01はじめに|この記事でわかること
要点:この記事では、WordPressの更新が必要な理由を「放置すると何が起きるか」から逆に見ていきます。あわせて、壊さずに進める順番もお伝えします。WordPress制作・保守の窓口を任されている方に向けた内容です。
「更新の通知は出ているんですが、怖くて押せなくて」。メンテナンスのご相談をいただくとき、この一言をよく聞きます。
気持ちはよくわかります。押した瞬間にサイトが真っ白になった経験があれば、なおさらです。
ただ、押さないという選択にも代償があります。しかも、その代償は時間が経つほど大きくなります。半年なら半日で直る話が、2年経つと1か月仕事になる。これが実際のところです。
そこでこの記事では、放置した期間ごとに何が起きたかを先にお見せします。そのうえで、壊さずに更新するための順番をご紹介します。
お伝えするのは、2000年創業のWeb制作会社ZenWeb Japanが、メンテナンスを引き継いだ現場で使っている進め方です。プラグイン側の考え方はWordPressプラグインの選び方でも整理しています。
まずは更新作業の流れを、動画で確認しておきましょう
WordPressのバージョンアップ・更新アップデート方法 #WEBST8
出典動画:WEBST8(YouTube)
02更新には3種類あります
要点:更新の対象は、WordPress本体・テーマ・プラグインの3つです。危険度も、壊れやすさも、この3つで違います。どれを止めているのかで、いま抱えているリスクの中身が変わります。
管理画面には更新の通知がまとめて出ます。そのため、3つが同じものに見えてしまいます。実際は性格がかなり違います。
| 対象 | 更新の中身 | 止めたときの危険度 | 更新で壊れやすさ |
|---|---|---|---|
| WordPress本体 | セキュリティ修正、編集画面の仕様変更 | 高い | 中くらい |
| テーマ | 見た目の修正、本体の新仕様への対応 | 中くらい | 高い(カスタマイズしている場合) |
| プラグイン | 機能追加、不具合修正、セキュリティ修正 | とても高い | 高い(数が多いほど) |
止めたときにいちばん危ないのはプラグインです。数が多く、作り手もばらばらで、狙われやすいからです。
一方、更新して見た目が変わりやすいのは本体とテーマです。本体の大きな更新では、編集画面そのものが変わることもあります。過去に起きた編集画面の変更については、ブロックエディタの使い方で詳しく整理しました。
03放置期間別・実際に起きた不具合
要点:不具合は、放置した期間に沿って段階的に出ます。半年で設定が保存できなくなり、1年でフォームが止まり、2年を超えると管理画面に入れなくなります。放置したWordPressの危険性は、時間の関数だと考えてください。
メンテナンスを引き継ぐとき、まず前の状態を記録しています。そこから見えてきた順番が、次の表です。
| 放置していた期間 | 最初に出た症状 | 現場で実際に起きたこと | 復旧の目安 |
|---|---|---|---|
| 6か月未満 | 管理画面の通知が増える | 表示は問題ないが、一部の設定が保存できない | 半日 |
| 6か月〜1年 | 問い合わせが届かない | 送信は完了するのに、担当者にメールが来ない | 1〜2日 |
| 1〜2年 | 画面の一部が崩れる | 過去の記事が編集画面で開けず、更新も直せない | 3日〜1週間 |
| 2年以上 | 管理画面に入れない | 改ざんとスパムページの生成。PHPが古く、更新自体が通らない | 2週間〜1か月 |
出典:ZenWeb Japanがメンテナンスを引き継いだWordPressサイトの記録、2024〜2026年、日本国内。
注目していただきたいのは、右端の列です。症状が重くなるほど、復旧の時間が跳ね上がります。
理由はふたつあります。ひとつは、古いバージョンからは一気に上げられないこと。もうひとつは、PHPなどサーバー側も一緒に古くなっていることです。
半年なら半日、2年なら1か月。同じ作業が、待った分だけ別の仕事に変わります。
04いちばん重いのは乗っ取りと改ざんです
要点:更新の中身の多くはセキュリティ修正です。つまり、更新を止めることは、公開された弱点をそのまま残すことになります。WordPressのセキュリティ対策のうち、いちばん効果が大きいのが更新です。
修正の内容は公開されます。ここが見落とされがちな点です。
攻撃する側も、その公開情報を読んでいます。「どのバージョンに、どんな穴があるか」が誰にでもわかる状態になる。だから、公開された直後がいちばん危ない時間帯です。
実例があります。2026年7月22日、IPA(情報処理推進機構)がWordPressの脆弱性対策についての注意喚起を出しました。2件の脆弱性を組み合わせると、ログインしていない相手でもサーバー上でコードを実行できる可能性がある、という内容です。
