01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事では、オフショア開発会社を比べる6つの項目と、各項目で聞くべき質問、そして判断の材料になる相場を整理します。まずオフショア開発の基本を押さえてからお読みいただくと、話が早くなります。
「おすすめ20社」という記事を読んでも、結局どこに決めればよいかわからない。会社選びのご相談で、いちばんよく聞くお困りごとです。
理由ははっきりしています。並んでいるのは会社の一覧であって、比べる物差しではないからです。物差しがないまま20社を眺めても、最後は単価と会社の規模で選ぶことになります。
そこでこの記事では、2000年創業のWeb制作・システム開発会社ZenWeb Japanが、実際の商談で使っている比較の物差しをそのままご紹介します。読み終えるころには「私はどの会社に依頼するべきか」を、自分の言葉で説明できるようになります。
次の動画では、オフショア開発の会社選びで見るところが短くまとまっています。あわせてご覧ください。
ベトナムオフショア入門「オフショア開発企業の選び方」
出典動画:YouTube
02会社を探す前に決めておく3つのこと
要点:探し始める前に、作るものの範囲・使える予算の幅・社内で誰が窓口になるかの3つを決めてください。ここが決まっていないと、どの会社の提案も同じように見えてしまいます。
- 作るものの範囲。新規開発なのか、既存システムの改修や引き継ぎなのかで、向く会社が変わります。
- 予算の幅。上限だけでなく下限も決めます。安すぎる見積りを外す判断ができるようになります。
- 社内の窓口。誰が仕様を決め、誰が検収するかを先に決めます。ここが空席だと、どの会社に頼んでも進みません。
3つめは軽く見られがちですが、実はいちばん効きます。外注と内製の判断基準でも触れているとおり、外に出しても社内の仕事はゼロにはならないからです。
ちなみに、費用面のメリットが出るのはおおむね総額500万円・期間3か月からです。それより小さい案件なら、オフショア開発にこだわらず国内で進めたほうが早く済みます。
03比較6項目の全体像|何を見て絞り込むか
要点:比べる項目は、開発体制・契約形態・対応領域と実績・品質管理・セキュリティ・費用の内訳の6つです。この6つを同じ質問で全社にぶつけると、会社ごとの差がはっきり出ます。品質を左右する管理体制もここで見えてきます。
次の表が、商談でそのまま使える確認シートです。「不安なサイン」の欄に当てはまる会社は、その場で外すのではなく、理由を聞いてみてください。
| 比較項目 | 確認すること | 商談で使える質問 | 不安なサイン |
|---|---|---|---|
| ①開発体制 | 誰が仕様を受け取るか | 窓口の方は専任ですか | 担当者名が出てこない |
| ②契約形態 | 請負・準委任・ラボ型 | 仕様変更はどう扱いますか | 契約書の雛形が出ない |
| ③対応領域と実績 | 自社の業務に近い経験 | 似た業務の事例はありますか | 実績が件数だけ |
| ④品質管理 | テストと検収の決め方 | 合格の基準は誰が決めますか | 「きちんとやります」だけ |
| ⑤セキュリティ | データの置き場所と権限 | 本番データは誰が触れますか | 認証の有無しか話が出ない |
| ⑥費用の内訳 | 何が含まれ、何が別か | この金額に入らない作業は | 一式表記が多い |
出典:ZenWeb Japanが商談で使用している選定チェックの整理(日本・ベトナム、2024〜2026年)。
6項目のうち、初回の打ち合わせでほぼ判断できるのが①②⑥です。③④⑤は、資料や契約書を見せてもらってからの確認になります。
04項目①②|開発体制と契約形態を先に見る
要点:体制で見るのは人数ではなく、仕様を受け取る人が誰かです。契約形態は、仕様が固まっているなら請負、動きながら決めるならラボ型が合います。詳しくはブリッジSEの役割をご覧ください。
体制図に「ブリッジSE1名」と書いてあっても、担当範囲は会社ごとにちがいます。仕様を訳すだけの人なのか、抜けを見つけて聞き返せる人なのか。この差が、テスト工程で作り直しになるかどうかを分けます。
契約形態は3つです。ラボ型開発と請負・準委任の違いを押さえておくと、提案書の読み方が変わります。
- 請負契約。完成した成果物に対して支払います。仕様が固まっている案件に向きます。
- 準委任契約。作業時間に対して支払います。調査や改修が中心の案件に向きます。
- ラボ型契約。一定人数を月額で確保します。継続して開発を続ける案件に向きます。
契約書の書き方に迷ったら、IPA(情報処理推進機構)が公開している情報システム・モデル取引・契約書が参考になります。国内取引が前提の資料ですが、責任の線引きの考え方はそのまま使えます。
どんな体制が合うか、先に整理しませんか?
