オフショア開発

ベトナムオフショア開発の強み|単価と品質の実態

最終更新日:2026年8月5日 ZenWeb Japan 編集部
結論:ベトナムオフショア開発の本当の強みは、単価の安さではありません。IT人材と日本語人材の両方がそろっている「層の厚さ」です。現地の賃金は5年で3割ほど上がっており、単価差は年々縮んでいます。それでも選ばれ続けているのは、同じチームで開発を長く続けられるからです。

01はじめに|この記事でわかること

要点:この記事では、ベトナムオフショア開発の単価と品質の実態を、公的データと実務の両面から整理します。すでにオフショア開発の基本をご存じの方が、次に「本当にベトナムでいいのか」を判断するための記事です。

「オフショアといえばベトナム」。そう聞いたことがある方は多いと思います。でも、なぜベトナムなのかを説明できる方は、意外と少ないのではないでしょうか。

ネット上の解説は「単価が安い」「若い人が多い」「親日国」の3点でまとまりがちです。ただ、この3つはもう決め手になりません。現地の給与は毎年上がっていますし、若い国はベトナム以外にもあります。

そこでこの記事では、2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、現地で開発を続けてきた立場から、単価の推移と品質を左右する要因を数字で見ていきます。読み終えるころには、「私はベトナムに依頼するべきか」を自分で判断できます。

この章のポイント:ベトナムを「安いから」で選ぶ時代は終わりました。この記事では、単価と品質の実態をデータで確かめていきます。

本題に入る前に、現場の感覚がつかめる動画をご紹介します。

ベトナムオフショア開発 どうすればうまくいくのか?

出典動画:YouTube


02ベトナムオフショア開発とは?日本企業に選ばれる理由

要点:ベトナムオフショア開発とは、システムやWebサイトの開発をベトナムの拠点に委託する進め方です。日本企業の委託先としては最も多く、ベトナムオフショア開発を軸に体制を組む会社が増えています。

ベトナムオフショア開発は、日本側が要件と設計方針を決め、ベトナム側が実装とテストを担う分業です。設計から任せるケースもあれば、実装だけを切り出すケースもあります。

日本企業が集まった背景には、はっきりした事情があります。

  • 国内でエンジニアが採れない。採用できないから開発が止まる、という会社が増えました。海外リソースは現実的な代替手段です。
  • 日本語が通じる人が多い。大学や専門学校で日本語を学ぶ人が多く、ブリッジ役を確保しやすい環境があります。
  • 時差が2時間しかない。午前中に質問して、その日のうちに答えが返ってきます。欧米や南アジアにはない利点です。
  • 長く同じチームを維持しやすい。数か月で人が入れ替わると、仕様を知る人がいなくなります。継続性は品質そのものに影響します。

特に4つ目は見落とされがちです。開発は一度作って終わりではありません。改修と機能追加が続くからこそ、「同じ人が残っているか」が効いてきます。

この章のポイント:ベトナムが選ばれる理由は単価だけではありません。日本語人材の多さ、時差の小ささ、チームの継続性が組み合わさっています。

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03委託先国の傾向|ベトナムが首位を保つ構図

要点:日本企業のオフショア委託先は、ベトナムが4割前後で最も多い状態が続いています。中国が続き、インドやフィリピンはそれより小さい規模です。費用の内訳はオフショア開発の費用相場で詳しく整理しています。

まず、日本企業がどの国に開発を委託しているのかを見てみましょう。公開されている業界調査とZenWeb Japanの取引実績をあわせて整理した目安が、次の表です。

日本企業のオフショア委託先国の傾向(2026年)
日本企業のオフショア開発委託先として選ばれている国の構成比の目安。
委託先国 構成比の目安 主に評価されている点
ベトナム 4割前後 日本語人材・時差・定着率
中国 2〜3割 技術力・大規模対応
インド 1割弱 先端技術・英語対応
フィリピン 1割弱 英語対応・BPO連携
その他 1割前後 特定分野・地域特性

出典:公開されている業界調査とZenWeb Japanの取引実績をもとにした整理(2026年)。調査によって数値は異なります。

注目したいのは評価軸です。「技術力が世界一だから」ではありません。日本語が通じ、時差が小さく、人が辞めにくい。つまりコミュニケーションの取りやすさが中心にあります。