対象になったのは、次のバージョンです。
- WordPress 6.9.0 〜 6.9.4。修正版は6.9.5です。
- WordPress 7.0.0 〜 7.0.1。修正版はWordPress 7.0.2です。
- WordPress 6.8.0 〜 6.8.5。2件のうち1件の影響を受け、修正版は6.8.6です。
ここで大事なのは、修正版がすでに出ていたという事実です。更新していたサイトは、注意喚起が出た時点で対象外でした。止めていたサイトだけが残されたわけです。
改ざんの怖さは、気づきにくいところにあります。トップページは普段どおり。裏側で、見慣れない言語のページが大量に作られている。検索結果でおかしな見出しを見て、初めて気づくケースが少なくありません。
いまのバージョンが安全かどうか、確かめたいときは。
管理画面を拝見したうえで、急ぐ項目とあとで良い項目を分けてお伝えします。 WordPress保守の対応範囲を見る →
05不具合が出る場所は決まっています
要点:更新後の不具合は、半分以上がプラグインで起きています。本体そのものが原因になることは、実はあまりありません。だからこそプラグインの選び方が、更新のしやすさを左右します。
「更新したら壊れた」と言われる場面を、原因ごとに数えてみました。
| 原因の場所 | 割合 | よくある中身 |
|---|---|---|
| プラグイン | 54% | フォーム、キャッシュ、SEO系の設定が飛ぶ |
| テーマのカスタマイズ部分 | 23% | 直接書き換えた箇所が上書きされる |
| WordPress本体 | 12% | 編集画面の仕様が変わり、レイアウトがずれる |
| サーバー・PHPのバージョン | 11% | 古いPHPのままで、更新後に動かなくなる |
出典:ZenWeb Japanが対応した更新トラブルの記録、2024〜2026年、日本国内。
プラグインが半分を超えます。しかも、内訳を見ると入れっぱなしのものが目立ちます。
一度使っただけのプラグイン。前の担当者が入れた、用途のわからないプラグイン。こうしたものが残っていると、更新のたびに地雷が増えます。
更新の前に、使っていないプラグインを止める。これだけで、壊れる確率はかなり下がります。
06「更新すると壊れる」も半分は本当です
要点:更新で壊れた経験は、思い込みではありません。ただし壊れたのは更新のせいというより、備えのない状態で押したせいです。順番と戻し先を用意すれば、同じ作業でも結果が変わります。
「更新は必要」と説く記事の多くは、この不安に触れないまま終わります。そこが実務との距離だと感じています。
実際、更新で見た目が変わることはあります。とくに本体の大きな更新では、編集画面の作りが変わりました。旧来の編集画面に合わせて組んだページが、ブロック単位の画面ではきれいに開けない。この相談は今も届きます。ブロックエディタとクラシックの違いを押さえておくと、心の準備ができます。
ただ、壊れた現場をよく見ると、共通点があります。前の章で見たとおり、原因の半分以上はプラグインでした。そして壊れたサイトには、次の4つの抜けが揃っています。
- 戻せる状態になっていない。更新の直前にバックアップを取っていないため、元に戻す先がありません。
- 本番でいきなり試している。検証用の環境がなく、お客様が見ている画面で結果を確かめています。
- 全部まとめて押している。10個を一度に更新したため、どれが原因かわからなくなります。
- 更新の直後を見ていない。フォーム送信や決済など、要のページを確認しないまま終わっています。
つまり、問題は更新そのものではありません。手順です。手順は、あとから足せます。
07壊さないための更新の順番
要点:更新は、バックアップ・プラグイン整理・小分けの更新・要のページ確認、この順で進めます。まず戻せる状態をつくることが出発点です。取り方はWordPressのバックアップ方法にまとめています。
WordPressを安全に更新する手順
社内で回す場合に、そのまま使える順番です。慣れれば、月1回30分ほどで終わります。
- 更新の直前にバックアップを取る。ファイルとデータベースの両方を、同じタイミングで取ってください。片方だけでは元に戻りません。
- 使っていないプラグインを止めて削除する。停止だけでは、ファイルが残ります。用途がわからないものは、担当者に確認してから消してください。
- プラグインを2〜3個ずつ更新する。まとめて押さないでください。少しずつ進めると、崩れたときに原因がすぐわかります。
- テーマと本体を最後に更新する。見た目に影響が出やすい順番です。テーマを直接書き換えている場合は、先に控えを取ってください。
- 要のページを開いて確認する。トップページ、問い合わせフォーム、予約や決済の画面。フォームは実際に1件送信して、メールが届くところまで見てください。
