるのは、こちらがやらなくて済む作業の量です。原稿・写真・打ち合わせ・公開後の修正が、価格帯ごとに移動していきます。
公開されている料金プランを、3つの価格帯に分けて整理しました。各項目において「誰がどこま で作業を担うのか」という違いに注目してみてください。
| 比べる項目 | 月額制(初期0円型) | 一括10〜30万円型 | 一括50〜150万円型 |
|---|---|---|---|
| 原稿の作成 | 発注側がすべて用意 | 発注側の原案を制作側が整える | 取材のうえ制作側が執筆 |
| デザイン | テンプレート固定 | テンプレートを調整 | 個別に設計 |
| 公開後の文言修正 | 1か所ごとに有料が多い | 月額メンテナンスの範囲で対応 | メンテナンス契約に含む |
| 他社への移管 | できないことが多い | CMS次第 | データを引き渡し |
| 契約形態 | 24〜60か月の継続契約 | 買い切り+任意のメンテナンス | 買い切り+任意のメンテナンス |
出典:国内制作会社の公開プラン内容をZenWeb Japanが横断整理、2026年8月時点。
縦に読むと、月額制の列には「発注側が用意」「できないことが多い」が並びます。安いのではなく、担当が移っているだけです。月額制の実態は自作に近いこともありますので、自作と外注の判断基準も合わせてご覧ください。
04見積書のここを見る|安さの理由が出る6つの欄
要点: 安さの理由は、金額欄ではなく備考欄と「含まれないもの」の欄に出ます。原稿・写真・修正回数・メンテナンス・ドメイン・契約期間の6つを見れば、その見積りで何が起きるかは読めます。
上から順に読むと金額に目が行きます。順番を変えて、次の6つだけを先に拾ってみてください。見積書の見方を1行ずつ追わなくても、3分で終わります。
- 原稿の担当が書いてあるか。 「文章はお客様支給」と小さく書かれていれば、10ページぶんの原稿はこちらの仕事です。
- 写真の扱い。 「素材画像を使用」なら撮影はありません。自社の建物や社員を載せたいなら、別途費用になります。
- 修正回数の上限。 「デザイン修正2回まで」といった記載を探し、超えた分の単価も確認します。1回1万円か1か所3,000円かで、後半の進み方が変わります。
- メンテナンス費用の中身。 月額があるなら、そこに何が含まれるかです。サーバー代だけか、文言修正まで含むか。金額が同じでも中身は違います。
- ドメインとサーバーの名義。 見積書に出てこないことが多い項目です。「名義はどちらになりますか」の一言で足ります。
- 契約期間と中途解約。 初期費用0円の裏には、たいてい期間の縛りがあります。途中でやめたらいくら払うのかを確認します。
6つのうち3つ以上が空欄なら、その見積書はまだ比較できる状態にありません。依頼前にそろえておく材料は、依頼前に準備すべき5つのことにまとめました。
055年で払う総額|月額制と一括払いの逆転点
要点: 月額制は初年度こそ安く見えますが、累計では30か月目に一括20万円型を追い越します。以降は毎月そのまま差が開きます。24か月を超える月額プランは、総額で比べ直してください。
支払いの累計がどう動くかを試算しました。月額制は初期0円・月9,800円、一括20万円型はメンテナンスが月3,000円、一括80万円型はメンテナンスが月8,000円という設定です。金額帯の根拠は費用相場の早見表をご覧ください。
| 経過 | 月額制(初期0円・月9,800円) | 一括20万円+メンテナンス月3,000円 | 一括80万円+メンテナンス月8,000円 |
|---|---|---|---|
| 12か月 | 117,600円 | 236,000円 | 896,000円 |
| 24か月 | 235,200円 | 272,000円 | 992,000円 |
| 30か月(逆転点) | 294,000円 | 290,000円 | 1,040,000円 |
| 60か月 | 588,000円 | 380,000円 | 1,280,000円 |
出典:ZenWeb Japanの見積り実績をもとにしたモデル試算(日本国内、2026年時点)。金額は税別。
60か月時点では、月額制が588,000円、一括20万円型が380,000円。差は208,000円です。しかも月額制は5年経っても自社の資産になりません。解約すればサイトは消えます。
月額制が一括20万円型を追い越すのは30か月目。それ以降は毎月9,800円ずつ差が開いていきます。
06契約書で必ず確認する4点|所有権・解約・更新・移管