この章のポイント:ベトナムが首位を保っているのは技術力の順位ではなく、日本企業にとっての「進めやすさ」が評価されているからです。

04強み①人材の層が厚い|IT人材と日本語人材

要点:ベトナムの強みは、ITの技術者と日本語のできる人材が同じ国に厚く存在することです。この2つがそろうとWebシステム開発の要件を日本語のまま伝えられ、翻訳による解釈のズレが減ります。

ベトナム政府はIT人材の育成を国家戦略として進めてきました。日本貿易振興機構(ジェトロ)はベトナムのIT系大学と日本企業等との連携可能性に関する調査を公表し、IT学部を持つ大学の状況を83ページにわたって整理しています。日本企業が現地の大学と直接つながれる段階まで来ている、ということです。

もう一つ、日本側から見えにくい事実があります。ジェトロによると、日本で働くベトナム人労働者は約51万8,000人。このうち約8万4,700人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で滞在しており、その数は10年で20倍以上に増えています

日本で働いた経験を持つベトナム人エンジニアが、帰国して現地のブリッジ役になる。この循環が、ベトナム開発の品質を静かに底上げしています。

日本での就業経験がある人は、日本語だけでなく、日本企業の進め方も知っています。「報告のタイミング」「確認の粒度」といった、仕様書に書かれない部分が通じるのは大きな違いです。

この章のポイント:ベトナムの強みは技術者の数だけではありません。日本での就業経験を持つ人材が増え、日本流の進め方を理解できる層が厚くなっています。

05賃金は5年で3割上昇|単価の実態

要点:ジェトロの調査では、ベトナムの非製造業スタッフの月額基本給は2018年から2023年で32.3%上がりました。単価差は縮んでいます。それでも国内より低い水準にあり、システム開発の費用を抑える手段として機能します。

「ベトナムは日本の3分の1」。この言い方は、もう実態に合いません。現地の賃金は毎年しっかり上がっているからです。

ベトナムの月額基本給の推移(非製造業スタッフ)
ジェトロ調査による在ベトナム日系企業の非製造業スタッフの月額基本給の推移。
月額基本給 水準の比較
2013年 448ドル
2018年 554ドル
2023年 733ドル

出典:ジェトロ「海外進出日系企業実態調査」(2024年3月公表)をもとにZenWeb Japanが作成。

10年間で63.6%、直近5年でも32.3%の上昇です。同じ調査では2023年の昇給率が5.4%と示され、62.0%の企業が「人件費の高騰」を投資環境のリスクに挙げています。

ただ、国内のエンジニア単価も同じように上がっています。そのため「もう安くない」というより、「差は残っているが、安さだけを頼りにはできない」と読むのが実態に近いところです。

この章のポイント:ベトナムの人件費は着実に上がっています。単価の安さだけを狙う発注は、数年で前提が崩れます。

06強み②時差2時間がもたらす進めやすさ

要点:ベトナムと日本の時差は2時間です。午前中の質問がその日のうちに解決するため、確認の往復が翌日に持ち越されません。要件定義のような詰めの工程ほど、この差が効いてきます。

時差は地味な条件に見えますが、実務では想像以上に響きます。半日ずれる国だと、1回の質問と回答で丸一日が消えます。仕様の確認が10往復あれば、それだけで2週間です。時差2時間なら、始業直後に投げた質問が昼までに返ってきます。同じ日のうちに手直しを吸収できるわけです。

もう一つ挙げるなら、祝日の重なり方です。ベトナムのテト(旧正月)は1週間ほど止まりますが、日程は事前にわかります。工程表に組み込んでおけば問題になりません。逆に言えば、組み込み忘れがトラブルの元になります。

この章のポイント:時差2時間は、確認の往復を同じ日に終わらせられるという意味です。テトの長期休暇だけは工程表に入れておきましょう。

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07国別比較|単価・時差・日本語対応

要点:単価だけを見ると、ベトナムとフィリピンはほぼ同水準です。差がつくのは日本語対応と時差です。3つの条件を並べると、日本人窓口を置いた開発体制が機能しやすい国が見えてきます。

単価は判断材料の一つにすぎません。時差と日本語対応を並べて見ると、話が変わります。

委託先国の条件比較(2026年の目安)
主要な委託先国の人月単価・日本との時差・日本語対応のしやすさの比較。
委託先 人月単価の目安 日本との時差 日本語対応
日本国内 80万〜120万円 なし 問題なし
ベトナム 35万〜60万円 2時間 日本語人材が多い
中国 45万〜75万円 1時間 日本語人材が多い
フィリピン 35万〜60万円 1時間 英語が中心
インド 50万〜80万円 3時間30分 英語が中心

