システム開発・DX

インボイス制度とシステム改修|必要な対応

最終更新日:2026年8月13日 ZenWeb Japan 編集部
結論: インボイス制度のシステム改修は、請求書を出す側と受け取る側で内容が分かれます。2026年10月からは経過措置の控除割合が80%から70%に変わるため、受領側の集計に手が入ります。割合を設定値として書き換えられる作りかどうかが、今回の分かれ目です。

01はじめに|この記事でわかること

要点: この記事は、インボイス制度のシステム改修を制度の解説ではなく、どの画面とどのデータを直すかの順で整理します。2026年10月の切り替えに何が要るのか、いつまでに着手すれば間に合うのかを並べます。

「10月から控除の割合が変わると聞きました。うちの販売管理システム、そのままで大丈夫でしょうか」。2026年に入ってから、この形のご相談が続いています。

2000年創業のWeb制作・システム開発会社ZenWeb Japanでは、Webシステム開発の改修相談で、まず発行側と受領側のどちらの話かを分けます。混ざったまま見積りを取ると、金額が倍近く動いてしまうためです。

税額の判断そのものは、顧問税理士や所轄の税務署の領域です。ここで扱うのは一歩手前、制度の要件をシステムの仕様に置き換える作業になります。個別の税務判断は、必ず専門家にご確認ください。

この章のポイント: インボイス対応の改修は、発行側と受領側に分けた時点で範囲が決まります。

制度の細かい論点は、国税庁が動画で解説しています。全体像を押さえてから読み進めてください。

インボイス制度説明動画「応用編」

出典動画:国税庁動画チャンネル(YouTube)


02改修は発行側と受領側で内容が分かれます

要点: 手を入れる場所は2か所です。請求書を出す処理と、受け取った請求書を集計する処理。発行側は記載事項と端数処理、受領側は登録番号の確認と控除区分の付与が中心になります。

同じ「インボイス対応」でも、中身はまったく別の作業です。最初に分けておきます。

  • 発行側の改修。 請求書や納品書、領収書の出力に、登録番号と税率ごとの消費税額を載せます。端数処理をどこで行うかも直します。
  • 受領側の改修。 受け取った請求書に、控除できる区分(全額・経過措置・控除不可)を付け、その区分ごとに集計します。
  • 両方に効くマスタ整備。 取引先マスタに登録番号の欄を足します。失効した場合に備えて、有効期間も持たせておくと安全です。

会計ソフトだけを使っているなら、発行側は市販の機能で足りることがほとんどです。問題になるのは、請求書を自社のシステムから出している会社です。販売管理、受発注、会員向けの請求画面。ここは自分たちで直すしかありません。受領側は規模を問わず作業が残ります。

この章のポイント: 発行側は出力の話、受領側は集計の話です。混ぜると見積りが読めなくなります。

どこまで直せば足りるのか、切り分けからご相談ください。

お使いのシステム構成をうかがい、改修が必要な箇所と運用でしのげる箇所を分けてお伝えします。 Webシステム開発の進め方を見る →


03発行側|請求書に足りない項目から洗い出す

要点: 発行側の改修は、いま出している請求書と記載事項を1項目ずつ突き合わせることから始めます。足りないのは登録番号と、税率ごとの消費税額であることがほとんどです。

国税庁が示すインボイスの記載事項は6つです。現行の帳票と並べて確認します。

記載事項 既存システムでよくある状態
交付先の氏名または名称 すでに印字されている
自社の名称と登録番号 登録番号だけがない
取引年月日 すでに印字されている
取引内容(軽減税率の対象である旨) 品名はあるが、対象である旨の印がない
税率ごとの対価の合計と適用税率 合計が1本にまとまっている
税率ごとの消費税額等 明細ごとの税額しか持っていない

手間がかかるのは下の2行です。税率ごとに集計する列を、帳票ではなくデータ側に持たせる必要があります。帳票の設計だけで逃げると、集計や再発行のたびに計算が走り、値がずれます。

小売業や飲食店業、タクシー業などは、記載事項を一部省略した簡易インボイスを交付できます。宛名を省け、適用税率か消費税額等のどちらか一方の記載で足ります。レジや券売機を使う業種は、改修範囲がかなり小さくなります。

この章のポイント: 足りないのは登録番号と、税率ごとの消費税額。後者はデータ側に列を足して持たせます。

04端数処理は「税率ごとに1回」に直します

要点: 端数処理は1枚のインボイスにつき税率ごとに1回です。ただし直すのは、請求書に載せる値のほうだけ。内部の計算まで作り直す前提で見積もると、範囲が実際より大きくなります。