案件の内容をお聞きすれば、必要な体制と契約形態の組み合わせをその場でお伝えできます。 ベトナムオフショア開発の体制を見る →
05項目③④|実績の読み方と品質の決め方
要点:実績は件数ではなく、自社の業務にどれだけ近いかで見ます。品質は「合格ラインを誰がいつ決めるか」を契約前に決められる会社かどうかで判断してください。
「開発実績500件」と言われても、判断材料にはなりません。聞くべきは件数ではなく中身です。受発注、在庫、シフト管理。自社と似た業務を扱った経験があるかどうかで、仕様の伝わりやすさが大きく変わります。
品質のほうは、もう少し具体的に踏み込めます。次の3つが決められる会社なら、まず安心です。
- 合格ラインを言葉にできる。「スマホで3秒以内に表示」のように、測れる基準に落とせます。
- テストの担当が分かれている。作った人と確かめる人が同じだと、見落としが残ります。
- 検収の期間が契約に入っている。納品後に何日確認できるかが、書面で決まっています。
この3つは、要件定義の段階で決まります。Webシステム開発のように業務が絡む案件ほど、ここが効いてきます。
06項目⑤|セキュリティは持ち出しの範囲で聞く
要点:認証を持っているかより、自社のデータがどこまで海外に出るかを聞いてください。本番データを使わない、権限を分ける、退職時に消す。この3つが運用として決まっていれば十分です。オフショア開発の基本でも触れているところです。
「ISO27001を取得しています」という説明はよく聞きます。取得していること自体は安心材料ですが、それだけでは日々の運用まではわかりません。
ですから、質問はもっと手前に置いてください。「開発で使うのは本番データですか、それとも加工したものですか」。この一問で、現場の運用がかなり見えてきます。
個人情報を扱う場合は、外国にある第三者への提供にあたるかどうかの確認も必要です。個人情報保護委員会は外国にある第三者への提供編のガイドラインを公開しています。海外の子会社に渡す場合と、同じ法人の現地事業所に渡す場合とで扱いが変わりますので、契約前に一度ご確認ください。
07相場の目安|役割別の人月単価で見る
要点:ベトナムの人月単価は、エンジニアで月35万〜60万円が中心です。ただし役割によって幅が大きく、テスターとPMでは3倍以上ひらきます。詳しい内訳はオフショア開発の費用相場で解説しています。
| 役割 | 月額単価の目安 | 上限値の相対比較 |
|---|---|---|
| テスター | 20万〜30万円 | |
| エンジニア | 35万〜60万円 | |
| ブリッジSE | 45万〜75万円 | |
| プロジェクトマネージャー | 55万〜90万円 |
出典:ZenWeb Japanが公開単価と自社の見積り実務をもとに整理した参考値、2026年8月時点。
ここで気をつけたいのは、合計金額だけを見比べないことです。安く見える見積りは、単価が安いのではなく、単価の高い役割が抜けているだけということがあります。
役割ごとの単価はベトナムオフショア開発の中でも幅があります。同じ「エンジニア1名」でも、経験年数で倍近くちがう点はご承知おきください。
