オフショア開発

オフショア開発の国別比較|ベトナムが強い理由

最終更新日:2026年8月5日 ZenWeb Japan 編集部
結論:オフショア開発の国は、単価の安さではなく「案件の条件との相性」で決まります。日本の中堅・中小企業に多い、数百万〜数千万円規模で日本語の仕様書を使う案件では、時差・日本語対応の厚み・人材の層という3点がそろうベトナムが最も外れにくい選択肢です。

01はじめに|この記事でわかること

要点:この記事では、オフショア開発の主要な国を同じ物差しで並べ、条件別にどこが向くかを整理します。そもそもの仕組みからご確認でしたら、先にオフショア開発の基本をお読みください。

「結局、どの国に頼むのがいいのでしょうか」。オフショア開発のご相談で、必ずと言っていいほど出てくるご質問です。

ネット上には国別の単価表がたくさんあります。ただ、単価表を見比べても答えは出ません。同じ国のなかでも会社によって差が大きく、そもそも安い国ほど得をするとは限らないからです。

そこでこの記事では、2000年創業のWeb制作・システム開発会社ZenWeb Japanが、実際に案件を動かしてきた立場から国の選び方をご説明します。読み終えるころには「私の案件なら、どの国のどんな体制に依頼するべきか」が言えるようになります。

この章のポイント:国選びは単価表の読み比べではありません。自分の案件の条件を先に決めてから、そこに合う国を当てはめる順番になります。

次の動画では、ベトナムを例にした委託先の選び方が短くまとまっています。あわせてご覧ください。

ベトナムオフショア入門「オフショア開発企業の選び方」

出典動画:YouTube


02「どの国が安いか」で選ぶと外れる理由

要点:単価は国ではなく、会社と体制で決まる部分が大きいためです。同じ国でも人月単価は2倍近く開きます。国名だけで安い高いを判断すると、実際の見積りとかみ合いません。オフショア開発の費用相場もあわせてご確認ください。

国別の単価表は、あくまで平均です。同じベトナムでも、日本人窓口を置いて上流から入る会社と、実装だけを請け負う会社では価格が違います。当然、任せられる範囲も違います。

もうひとつ見落とされやすいのが、そもそも日本国内の事情です。経済産業省のIT人材需給に関する調査では、2030年時点で中位シナリオでも約45万人、高位シナリオでは約79万人のIT人材が不足すると試算されています。国内で人を採る前提が崩れているからこそ、海外の開発体制を選ぶ話になっているわけです。

つまり、比べるべきは単価そのものではありません。次の3つです。

  • 時差と稼働時間の重なり。質問を投げてから返事が来るまでの時間が、そのまま進み方に影響します。
  • 日本語で仕様を渡せるかどうか。英語に直す手間が発生するなら、その工数も費用のうちです。
  • 人が入れ替わりにくいかどうか。担当が変わるたびに説明し直すコストは、見積書に載りません。
この章のポイント:国は単価の札ではありません。時差・日本語・人の定着という3つの条件をまとめて表す、ざっくりした名前だとお考えください。

03主要5か国を、同じ物差しで並べる

要点:ベトナム・フィリピン・インド・中国・バングラデシュの5か国が、日本企業の主な選択肢です。時差、日本語対応の厚み、単価水準、得意な案件規模の4点で並べると、それぞれの得意分野がはっきりします。ベトナムオフショア開発もこの物差しの上にあります。

下の表は、単価をベトナム=100としたときの相対値で並べたものです。金額そのものではなく、位置関係としてご覧ください。

主要5か国・オフショア発注先の比較
オフショア開発の主要5か国を、日本との時差、日本語対応の厚み、単価水準の相対値、得意な案件規模で比較した表。
時差 日本語対応の厚み 単価水準 得意な案件
ベトナム 2時間 厚い 100 中規模の業務システム・EC・Web
フィリピン 1時間 中(英語が主) 105〜115 英語圏向け・メンテナンス運用・問い合わせ対応
インド 3.5時間 薄い(英語前提) 115〜135 大規模開発・AI・データ基盤
中国 1時間 中〜厚い 110〜130 大規模・製造業向け・組込み
バングラデシュ 3時間 薄い 75〜90 仕様が固まった実装・メンテナンス