古いシステムでいちばん多いのは、明細ごとに消費税を計算して丸め、その合計を請求額にする作りです。この合計値を、適格請求書の消費税額としてそのまま載せることはできません。

  • 直すのは印字する値。 税率ごとに対価を合計し、その合計に税率を掛けてから1回だけ丸めます。この値を消費税額として載せます。
  • 内部の積上げ計算は残せる。 明細ごとに端数を処理する計算そのものは、実務の方法として認められています。参考表示として残しても構いません。
  • 丸め方は自社で決める。 切り上げ、切り捨て、四捨五入のどれでも構いません。取引先ごとに変えられる作りにしておくと、後が楽になります。

実務でつまずくのは、丸めた結果と明細の合計が1〜2円ずれる点です。差額を明細のどこかに寄せるのではなく、税額欄を正とすると決めておくと、経理からの問い合わせが減ります。取引先の検収システムと突き合わせるときも、この決めごとが効きます。

細かい取り扱いは、国税庁の通達・Q&Aにまとまっています。仕様を固める前に、担当者と一緒に目を通しておくと安心です。

この章のポイント: 丸めるのは税率ごとに1回。明細合計とのずれは、税額欄を正として扱います。

05改修箇所別|実際に手を入れた割合

要点: 制度が始まってからのインボイス対応改修で、実際に手が入った箇所を集計しました。登録番号の印字と取引先マスタはほぼ全件、端数処理と控除区分がそれに続きます。

改修箇所別|手を入れた案件の割合
インボイス対応のシステム改修案件について、改修箇所ごとに実際に手を入れた案件の割合を示した表
改修箇所 区分 手を入れた割合
取引先マスタの登録番号欄 共通 94%
帳票への登録番号の印字 発行側 91%
控除区分の付与 受領側 83%
区分別の消費税集計 受領側 78%
端数処理の位置の変更 発行側 69%
適格返還請求書の出力 発行側 36%

出典:ZenWeb Japanが手がけた販売管理・業務システムのインボイス対応改修で確認した集計(日本国内、2023〜2026年上半期)。業種と取引形態により傾向は変わります。

上の2つはほぼ全件です。逆にいえば、この2つで終わったつもりになっている会社が多いということでもあります。受領側の2行に手が入っていないと、2026年10月の切り替えで詰まります。

適格返還請求書が3割台にとどまるのは、値引きや返品の少ない会社では不要だからです。必要かどうかは、要件定義で取引の実態を洗い出すと判断できます。

この章のポイント: 発行側だけを直して終わった会社が多く、受領側の集計が残っています。

06受領側|登録番号の確認をどこに置くか

要点: 登録番号の確認は、支払処理の直前ではなく取引先を登録する時点に置きます。取引のたびに調べる運用は続きません。国税庁の公表サイトで確認し、結果をマスタに保存する形が現実的です。

受領側でよく見るのが、経理担当者が請求書を見ながら1件ずつ番号を調べている状態です。件数が増えると、確認そのものが省かれていきます。

置き場所は3つ考えられます。件数と体制で選びます。

  • 取引先マスタの登録時。 新規登録の画面に番号欄と確認日を足します。件数が少ない会社はここだけで足ります。
  • 月次のまとめ確認。 取引先の一覧をCSVで出し、国税庁のインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトと突き合わせます。取引先が数百件規模ならこの形が扱いやすいところです。
  • 受領時の自動照会。 請求書の取り込み処理から番号を照会し、結果を記録します。件数が多い会社向けで、改修としては最も重くなります。

どれを選ぶ場合も、確認した日付を残すことだけは共通です。登録は取り消される場合があり、いつ時点の確認かで判断が変わります。画面を足すときは、ワイヤーフレームで欄の位置を決めてから作ると手直しが減ります。

この章のポイント: 確認は取引のたびではなくマスタ側に置き、確認日を必ず残します。

072026年10月から控除の割合が70%に変わります

要点: 免税事業者からの仕入れで控除できる割合が、2026年10月1日から80%を離れます。令和8年度税制改正で引き下げ幅が緩められ、70%、50%、30%と段階的に下がる形になりました。

期間別|免税事業者等からの仕入れで控除できる割合
免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置について、改正前と改正後の控除割合を期間別に比較した表
期間 改正前 改正後
令和5年10月〜令和8年9月 80% 80%
令和8年10月〜令和10年9月 50% 70%
令和10年10月〜令和11年9月 50% 50%
令和11年10月〜令和12年9月 控除不可 50%
令和12年10月〜令和13年9月 控除不可 30%
令和13年10月以降 控除不可 控除不可

出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」および財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」をもとに作成(2026年8月時点)。