要点: 契約書で見るのは4点です。ドメインの名義、中途解約の条件、自動更新の有無、そして制作データを引き渡してもらえるか。ここが不利だと、金額がいくら安くても取り返せません。
契約書は分量が多く、読み飛ばしがちです。全部読む必要はありません。次の4点だけを探してください。
| 確認する項目 | 望ましい条件 | 注意が必要な条件 |
|---|---|---|
| ドメインの名義 | 自社名義。管理画面のIDを渡してもらえる | 制作会社名義。解約時に使えなくなる |
| 中途解約 | 1〜3か月前の通知で解約できる | 残りの期間の全額を一括で支払う |
| 自動更新 | 更新前に案内があり、断れる | 申し出がなければ同期間で自動更新 |
| 制作データ | 原稿・画像・ページのデータを引き渡す | 独自システムのため引き渡し不可 |
出典:ZenWeb Japanが移管相談で確認した契約条件の整理(日本国内、2024〜2026年)。
とくに注意したいのが、ホームページを機器のリースと同じ形で契約させる売り方です。数年間の分割払いに組み込まれると、途中で解約できず、制作会社と連絡が取れなくなっても支払いだけが残ります。事業者どうしの契約にはクーリング・オフの適用がないため、署名の前が唯一の判断機会です。不安があれば、国民生活センターや消費生活センターで相談窓口の案内を受けられます。
いま契約中のサイト、他社へ移せるか調べられます。
ドメインの名義と制作データの状況をうかがえば、移せるかどうかと必要な手順をお伝えします。ZenWeb Japanの制作方針を見る →
07相談で判明した「安さの理由」はどこに多いか
要点: 移行相談で最も多く見つかるのは、原稿を発注側がすべて書く前提だったという条件です。次いで公開後の修正が有料である点。深刻さでは少数派のドメイン名義のほうが重く、費用に直結します。
格安サイトからの移行相談を整理しました。1件で複数該当するため、合計は100%を超えます。
| 見つかった条件 | 該当した割合 |
|---|---|
| 原稿は発注側がすべて用意する前提 | 62% |
| 公開後の文言修正が1か所ごとに有料 | 48% |
| テンプレート固定でページを追加できない | 41% |
| ドメインまたはサーバーが制作会社名義 | 27% |
| 制作データを引き渡してもらえない | 22% |
出典:ZenWeb Japanが受けた格安サイトからの移行相談の集計(日本国内、2024〜2026年)。複数該当あり。
上の2つは、事前に分かっていれば受け入れられる条件です。一方、赤で示した下2つは、移りたくなったときに費用として跳ね返ります。ドメインが制作会社名義だと、積み上げた検索順位もアクセスも引き継げません。契約前の見分け方は制作会社の選び方でも整理しています。
08格安を選んでいいケース|3つの条件
要点: 格安が悪いわけではありません。サイトに背負わせる仕事が軽く、原稿を自分で書けて、ドメインが自社名義なら、格安で十分です。余計な費用を払わずに済みます。
格安が正解になる場面もあります。次の3つがすべて当てはまるなら、迷わず選んで問題ありません。
- サイトから売上が生まれない。 取引先に会社の実在を示すため、あるいは求人票からの参照先として使うだけ。問い合わせ数を追わないなら、テンプレートで十分です。
- 原稿を自分で書ける。 事業内容や強みを自分の言葉で説明できるなら、原稿づくりの費用を払う理由はありません。
- ドメインが自社名義になる。 ここだけは譲らないでください。名義さえ自社にあれば、あとから別の会社に頼み直せます。
逆に、問い合わせや採用の入口として使う予定があるなら、格安の範囲では届きません。ページ構成そのものを設計する工程が要るからです。その工程はホームページ制作の流れで、対応範囲はホームページ制作サービスでご覧いただけます。
09公開後1年で追加費用が出た項目
要点: 追加費用は、珍しい事情ではなく日常の更新から出ます。文言の修正、写真の差し替え、ページの追加。この3つで年間の追加額の大半が決まります。
公開から1年の追加費用をプラン別に並べました。10ページ前後のコーポレートサイトで、更新は月1回程度という前提です。自作との比較を検討中の方も、この金額を基準にしてください。
| 追加が発生した項目 | 月額制 | 一括20万円型 | 一括80万円型 |
|---|---|---|---|
| 文言の修正(年12件) | 36,000円 | 0円(メンテナンス内) | 0円(メンテナンス内) |
| 写真の差し替え(年6件) | 30,000円 | 12,000円 | 0円(メンテナンス内) |