出典:ZenWeb Japanの引き合い実績と公開されている単価情報をもとにした相対整理(2024〜2026年)。都市別の賃金水準はジェトロ・投資関連コスト比較調査で確認できます。

この表で目を引くのは、単価の差が思ったほど大きくない点ではないでしょうか。最安のバングラデシュと最高値のインドでも、1.5〜1.8倍程度に収まります。国どうしの差より、同じ国の会社どうしの差のほうが大きいのが実情です。

この章のポイント:5か国の単価差はせいぜい1.5〜1.8倍です。国よりも、時差と日本語対応の厚みのほうが実務への影響は大きくなります。

04単価だけで選ぶと、3年で差が消える

要点:安い国ほど賃金の上がり方が速く、人の入れ替わりも多くなります。初年度に2割安く見えても、3年で見ると差はごくわずかです。長く続ける前提なら、ラボ型開発のように人を固定できる形が効いてきます。

下は、初年度の単価を100としたときに、3年目までに実際いくら払うことになるかを並べた参考試算です。単価の上昇に加えて、担当が入れ替わったときの再教育と、それに伴う手直しを足しています。

発注パターン別・3年間の実質コスト(相対値)
初年度単価を100とした場合の、発注パターン別の3年累計コストを相対値と横棒で示した表。
発注パターン 初年度 再教育・手直し 3年累計 相対比較
最安の国・窓口なし 80 +45 315
ベトナム・日本語窓口あり 100 +12 330
インド・大手 125 +18 415
国内の開発会社 230 +5 710

出典:ZenWeb Japanの案件実績と公開単価水準をもとにしたモデル試算(参考値、2024〜2026年)。実額ではありません。

初年度に2割安く見えた発注先が、3年後にはほぼ同額になっている。これはめずらしい話ではありません。

最安の国と、日本語窓口を置いたベトナムの差は、3年で5%ほどまで縮みます。一方で、途中で人が入れ替わった側は、そのあいだずっと説明のやり直しを続けています。同じ金額で、進み方だけが違うことになります。

この章のポイント:単価の差は3年でほぼ消えます。比べるなら、初年度の見積書ではなく3年分の総額で比べてください。

3年分で見たら、いくらになりますか

ご検討中の案件について、体制込みの見通しをお出しします。ベトナムオフショア開発の体制を見る →


05ベトナムが日本企業に強い、3つの理由

要点:時差が2時間で同じ時間帯に働けること、日本語を扱える技術者の層が厚いこと、若いエンジニアが毎年供給されていること。この3つが重なっている国はほかにありません。詳しくはベトナムオフショア開発の強みで解説しています。

ひとつずつ見ていきます。

  1. 時差2時間は、同じ日のうちに片がつく差です。午前中に投げた質問の答えが、その日の夕方に返ってきます。3時間を超えると、返事が翌日にずれ込む回数が増えていきます。
  2. 日本語人材の層が厚く、窓口を国内に置きやすい。日本語で仕様を書けるということは、翻訳の工程がまるごと不要になるということです。ブリッジSEを立てやすいのもこの層があるからです。
  3. 若い技術者が毎年入ってくる。大学のIT系学科からの卒業が続いているため、チームを増やすときに人を探しやすい状態が保たれています。

3つ目は地味に見えますが、長く続ける案件ほど効いてきます。増員したいときに人がいない国では、そもそも計画が立ちません。

この章のポイント:ベトナムの強みは単価ではなく、時差・日本語・人材の層がそろっている点です。ひとつでも欠けると運用の手間が増えます。

06ベトナムの弱点と、それが出る場面

要点:ベトナムにも苦手な場面はあります。会社ごとの実力差が大きいこと、単価が上がり続けていること、超大規模の一括開発には向かないことの3点です。会社選びの基準はオフショア開発会社の選び方にまとめています。

いちばん現実的なリスクは、会社ごとの差です。日本語を話す営業担当がいても、開発チーム側に日本語がまったく通じないケースがあります。この形だと、仕様の確認がすべて営業経由になり、伝言ゲームになります。