注目したいのは、割合が一度で終わらなくなった点です。改正前なら「50%に落として、あとはゼロ」で済みました。改正後は2年ごとに割合が動くため、そのたびにシステムを触ることになります。

ここで効いてくるのが、割合をどこに持たせているかです。プログラムの中に0.8と書いてあれば、変更のたびに開発を発注し、テストをやり直します。設定値として持たせておけば、次からは値を入れ替えるだけで済みます。

この章のポイント: 割合は今後2年ごとに動きます。設定値として持たせる形に変えておく場面です。

10月の切り替えに、いまのシステムは耐えられますか。

控除の割合がどこに書かれているかを確認し、改修の要否と工数の目安をお伝えします。 システム開発の見積もりの見方を読む →


08切り替えの判定は「仕入れを行った日」です

要点: 80%と70%のどちらを使うかは、請求書の日付でも支払日でもなく、課税仕入れを行った日で決まります。商品なら引渡日、役務の提供なら完了した日です。システムはこの日付を基準に割合を選びます。

ここを取り違えると、10月分の集計が丸ごとずれます。国税庁のQ&A問113-3が、まさにこの場面を扱っています。

  • 商品の仕入れ。 原則として引き渡しのあった日です。9月30日までの引渡分は80%、10月1日からの引渡分は70%になります。
  • 役務の提供。 原則として約した役務の全部が完了した日です。9月から作業が始まっていても、完了が10月20日なら70%で計算します。
  • 支払日は関係しません。 10月31日に振り込んでも、判定に使うのは仕入れを行った日のほうです。

仕様に落とすと、判定に使う日付を明細ごとに持てるかどうかの話になります。請求書の発行日しか持っていないシステムは、9月から10月をまたぐ取引で必ず狂います。月をまたぐ工事やメンテナンス契約が多い会社は、ここを先に確認してください。

受け取ったデータそのものの保存にも要件があります。電子帳簿保存法へのシステム対応と設計をそろえておくと、改修を二度に分けずに済みます。

この章のポイント: 割合を選ぶ鍵は仕入れを行った日です。明細ごとにその日付を持てるか確認します。

091億円の上限|取引先ごとの年間集計が要ります

要点: 経過措置には金額の上限が加わりました。1つの免税事業者等からの課税仕入れの合計が、その年または事業年度で1億円を超えると、超えた部分には経過措置を使えません。上限は従来の10億円から下がっています。

金額の大きい会社にしか関係のない話に見えますが、システムの作りには効きます。上限の判定には、取引先ごと・年度ごとの累計が必要だからです。いまの集計が月次で閉じているなら、1社ずつ年度で積み上げる処理を足すことになります。

この見直しは、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。期の途中で切り替わるわけではないため、自社の決算月から適用開始のタイミングを逆算しておいてください。適用範囲の詳細は、国税庁の令和8年度税制改正特集に図解があります。

集計をどこに置くかは、販売管理システム側か会計側かで工数が変わります。仕入先データを持っているほうに寄せるのが、たいてい安く済みます。

この章のポイント: 上限の判定には取引先ごとの年間累計が要ります。月次だけの集計では足りません。

10システム種別|割合を直せる作りだった割合

要点: 改修前の調査で、控除の割合を設定値として持っていたシステムの割合を集計しました。クラウド型は高く、自社開発の販売管理・基幹システムは3割前後にとどまります。ここが2026年10月の負担差になります。

システム種別|控除の割合を設定値で持っていた割合
改修前の調査で、経過措置の控除割合を設定値として保持していたシステムの割合をシステム種別ごとに示した表
システム種別 設定値で持っていた割合 分布
クラウド会計・請求サービス 88%
市販パッケージ(メンテナンス契約あり) 74%
自社開発の販売管理・基幹システム 31%
Excel・スプレッドシート運用 14%

出典:ZenWeb Japanが改修前の調査で確認した既存システムの集計(日本国内、2025〜2026年上半期)。同じ種別でも導入時期により差があります。

自社開発が低いのは、制度が始まった2023年に「80%」を計算式へ直接書き込んだためです。当時は次の変更が3年後で、しかも一度きりの想定でした。

自社開発の販売管理・基幹システムで、控除の割合を設定値として持っていたのは31%でした。

Excel運用が最も低いのも同じ理由です。関数の中に数字が埋まっていて、誰がどのファイルを直すのかも決まっていません。この機会に、Excel業務のシステム化を考えてみる価値はあります。