08項目⑥|見積書のどこで差がつくか
要点:見積書の差は単価ではなく、含まれ方に出ます。要件定義・テスト・受入支援・メンテナンス。この4つがどちら側の負担になっているかを、各社の見積書で並べて確認してください。
| 費用項目 | 含まれることが多い | 別枠になりやすい | 確認の一言 |
|---|---|---|---|
| 要件定義 | 一部の打ち合わせ | 業務ヒアリングと文書化 | 仕様書は誰が書きますか |
| テスト | 開発側の単体テスト | 通しの動作確認 | どこまで試験しますか |
| 受入支援 | 質問への回答 | 検収作業への同席 | 検収は何日みますか |
| 公開後のメンテナンス | 初期の不具合対応 | 小さな改修と監視 | メンテナンスの月額はいくらですか |
出典:ZenWeb Japanが確認した相見積りの傾向整理(日本国内、2024〜2026年)。
「安い見積りは工程が抜けている」とよく言われます。ただ、抜けた工程は消えるわけではありません。別枠になった作業は、そのまま自社の担当に戻ってきます。ですから、見積書を比べるときは金額差ではなく、社内に残る工数の差で見てください。
「一式」という表記が並んでいたら、必ず内訳をお願いしてください。断られる会社は、社内でも工数を積み上げていない可能性があります。見積書の読み方はシステム開発の見積もりの見方もあわせてご覧ください。
09問い合わせから契約までの進み方
要点:問い合わせから契約までは、おおむね4〜6週間みておくと余裕が持てます。急ぐほど比較が雑になり、あとで体制の不足に気づくことになります。
- 1週目。3〜4社に問い合わせます。会社案内と実績資料が届きます。
- 2週目。比較6項目を同じ質問で聞きます。体制図と概算の見積りが出てきます。
- 3〜4週目。2社に絞って詳細を詰めます。正式見積書と契約書の案が届きます。
- 5〜6週目。担当予定者と面談して決めます。開始日と初期の計画が固まります。
ここで多いのが、2週目までを1週間に押し込んでしまう進め方です。回答を待つ時間を削ると、体制の説明を聞ききれないまま見積りだけが並びます。
依頼内容を文書にまとめておくと、この流れがぐっと速くなります。書き方はRFPの書き方にまとめてあります。
10会社選びでよくある失敗3つ
要点:失敗の入口はだいたい3つです。単価だけで決める、実績の件数を鵜呑みにする、契約書を後回しにする。いずれも初回の打ち合わせで防げます。
- 単価だけで決めてしまう。安い見積りは体制が薄いことが多く、結果として作り直しの費用が乗ります。
- 実績の件数を鵜呑みにする。件数ではなく、自社と似た業務の経験があるかを確認してください。
- 契約書を後回しにする。仕様変更の扱いと検収の条件は、着手前に書面で決めておくのが安全です。
実際にどんな形で表面化するかは、オフショア開発の失敗事例にまとめています。引き継ぎのご相談で確認された原因は、ほとんどがこの3つのどれかに行き着きます。
安さで決めた案件ほど、あとで体制を足すことになります。
お手元の見積書、一緒に読み解きませんか?