出典:ZenWeb Japanの見積り・取引データと公開情報をもとにした参考値(2026年)。案件内容・スキルにより変動します。

フィリピンとベトナムは単価がほぼ並びます。それでもベトナムが選ばれやすいのは、日本語のまま仕様を伝えられるからです。英語を介すると、日本語の仕様書を英訳する工程が一つ増えます。この工程で解釈のズレが生まれます。

もちろん、社内に英語で設計できる人がいるなら話は別です。判断の軸は「どの国が優れているか」ではなく、「自社の体制に合うのはどこか」です。

この章のポイント:単価が同じでも、日本語対応と時差で進めやすさは大きく変わります。自社の言語体制に合う国を選びましょう。

08品質は国では決まらない|体制で決まる

要点:「ベトナムだから品質が低い」という説明は実態と合いません。品質を左右するのは、仕様の伝え方とレビューの仕組みです。同じ論点は外注と内製の判断でも共通します。

品質のばらつきは、国よりも会社ごと、さらに言えばチームごとに出ます。実際、日本国内の開発でも品質は会社によって大きく違いますよね。海外だけが特別なわけではありません。

実務で品質を落とす原因は、だいたい次の3つに絞られます。

  1. 仕様が曖昧なまま着手する。「いい感じに」は誰にも伝わりません。画面イメージと具体例をセットで渡すと、認識のズレが一気に減ります。
  2. レビューの担当と頻度が決まっていない。誰がいつ確認するかを決めていないと、問題は最後にまとめて出てきます。週次の確認が最低ラインです。
  3. テストの範囲を握れていない。「どこまでテストするか」を先に決めていないと、納品後に「そこは見ていません」となります。

3つとも、ベトナムかどうかとは関係ありません。RFPの書き方を整えるだけでも、着手時点のズレはかなり減らせます。

この章のポイント:品質の差は国籍ではなく体制から生まれます。仕様・レビュー・テストの3点を先に決めておきましょう。

09体制の有無で変わる手直しの量

要点:ZenWeb Japanの支援案件を整理すると、ブリッジSEの常設と週次レビューがある体制では、手直しの工数が明らかに小さくなります。体制づくりの投資は、そのまま工数の削減につながります。

「体制が大事」とよく言われますが、それがどれくらい効くのかは見えにくいものです。実際の案件を体制の有無で分けて整理すると、差がはっきり出ます。

体制別に見た手直し工数の割合
開発体制の整備状況ごとの、総工数に占める手直し工数の割合。
体制 手直し工数の割合 規模の目安
ブリッジSEなし・レビューも不定期 2割前後
ブリッジSEあり・レビューは不定期 1割強
ブリッジSEあり・週次レビューあり 1割未満

出典:ZenWeb Japanが支援した開発案件の運用データ(2024〜2026年)より。案件規模により幅があります。

手直しが2割なら、5人月の案件で1人月が作り直しに消えます。単価を1割値切るより、体制を整えるほうが効きます。

ここでよく聞かれるのが「ブリッジSEの人件費のほうが高くつくのでは」という質問です。実際には、手直しの削減分がそれを上回ることがほとんどです。

この章のポイント:手直しは体制で減らせます。単価交渉よりも、ブリッジSEと週次レビューへの投資のほうが費用対効果は高くなります。

10向いている案件・向いていない案件

要点:向いているのは、仕様を文書にでき、開発が継続する案件です。Excel業務のシステム化のように要件が固まる案件は好相性です。反対に、仕様が毎週変わる案件や数十万円規模の小さな改修には向きません。

すべての案件がベトナム向きというわけではありません。判断を早めるために、向き・不向きを並べてみます。

  • 業務システムの新規開発。仕様が固まっていて、開発期間が数か月以上あるなら適しています。
  • 既存システムの機能追加とメンテナンス。同じチームが継続して担当できるため、費用対効果が高くなります。
  • ECサイトの構築と運用。商品数が多く、継続的な改修が発生するECサイト制作とは相性がよい領域です。
  • 仕様が毎週変わる案件。方針が固まっていない段階では、伝達の往復が増えて逆に高くつきます。
  • 数十万円規模の小さな改修。体制づくりの手間が費用を上回るため、国内で対応したほうが早く済みます。