この章のポイント: 自社開発は3割前後しか設定値で持っていません。今回の改修で直しておく箇所です。

11作らなくてよい書類も決めておきます

要点: 制度には、作らなくてよい書類を定めた特例もあります。少額な取引の帳簿だけの保存や、少額な値引き・返品での適格返還請求書の免除です。これを知らないと、不要な機能まで見積りに入ります。

改修の見積りが膨らむ原因は、実は要件の見落としより「全部やろうとすること」にあります。使える特例は先に確認しておきます。

  • 少額特例。 一定規模以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿の保存だけで控除を受けられます。令和11年9月30日までの措置です。
  • 適格返還請求書の免除。 税込1万円未満の値引きや返品では、返還インボイスの交付義務がありません。振込手数料相当額の差し引きも、多くはここに収まります。
  • 簡易インボイス。 小売業や飲食店業など、不特定多数を相手にする業種では記載事項を一部省略できます。

振込手数料の扱いは、返還インボイスの機能を作るかどうかを分ける論点です。1万円未満に収まる取引しかないなら、その機能は見送れます。適用の可否は取引の実態で変わるため、仕様を固める前に顧問税理士へご確認ください。制度対応の費用面では、中小企業向けの補助金も用意されています。対象や上限は国税庁の支援策の案内にまとまっています。

この章のポイント: 使える特例を先に確認すると、作らなくてよい機能が見えてきます。

12自社開発システムを直す順番

要点: 直す順番は、割合の外出し、判定日付の確保、控除区分の付与、集計の切り分け、取引先累計の追加です。上から順に効果が大きく、途中で止めても運用でしのげる形になっています。

2026年10月に向けて自社システムを直す手順

期限までの時間が限られている場合は、上の工程から順に進めます。下の工程は、期をまたいでも運用で補える範囲です。

  1. 控除の割合を設定値に出す。 計算式に書かれた数値を、適用開始日つきのマスタへ移します。今回だけでなく次の変更もこれで済みます。
  2. 判定に使う日付を確保する。 明細ごとに引渡日または役務完了日を持たせます。持っていなければ、入力欄を追加します。
  3. 控除区分を付与する。 全額控除、経過措置、控除不可の3区分を明細に付けます。取引先マスタの登録番号の有無から自動で決める形が扱いやすいところです。
  4. 集計を区分ごとに切り分ける。 消費税の集計を区分別に出せるようにします。ここまでで、月次の数字が正しくなります。
  5. 取引先ごとの年間累計を足す。 1億円の上限判定に使います。免税事業者との取引が大きい会社だけが対象です。

この順番にしているのは、1と2が済んでいれば、残りは手作業で補えるためです。逆に1と2が抜けたまま3以降を作ると、10月をまたいだ時点で数字が合わなくなります。

工数の目安はシステム開発の費用相場と、発注先の比較はシステム開発会社の選び方もあわせてご覧ください。

この章のポイント: 割合の外出しと判定日付の確保が先。この2つが済めば、残りは運用で補えます。

10月までに、どこまで直せるか見立てます。

残り期間から逆算して、いま着手すべき工程と後回しにできる工程を切り分けてご提案します。 システム開発の相談内容を見る →


13改修規模別|運用開始までの期間の目安

要点: 改修の規模ごとに、要件の確認から運用開始までにかかった期間をまとめました。小規模なら約1か月、発行側と受領側の両方に手を入れる場合は4か月前後が目安になります。

改修規模別|着手から運用開始までの期間
インボイス対応の改修規模ごとに、要件確認、開発とテスト、合計期間の目安を示した表
規模 主な内容 要件の確認 開発・テスト 合計の目安
割合を設定値に出す 約1週間 2〜3週間 約1か月
控除区分の付与と区分別集計 約2週間 6〜8週間 約2〜2.5か月
発行側と受領側の両方+マスタ整理 3〜4週間 12〜16週間 約4か月

出典:ZenWeb Japanのインボイス対応改修案件の実績(日本国内、2023〜2026年上半期)。既存システムの状態と社内の確認体制により前後します。

2026年8月に着手する場合、10月1日まで残りは7週間ほどです。小規模なら間に合い、中規模はかなり厳しく、大規模は今期に収まりません。この見立てを先に共有しておくと、社内の期待とずれずに進められます。

間に合わない部分は、数か月だけ手集計でしのぐ形にします。対象は免税事業者からの仕入れだけなので、件数が限られていれば現実的な選択です。

この章のポイント: 8月着手なら小規模のみ10月に間に合います。残りは手集計との併用で計画します。

14パッケージやクラウドでも残る作業

要点: 市販パッケージやクラウドサービスを使っていても、作業はゼロになりません。マスタの整備、周辺システムとの受け渡し、独自に作った帳票の3つは自社で対応することになります。