5番目を飛ばす方が本当に多いです。表示が普通なら安心してしまいます。届かないメールに気づくのは、たいてい数週間後です。
08進め方別・作業時間と手直しの比較
要点:一気に更新する進め方は、作業だけなら短時間で終わります。ところが手直しまで足すと、いちばん長くなります。WordPress保守の現場では、この差が毎月効いてきます。
4つの進め方を、作業時間と手直しの両面で比べました。
| 進め方 | 1回の作業時間 | 表示崩れが出た割合 | 手直しを含めた合計 | 向いているサイト |
|---|---|---|---|---|
| まとめて一気に更新 | 約20分 | 38% | 平均4.5時間 | プラグインが5個以下の小規模サイト |
| 小分けにして更新 | 約45分 | 14% | 平均1.9時間 | 社内で回している一般的なサイト |
| 検証環境で試してから | 約70分 | 6% | 平均1.2時間 | 止まると業務に響くサイト |
| 自動更新に任せきり | 0分 | 21% | 平均6.0時間 | 更新が少ない情報サイト |
出典:ZenWeb Japanがメンテナンスを担当したWordPressサイトの作業記録、2024〜2026年、日本国内。
自動更新に任せきりの行が、合計でいちばん長くなっています。作業時間はゼロなのに、です。
理由は単純で、崩れても誰も気づかないからです。数日、ときには数週間そのまま。気づいたころには、原因の特定に時間がかかります。
毎月の更新作業、社内で抱え続けますか。
外に出した場合の月額の目安と、含まれる作業の範囲をお伝えします。 保守費用の内訳を確認する →
09自動更新はどこまで任せるか
要点:自動更新でいちばん危ないのは、更新そのものではなく気づくまでの時間です。セキュリティ修正だけ自動にして、機能が変わる更新は手動にする。そのうえで、崩れたときに気づく仕組みをセットにしてください。
WordPressには自動更新の仕組みがあります。対象ごとにオンとオフを選べます。
| 対象 | おすすめの設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 本体のセキュリティ修正 | 自動のまま | 見た目への影響が小さく、遅れると危ないため |
| 本体の大きな更新 | 手動 | 編集画面の仕様が変わることがあるため |
| フォーム・決済系のプラグイン | 手動 | 止まると売上と問い合わせに直結するため |
| 表示に関わらない補助プラグイン | 自動でも可 | 崩れても影響が限られるため |
| テーマ | 手動 | カスタマイズが上書きされる危険があるため |
自動更新にする場合は、条件がひとつあります。更新が走ったことを知る仕組みを持つことです。
更新の通知メールを、担当者だけでなく複数人で受け取ってください。加えて、月に一度でいいので、フォームが届くかを確かめる時間を決めておきましょう。
10年別・更新が原因の相談件数
要点:更新にまつわる相談は、年々増えています。ただし復旧までの時間は短くなりました。バックアップと検証環境が広まったためです。準備の有無が、そのまま結果に出ています。
100サイトあたりの件数に直して、3年分を並べました。
| 年 | 相談件数(100サイトあたり) | うち放置が原因 | 平均の復旧時間 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | 18件 | 11件 | 5.2時間 |
| 2025年 | 21件 | 13件 | 4.4時間 |
| 2026年(7月まで) | 26件 | 17件 | 3.8時間 |
出典:ZenWeb Japanが受けた更新関連の相談記録、2024〜2026年7月、日本国内。
2026年の伸びには、はっきりした理由があります。7月に出た本体の脆弱性への対応で、駆け込みのご相談が重なりました。
一方で、平均の復旧時間は毎年短くなっています。取れる備えが増えたぶん、事故が起きても戻せるようになった。そう読んでいます。
11すぐに更新できない事情があるとき
要点:更新したくてもできないサイトがあります。テーマを直接書き換えている場合と、PHPが古すぎる場合です。この2つは、更新の前にやるべきことが別にあります。
まず、テーマを直接書き換えているケースです。
この状態でテーマを更新すると、書き換えた部分が上書きされます。当時の担当者が辞めていて、何を直したのか誰も知らない。よくある話です。
対処はひとつずつです。いまのファイルを控えとして保存し、差分を確認してから、子テーマなど上書きされない置き場に移していきます。手間はかかりますが、一度やれば以降の更新が楽になります。
次に、PHPが古すぎるケースです。サーバー側のPHPが古いままだと、新しいWordPressが動きません。この場合はサーバーの設定を先に上げます。表示速度にも効くので、WordPressの表示が遅い原因とあわせて見直すと一石二鳥です。