単価の上昇も見ておく必要があります。IT分野の給与は経済成長より速く上がりやすく、3年前の相場感で予算を組むと足りなくなります。

また、数億円規模の一括開発では、体制の厚みで大手に分があります。この規模なら、インドや中国の大手も含めて比べたほうが妥当です。

この章のポイント:ベトナムの弱点は国ではなく会社に出ます。開発チーム側に日本語が通じるかどうかを、必ず確認してください。

07案件の条件別|どこに出すのが妥当か

要点:予算、期間、仕様書の言語、この3つが決まれば発注先はほぼ絞れます。逆に3つが決まっていない段階で国を比べても意味がありません。決め方はオフショア開発の進め方で順に解説しています。

案件の条件別・向いている発注先
案件の予算・期間・仕様書の言語という条件ごとに、向いている発注先と避けたほうがよい発注先を対応づけた表。
案件の条件 向いている発注先 避けたい発注先
300万〜3,000万円/日本語の仕様書/6か月以上 ベトナムのラボ型(日本人窓口つき) 英語前提の会社
5,000万円以上/英語で書ける/大規模 インド・中国の大手 小規模な現地会社
既存システムのメンテナンス/夜間も対応したい フィリピン、または複数拠点の会社 単一拠点・少人数の会社
100万円未満/単発/仕様が固まっていない 国内、またはニアショア 海外への直接発注
個人情報や医療データを扱う 国内、または日系拠点を持つ会社 再委託先が見えない会社

出典:ZenWeb Japanの案件実績にもとづく整理(2024〜2026年)。

表の一番下の行は、国の話ではありません。個人情報保護法にかかわる案件では、再委託先まで追えるかどうかが先に来ます。安さで選べる場面ではありません。

この章のポイント:予算・期間・仕様書の言語の3つを先に決めてください。決まった時点で、選べる国はかなり絞られています。

08発注先の重心は、どう動いてきたか

要点:日本企業の発注先は、中国中心からベトナム中心へ移りました。いまはベトナムが最も多く選ばれ、中国・インドが続きます。ただし直近は「どの国か」より「どの会社か」で選ぶ段階に入っています。背景はベトナムオフショア開発の強みで詳しく触れています。

時期別・オフショア発注先の重心の移り変わり
2000年代半ばから2026年までを4つの時期に分け、中心だった発注先の国、選ばれた理由、当時つまずいた点を時系列で整理した表。
時期 中心だった国 選ばれた理由 つまずいた点
2005〜2012年ごろ 中国 単価の安さと漢字文化 人の入れ替わりと単価上昇
2013〜2019年ごろ ベトナムへ移行 単価と日本語人材の両立 会社ごとの実力差の大きさ
2020〜2023年ごろ ベトナム+分散 リモート前提と拠点の分散 窓口役の不足
2024〜2026年 ベトナム中心のまま選別へ 上流の内製化とAI活用 単価上昇と人材の取り合い

出典:ZenWeb Japanが2000年以降の受託実績をもとに整理した時系列(2005〜2026年)。

この20年の流れには、ひとつの型があります。安さで移り、単価が上がって行き詰まり、次の国へ移る。ベトナムが長く中心にいるのは、安さ以外の理由が加わったからだとお考えください。

この章のポイント:安さだけで選んだ国は、いずれ単価が追いついて選ばれなくなります。次の国探しを繰り返さないために、体制で選んでください。

09国より先に決めておく、3つのこと

要点:完成の条件、窓口を誰が担うか、続ける期間。この3つが決まっていれば、国が変わっても大きくは失敗しません。逆に3つが空欄のままでは、どの国を選んでも同じ結果になります。順番はオフショア開発の基本と同じ考え方です。

順に書き出してみてください。

  • 完成の条件。何がどう動けば合格なのかを、こちらから言葉にします。品質は管理体制で決まるという話は、ここから始まります。
  • 窓口の担い手。社内に置くのか、委託先の日本人担当に任せるのかを決めます。ここが空くと、質問が滞ります。
  • 続ける期間。単発なのか、1年以上続けるのか。期間が長いほど、人を固定できる契約形態が向きます。

見積りの読み方に不安がある場合は、システム開発の見積もりの見方もあわせてご覧ください。人月単価と工数の関係がわかると、国別の比較も読みやすくなります。

この章のポイント:国はあとから決まります。完成の条件・窓口・期間の3つを先に埋めてください。

条件の書き出しから、ご一緒できます

要件が固まっていない段階でも構いません。Webシステム開発のサービス内容を見る →


10国選びでよくある3つの判断ミス

要点:営業担当の日本語力で会社を判断する、単価表の平均値で予算を組む、時差を気にしないの3つです。いずれも着手後に効いてきます。実例はオフショア開発の失敗事例にまとめました。