「クラウドだから自動で対応される」と聞いて安心していたら、10月に数字が合わなかった。この相談が毎回出ます。残るのは次の3つです。

  • 取引先マスタの整備。 登録番号を入れるのも、失効を反映するのも自社の作業です。ここが空欄のままだと、区分が自動で決まりません。
  • 周辺システムとの受け渡し。 受発注システムやECサイトから会計側へ渡すデータに、控除区分の項目を足す必要があります。
  • 独自に作った帳票。 標準帳票を改造している場合、その部分は自社の責任範囲です。改造した記憶がない会社ほど当日に気づきます。

とくに連携の項目追加は、双方の改修時期をそろえないと動きません。片方だけ先に直すと、受け渡しが止まります。BtoB向けECサイトで受発注を回している会社は、注文データから請求までの流れを一度たどってみてください。交付する電子データの置き場所は、個人情報保護法へのWebサイト対応と同じで、誰が触れるかの設計に行き着きます。法令ごとに改修を積むより、一度で整理したほうが安く仕上がります。

この章のポイント: マスタ整備、連携項目、独自帳票の3つは、サービス提供者ではなく自社の作業です。

15まとめ|決める順番

要点: インボイス制度のシステム改修は、発行側と受領側の切り分け、割合の置き場所、判定日付、間に合う範囲の4つを順に決めます。ここがそろえば、複数社の見積りを同じ前提で比べられます。

着手からの順に並べます。

  1. 発行側と受領側を切り分ける。 自社システムから請求書を出しているか、免税事業者との取引があるか。この2問で範囲が決まります。
  2. 控除の割合の置き場所を決める。 計算式の中か、設定値か。今後2年ごとに動くため、外に出しておく判断が効いてきます。
  3. 判定に使う日付を確認する。 明細ごとに引渡日または役務完了日を持てるか。持てなければ、入力欄の追加から始めます。
  4. 10月に間に合う範囲を決める。 残り期間から逆算し、手集計で補う部分をあらかじめ決めておきます。

この4つが決まっていないと、複数社から見積りを取っても前提がそろわず、金額を比べられません。決まっていれば、人月単価と工数の見方と照らして妥当性を判断できます。

制度そのもので迷ったときは、国税庁のインボイス制度特設サイトに戻ってください。実務の疑問は、たいていここに載っています。


16よくある質問

要点: ご相談の多い5つの質問です。会計ソフトを使っている場合の要否、10月の変更で影響する処理、登録番号の確認頻度、間に合うかどうか、費用の考え方の順にお答えします。

1. 会計ソフトを使っていれば、システム改修は不要ですか

会計ソフト側の計算は更新されますが、作業がゼロになるわけではありません。取引先マスタへの登録番号の入力、周辺システムから渡すデータへの控除区分の追加、改造した帳票の修正は自社に残ります。請求書を自社システムから出している場合は、発行側の改修も別に必要です。

2. 10月の変更で、どの処理が影響しますか

影響するのは受領側の集計です。免税事業者などインボイス発行事業者以外からの仕入れについて、控除できる割合が80%から70%に変わります。この割合を使って消費税額を計算している処理と、区分ごとの集計表が対象です。発行側の帳票は、この変更では影響を受けません。

3. 登録番号の確認は、取引のたびに必要ですか

毎回でなくても構いません。多くの会社では、取引先を登録する時点で確認し、その後は年に1回など決めた間隔で見直しています。大切なのは、いつ時点で確認したかを記録しておくことです。登録は取り消される場合があるため、確認日がないと後から判断できなくなります。

4. いまから着手して、2026年10月に間に合いますか

改修の規模によります。控除の割合を設定値に出すだけなら1か月ほどで、8月着手でも間に合う範囲です。控除区分の付与と区分別の集計まで含めると2か月以上かかるため、かなり厳しくなります。間に合わない部分は、数か月だけ手集計で補う前提にすると計画が立ちます。

5. 改修の費用は、どのくらいを見ておけばよいですか

手を入れる範囲で大きく変わるため、一律の相場をお伝えするのは難しいところです。設定値への外出しだけなら小さく収まり、発行側と受領側の両方に手を入れる場合は数か月分の工数がかかります。範囲、割合の置き場所、判定日付を決めてから見積りを取ると、各社の金額を比較できます。

10月の切り替えに向けて、改修の範囲を切り分けませんか?

ZenWeb Japanは2000年創業のWeb制作・システム開発会社です。控除の割合がどこに書かれているかの確認から、判定日付の持たせ方、集計の切り分けまで、要件を機能に落としてご提案します。お気軽にご相談ください。

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