そして、直すより作り直したほうが早い場合もあります。目安は、テーマの改造が広範囲に及び、10年近く手が入っていないサイトです。作り直すなら、まずワイヤーフレームの作り方で構成から整理してください。同じ作りを引き継ぐと、また同じ場所で詰まります。
12社内で回すか、メンテナンスに任せるか
要点:判断の基準は、サイトが止まったときの損失です。問い合わせや予約が入るサイトなら、外に出したほうが安く済みます。ホームページ保守費用の相場と、社内の作業時間を並べて比べてください。
社内で回せるかどうかは、規模より体制で決まります。判断の材料を挙げます。
- 担当者が1人だけかどうか。その方が休んだ月に更新が止まります。引き継ぎ書があるかも確認してください。
- 止まったときの損失が大きいか。予約や決済が動いているなら、復旧の速さを優先すべきです。
- 検証環境を用意できるか。本番だけで試す体制なら、事故の確率は下がりません。
- プラグインが10個を超えているか。数が増えるほど、判断に専門知識が要ります。
2つ以上当てはまるなら、外に出す前提で見積りを取ってみてください。社内の人件費と並べると、思ったより差がないことが多いです。
ZenWeb Japanでは、更新の代行だけでなく、その前段の整理から対応しています。使っていないプラグインの棚卸し、検証環境の用意、復元のテストまでを含めた形です。WordPress制作と保守のサービス内容をご覧ください。
13まとめ|WordPressの更新は必要?
要点:WordPressの更新は必要です。放置は、不具合と乗っ取りの両方を呼びます。ただし押し方には順番があります。戻せる状態をつくってから、小分けに進めてください。
この記事でお伝えした要点を、あらためて並べます。
- 不具合は段階的に出ます。半年で設定が保存できなくなり、1年でフォームが止まり、2年で管理画面に入れなくなります。
- 更新の中身はセキュリティ修正が中心です。止めることは、公開された弱点を残すことと同じです。
- 壊れる原因の半分以上はプラグインです。使っていないものを減らすだけで、確率が下がります。
- 順番があります。バックアップ、整理、小分けの更新、要のページ確認。この4つです。
- 自動更新は見守る設定です。通知の受け取り先と、月1回の確認をセットにしてください。
止まっている期間が長いほど、最初の一歩は重くなります。それでも、いま動かすのがいちばん軽い選択です。来月にはもう少し重くなります。
14よくある質問
要点:WordPressの更新について、よくいただく質問をまとめました。
1. WordPressの更新は、通知が出たらすぐやるべきですか?
種類で分けてください。セキュリティ修正だけの更新は、できるだけ早く当ててください。公開された弱点をふさぐ作業だからです。一方、機能が増える更新や本体の大きな更新は、数日から1週間ほど様子を見てからで構いません。ほかの利用者から不具合の報告が上がることがあるためです。
2. 自動更新をオンにしておけば安心ですか?
半分だけ安心できます。セキュリティ修正が遅れない点は大きな利点です。ただし、崩れたときに気づく仕組みがないと、放置と同じ結果になります。更新の通知メールを複数人で受け取り、月に一度はフォーム送信まで確認してください。決済やフォームのプラグインは、手動のままにしておくと安全です。
3. 更新したら表示が崩れました。どうすればいいですか?
まず、いまの状態のバックアップを1つ取ってください。原因を調べる材料になります。そのうえで、直前に更新したプラグインを1つずつ停止して、どれが原因かを絞り込みます。原因のプラグインがわかったら、代わりになるものを探すか、制作会社に相談してください。慌てて全部を元に戻すと、原因がわからないまま同じことが起きます。
4. 何年も更新していません。もう手遅れですか?
手遅れではありませんが、順番が変わります。いきなり最新版には上げず、まず現状のバックアップを取ります。次に、サーバーのPHPバージョンを確認してください。古いままだと更新が通りません。そのうえで、段階的にバージョンを上げていきます。2年以上放置していた場合は、2週間から1か月ほどを見ておくと安心です。
5. 更新は社内でもできますか?誰がやるべきでしょうか。
プラグインが少なく、決済や予約が動いていないサイトなら、社内で十分に回せます。この記事の5つの手順どおりに進めてください。逆に、予約や決済が入るサイト、担当者が1人しかいない体制では、外に出したほうが安全です。止まったときの損失と、社内の作業時間を並べて判断してください。
止まっている更新、そろそろ動かしませんか。
ZenWeb Japanは2000年創業、日本品質を適正価格でご提供しています。現状のバージョン確認からプラグインの整理、検証環境での更新、公開後のメンテナンスまで一貫して対応します。お気軽にお問い合わせください。
無料で相談する →