| ページの追加(年2件) | 対応不可 | 60,000円 | 80,000円 |
| 年間の追加額 | 66,000円 | 72,000円 | 80,000円 |
出典:ZenWeb Japanのメンテナンス案件の集計をもとにしたモデル試算(日本国内、2024〜2026年)。金額は税別。
年間の追加額だけを見ると、3つのプランに大きな差はありません。ただ中身が違います。月額制の66,000円は、文言の修正と写真の差し替えだけで積み上がった金額です。ページを増やしたくても、そもそもできません。一方、一括80万円型の80,000円はすべて、新しいページを2枚作った費用です。片方は現状維持、もう片方は前進しています。
10発注前に聞く5つの質問
要点: 電話やメールで5つ聞けば、その会社の安さの理由はほぼ分かります。原稿・修正・名義・解約・移管の5つです。答えをためらう会社は、そこが弱点です。
そのまま送れる形にしました。返信の速さと具体性も見てみてください。
- 原稿と写真は、どちらが用意しますか。 「お客様支給です」なら、10ページ分を書く時間を見込みます。
- 公開後に文言を直すとき、費用はいくらですか。 1か所いくらか、月額に含まれるかを聞きます。「都度お見積り」は実質的に有料です。
- ドメインとサーバーの名義は、どちらになりますか。 即答で「お客様名義です」と返ってくるかどうかが分かれ目です。
- 途中で解約する場合、費用はどうなりますか。 残期間の一括請求があるかを確かめます。契約書の条番号まで示してもらえると安心です。
- 他社に移すとき、データを引き渡してもらえますか。 原稿と画像だけでなく、ページのデータも含むかを聞きます。
3つ以上で歯切れの悪い答えなら、いったん保留にしましょう。急かされても、契約を待ってもらって困ることはありません。判断に迷ったらZenWeb Japanにお持ちください。
11まとめ|「何が含まれていないか」で決める
要点: 格安かどうかは価格では決まりません。含まれていないものが、自社で引き受けられる範囲かどうかで決まります。原稿と修正は引き受けられます。ドメインの名義と移管の可否だけは、引き受けられません。
格安ホームページ制作の注意点を、判断の順にまとめます。
- まず見積書の6つの欄を読む。 原稿、写真、修正回数、メンテナンスの中身、ドメイン名義、契約期間。空欄が3つ以上なら、まだ比較できません。
- 次に契約書の4点を読む。 名義、中途解約、自動更新、データ引き渡し。ここが不利なら、金額の交渉より先に条件を交渉します。
- そのうえで総額で並べる。 月額制が一括20万円型を追い越すのは30か月目です。2年半より長く使うなら、一括のほうが安く済みます。
安いこと自体は問題ではありません。判断を誤るのは、含まれていないものを知らないまま契約したときだけです。次に読むなら、見積書の項目と適正価格が実務に直結します。
12よくある質問
1. 月額9,800円のプランは、やめたほうがいいですか?
使う期間によります。2年半以内で作り直すなら、総額では月額制のほうが安く収まります。それより長く使うなら一括払いが得です。分かれ目は金額ではなく契約期間と名義です。
2. すでに格安で作ってしまいました。今からできることはありますか?
まずドメインの名義を確認してください。自社名義なら、次の更新のタイミングで別の会社に移せます。制作会社名義なら、名義変更に応じてもらえるかを先に交渉します。原稿と写真は今のうちに保存しておきましょう。
3. 補助金を使えば、安い会社を選ばなくても済みますか?
選択肢は広がります。ただし補助金は後払いですので、いったん全額を立て替えます。対象になる経費の範囲も決まっています。使えるかどうかは事業内容と申請時期で変わります。
4. テンプレートのデザインだと、検索順位は上がりませんか?
テンプレートそのものが順位を下げるわけではありません。順位に影響するのは、ページの数と内容です。格安プランで伸びにくいのは、ページを増やせない仕様が多いからです。
5. 格安の会社に見積りを取ってから、他社に相談してもいいですか?
もちろん問題ありません。むしろ2〜3社を並べたほうが、何が含まれていないかがはっきりします。見積書をお持ちいただければ、どこが引かれているかを一緒に読み解きます。
その見積書、契約する前に一度見せてください。
2000年創業のZenWeb Japanが、他社の見積書と契約書から「安さの理由」を読み解き、自社にとって問題になるかを率直にお伝えします。移管のご相談も承ります。
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