とくに多いのが1つ目です。商談の場にいるのは日本語が流暢な担当者でも、実際に手を動かすチームには通じないことがあります。契約前に、開発側の担当者と一度でも話しておくと防げます。

2つ目は、平均値の使い方の問題です。単価表の平均は、上流から入る会社と実装だけの会社をまとめた数字です。自分の案件がどちらに近いかを決めないまま平均を使うと、あとで足りなくなります。

この章のポイント:契約前に開発チーム側の担当者と話してください。営業担当の日本語力は、開発現場の日本語力ではありません。

11発注先の国を決める5つの手順

要点:条件を書き出し、候補を2か国に絞り、同じ条件で見積りを取り、開発側と話し、3年分の総額で比べる。この順番で進めれば、国名から入るより早く決まります。契約の形はラボ型開発もあわせてご検討ください。

  1. 案件の条件をA4で1枚書く。予算の幅、希望する期間、仕様書を書く言語の3つを埋めます。完璧でなくて構いません。
  2. 候補を2か国に絞る。7章の表を使って、条件に合う国を2つまで残します。3つ以上残ると比較が進みません。
  3. 同じ条件で見積りを取る。各国から2社ずつ、同じ資料を渡します。渡す資料が違うと、金額の差が何の差かわからなくなります。
  4. 開発チーム側の担当者と話す。営業担当だけでなく、実際に作る側と30分でも話します。日本語がどこまで通じるかが見えます。
  5. 3年分の総額で比べる。初年度の金額ではなく、単価の上がり方と人の入れ替わりを含めて比べます。

この手順なら、2〜3週間で決められます。詳しい流れはオフショア開発会社の選び方で解説しています。

この章のポイント:国名から入らず、条件から入ってください。同じ資料を渡して初めて、金額の差が意味を持ちます。

12まとめ|国は条件から逆算して決めましょう

要点:国の差は1.5〜1.8倍、しかも3年でほぼ消えます。日本語の仕様書を使い、数百万〜数千万円で続ける案件なら、ベトナムオフショア開発が最も外れにくい選択です。

単価表を見比べる時間を、条件を書き出す時間に振り替えてみてください。完成の条件と窓口と期間が決まれば、選べる国はほとんど絞られます。

そのうえでベトナムを選ぶなら、開発チーム側に日本語が通じるかどうかだけは、契約前に必ず確かめてください。ここを確かめた案件と、確かめなかった案件では、その後の進み方がはっきり分かれます。


13よくある質問

要点:国選びのご相談で、実際によくいただくご質問をまとめました。品質と国の関係が気になる場合は、品質は管理体制で決まるもあわせてご覧ください。

1. 結局、いちばん安い国はどこですか

単価だけならバングラデシュなどが下位に来ます。ただし日本語が通じにくく、仕様を英語で書く手間がかかります。総額で見ると、ベトナムとの差はほとんど残りません。

2. 複数の国に分けて発注してもいいですか

おすすめしません。窓口が増えるほど、仕様の食い違いが起きやすくなります。分けるなら、開発とメンテナンスのように役割で分けてください。

3. 中国はもう選ばれていないのですか

いいえ、いまも一定の割合を占めています。大規模開発や製造業向けの案件では有力な選択肢です。中小規模のWeb・業務システムでベトナムが選ばれやすい、という違いです。

4. 国が変わると品質も変わりますか

変わるのは国ではなく体制です。完成の条件を渡しているか、レビューとテストが工程に入っているか。この2つが同じなら、国が違っても結果は近くなります。

5. 初めての発注でも、いきなり海外で大丈夫ですか

日本人窓口のある会社であれば問題ありません。ただし初回は小さく始めてください。1〜2か月で終わる範囲で試してから、広げるのが安全です。

国選びの前に、条件の整理からご相談ください

ZenWeb Japanは2000年創業・PNHグループのWeb制作・システム開発会社です。日本人窓口とベトナム開発チームの体制で、業務システムからECサイトまで「日本品質を適正価格で」ご提供します。無料相談では、案件の条件整理から他社見積りの読み解きまで承ります。

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