他社様の見積書でも、抜けている工程や別枠になっている項目をお伝えできます。 Webシステム開発の進め方を見る →
11比較6項目を実際に使う5つの手順
要点:6項目は、順番に使うと効果が出ます。前提を書き出し、3〜4社に同じ質問を投げ、見積書を並べ、担当者と面談し、契約条件を確かめる。この5手順です。
比較6項目を使った選び方の手順
次の5つを順に進めてください。1社ずつ深追いするより、はるかに速く決まります。
- 前提を1枚に書き出します。作る範囲・予算の幅・社内の窓口を、A4で1枚にまとめます。
- 3〜4社に同じ質問を送ります。比較6項目の質問をそのまま使い、回答を文章でもらいます。
- 見積書を横に並べます。合計ではなく、要件定義・テスト・受入支援・メンテナンスの含まれ方を比べます。
- 担当予定者と面談します。営業ではなく、実際に窓口になる方と15分でも話してください。
- 契約条件を確かめます。仕様変更の単価、検収の日数、担当者交代時の引き継ぎを書面で確認します。
4番目を飛ばす方が多いのですが、ここがいちばん判断材料になります。システム開発会社の選び方でも同じことが言えます。
12案件規模で変わる|どの項目を重く見るか
要点:6項目の重みは案件規模で変わります。小規模なら費用の内訳、中規模なら開発体制、基幹業務に関わる大規模なら品質管理とセキュリティを重く見てください。
| 案件規模 | 最も重い項目 | 次に重い項目 | 外しやすい落とし穴 |
|---|---|---|---|
| 総額500万円未満 | ⑥費用の内訳 | ②契約形態 | 立ち上げの手間を見落とす |
| 500万〜2,000万円 | ①開発体制 | ④品質管理 | 窓口が兼任になっている |
| 2,000万円以上 | ④品質管理 | ⑤セキュリティ | 検収の体制が社内にない |
| 継続開発(ラボ型) | ①開発体制 | ③対応領域と実績 | 担当者の交代条件が未定 |
出典:ZenWeb Japanの案件規模別の選定支援の整理(日本国内、2024〜2026年)。
なお、社内にIT担当がいない場合は規模にかかわらず①を最優先にしてください。IPA(情報処理推進機構)のDX動向2026でも、DXを推進する人材の過不足は主要な調査項目として扱われています。人が足りない前提で体制を選ぶ、という発想が要ります。予算感はシステム開発の費用相場もご参照ください。
13まとめ|物差しがあれば候補は絞れます
要点:オフショア開発会社の選び方は、6項目を同じ質問で全社にぶつけるところから始まります。相場は判断の補助線であって、決め手ではありません。体制と契約条件で選んでください。
ここまでご説明したとおり、比べるべきは会社の規模でも単価でもありません。開発体制・契約形態・対応領域と実績・品質管理・セキュリティ・費用の内訳。この6項目です。
そして、6項目のうち初回の打ち合わせで判断できるものが半分あります。つまり最初の1時間で、候補はかなり絞れます。
ZenWeb Japanは、日本人窓口とベトナムの開発チームを組み合わせた体制でご支援しています。オフショア開発をご検討中でしたら、案件に必要な体制を一緒に整理させてください。費用は案件ごとのお見積りでご案内しています。
14よくある質問
要点:会社選びのご相談でよくいただく質問をまとめました。何社に声をかけるべきか、日系と現地系のちがい、契約前に確認しておきたい条件など、判断に直結するところを中心に整理しています。
1. 何社に問い合わせるのが適切ですか
3〜4社が目安です。2社では比べる基準が育たず、5社を超えると回答の整理だけで時間が過ぎます。3〜4社に同じ質問を投げて、そこから2社に絞る進め方が現実的です。
2. 日系の会社と現地資本の会社では何がちがいますか
日本側の窓口の厚みがちがいます。日系は商習慣や言外の意図をくみ取りやすく、現地資本は単価を抑えやすい傾向があります。初めての委託なら、日本語で仕様を詰められる体制があるほうが安全です。
3. 見積りが1社だけ極端に安いときはどう考えますか
体制から高い役割が抜けている可能性があります。ブリッジSEやテスターが見積書に入っているかをご確認ください。抜けている場合、その工数は結局どこかで発生します。
4. 契約前に必ず決めておくべき条件はありますか
仕様変更時の単価と手続き、検収の日数、担当者が交代する場合の通知期限。この3つは書面に入れてください。着手後に決めようとすると、立場の弱いほうが折れることになります。
5. ECサイトの開発でも同じ選び方でよいですか
6項目はそのまま使えます。ただし決済や在庫連携がある分、③の実績をより重く見てください。詳しくはECサイト制作・構築のページでご説明しています。
比較6項目、一緒に埋めてみませんか
ZenWeb Japanは2000年創業・PNHグループのWeb制作・システム開発会社です。日本人窓口とベトナム開発チームの体制で、業務システムからECサイトまで「日本品質を適正価格で」ご提供します。無料相談では、他社様の見積書を含めた比較の整理まで承ります。
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