迷ったときの目安はシンプルです。「同じチームに半年以上お願いする予定があるか」。答えがはいなら、検討する価値があります。

この章のポイント:継続する案件ほど向いています。単発の小さな改修や、仕様が固まっていない段階では効果が出にくくなります。

11失敗しないパートナーの選び方

要点:見るべきは単価表ではなく、日本側の窓口と現地チームのつながり方です。制作会社の選び方と同じで、窓口が日本語で責任を持てるかどうかが分かれ目になります。

会社選びで単価表から入ると、たいてい失敗します。同じ「50万円」でも、中身がまったく違うからです。次の点を先に確認しましょう。

  • 日本側の窓口が誰か。日本語で仕様を理解し、現地に翻訳できる人が常駐しているかを確かめます。
  • 現地チームの定着率。「担当が半年で入れ替わる」体制では、仕様を知る人がいなくなります。
  • レビューの仕組み。いつ、誰が、どの粒度で確認するのかを、契約前に文書で確認します。
  • 小さく始められるか。いきなり大型案件を任せる必要はありません。試せる規模から始められる会社を選びましょう。

ZenWeb Japanは2000年創業・PNHグループのWeb制作会社です。日本人窓口が仕様を受け取り、現地チームが実装する体制で「日本品質を適正価格で」お届けしています。詳しくは会社概要をご覧ください。

この章のポイント:単価表ではなく、窓口の体制と定着率を確認してください。小さく試せるかどうかも重要な判断材料です。

12まとめ|「安いから」ではなく「続けられるから」

要点:ベトナムオフショア開発の価値は、単価の安さから「同じチームで長く続けられること」へ移りました。判断の軸は、体制を維持できるパートナーかどうかです。

ここまでの内容を振り返ります。ベトナムの賃金は5年で3割上がり、単価差は縮んでいます。それでも委託先として選ばれ続けているのは、日本語人材の層が厚く、時差が小さく、人が辞めにくいからです。

そして品質は、国ではなく体制で決まります。ブリッジSEと週次レビューがあるだけで、手直しは半分以下になります。単価を1割値切る交渉より、こちらのほうが確実です。

まずは小さく始めて、体制が回ることを確かめてください。うまくいけば、その先は自然に広げていけます。より詳しい費用の内訳はオフショア開発の費用相場2026で、進め方の全体像はオフショア開発とは?メリットと失敗しない進め方で確認できます。


13よくある質問

要点:ベトナムへの委託を検討する方からよくいただく5つの質問にお答えします。単価、品質、日本語対応、小規模案件の可否、テトの影響まで、検討前の疑問はここで解消してください。

1. ベトナムオフショア開発の単価はどのくらいですか?

エンジニア1人あたり月35万〜60万円が一つの目安です。日本国内の80万〜120万円と比べると差がありますが、スキルや役割によって幅が出ます。ブリッジSEや管理の工数も含めた総額で比べてください。

2. ベトナムは品質が低いと聞きましたが本当ですか?

国で決まるものではありません。仕様の伝え方、レビューの頻度、テスト範囲の3点が整っていれば、国内と同等の品質を保てます。反対に、この3点が曖昧なら国内の外注でも品質は落ちます。

3. 日本語で仕様を伝えられますか?

日本語のできるブリッジSEが入る体制なら、日本語のままで進められます。日本での就業経験を持つベトナム人エンジニアも増えており、報告のタイミングなど日本流の進め方が通じる人が多くなっています。

4. 小さな案件でも依頼できますか?

数十万円規模の単発改修は、体制づくりの手間が上回るため向きません。数か月以上続く開発や、継続的なメンテナンスがある案件から検討するのが現実的です。まずは小さめの機能追加で試す進め方をおすすめします。

5. テト(旧正月)の休みは開発に影響しますか?

1週間ほど稼働が止まりますが、日程は毎年事前にわかります。工程表に組み込んでおけば問題ありません。逆に、組み込み忘れると納期のズレにつながるため、契約時に必ず確認してください。

ベトナム開発、まずは小さく試してみませんか?

ZenWeb Japanは2000年創業・PNHグループのWeb制作会社です。日本人窓口とベトナム開発チームの体制で、業務システムからECサイトまで「日本品質を適正価格で」ご提供します。無料相談で、御社の案件に合う進め方と概算のお見積りをご案内します。

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